2014年5月1日木曜日

書評 喜多喜久『化学探偵Mr.キュリー』(中公文庫)

化学の世界とその魅力が、一般人にも分かりやすく伝わるほんわかミステリー.

『ラブ・ケミストリー』『猫色ケミストリー』に続く、化学ミステリー第三弾。今回の主役は天然物化学の研究者である沖野春彦。イケメンだが化学研究オタクの若手准教授という設定だ。この沖野を探偵役にした短編が五つ収められている。
 それぞれの話には科学(化学)が絡んでおり、謎も科学的に解き明かされる。とはいえ、本書を楽しむのに科学知識はいらない。「すい、へい、りー、べ」で挫折した人でも十分に楽しめる。
「理系の研究者の世界って、どんな感じなのだろう」
というのをチラ見できるコミカルミステリーなのだ。

 前二作の書評でも書いたが、ミステリーに出てくる科学者のほとんどは、数学者、物理学者、医学者などだった。そこに化学者を持ってきたのが喜多氏である。
 数学や物理学に比べ、化学にはちょっと怪しく暗い印象をもつ人も多いかもしれない。化学には、華やかさや注目度に欠ける面があるのだろう。しかし本書を読めば、化学の魅力が伝わってくる。
 元素記号や化学式の世界に住む、理系オタクの生態をチラ見したい人にお勧め。



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