2013年2月5日火曜日

書評 道尾秀介『ソロモンの犬』(文春文庫)

 男二人、女二人の大学生4人組が、知り合いの少年の交通事故死を目撃。一見、偶発的な事故のようだが、何かおかしい…。疑問を持った秋山は事故を掘り下げる。
 一方、事件後にこの4人組が喫茶店で出会い、話をする場面が間に挟まれる。この二つのストーリーが並行して進んでいく。そして、この二つの時間が重なったとき、すべてが明らかになる。

 いやはや、よく組み立てられたストーリーだ。あちこちに伏線が張り巡らされており、最終的にそれがどのようなかたちで解決されるのか、気になって仕方がない。思わずページをめくる手が早くなる。
 ところがこれらの伏線の中には、数ページ後に「伏線ではありませんでした~」とタネが明かされるものがあるところも憎い。
「伏線と思ってたでしょ。フフフ」
という道尾氏の声が聞こえてきそうだ。うーん、腹が立つ。
 さらに、道尾氏の読者を欺くトリックにもしてやられた。映像では実現不可能な、小説ならではのトリックには脱帽だ。




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