2013年8月8日木曜日

書評 宮内悠介『盤上の夜』(東京創元社)

 異能のボードゲーマーたちの、ある種、狂気の物語。囲碁、将棋をはじめとするボードゲームを扱った短編集である。

 囲碁、将棋、麻雀など、ボードゲームに関する六つの短編が収められた一冊。なぜ古来からボードゲームは人を魅了し、現在でもプロがいるほどの興隆を保っているのか。異能のボードゲーマーたちの物語を紡ぐことにより、その魅力を語った本である。

 囲碁、チェッカー(チェスの簡易版)、麻雀、チャトランガ(将棋やチェスの起源)、将棋を主題にした五つの物語と、最後にまとめの物語があり、あわせて六つの短編が収められている。
 それぞれの物語には、ボードゲームに魅入られた異能のプレーヤーが登場する。四肢のない女流囲碁棋士、42年間無敗のチェッカーチャンピオン、牌が透けて見えているとしか思えないシャーマン雀士、チャトランガを考案したとされる古代インドの若き王、統合失調症に冒されながらもそれを力に勝ちを重ねる将棋棋士という、異能のプレーヤーたちが主人公だ。
 彼らの異次元的な能力や尋常ではない生い立ちなどが、ボードゲームの神秘性と絡み合い、独特の雰囲気のストーリーとなる。とはいえ、決してオカルトではない。
 彼らを通じて、ボードゲームの魔力的な魅力が伝わってくる。月並みな言い方だが
「圧倒的な迫力」
という言葉を使いたくなる。囲碁や将棋の一対一の勝負の緊張感や、麻雀の賭博的なドキドキ感にどっぷりと浸ることができた。読んでいて「至福」を感じた小説は、久しぶりだったかもしれない。

 本書を読んで、頭の痺れるような勝負がしたくなってきた。そこで、さっそく「どうぶつしょうぎ」をダウンロードしたのだが、娘(5歳)にルールを教えるのがこんなにたいへんだったとは…。頭の痺れるような勝負は、ずいぶん先のようだ。ゲームは奥が深い(何か違うような…)。
 ちなみに「どうぶつしょうぎ」は面白いです。ハマった。



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