2014年6月10日火曜日

書評 泡坂妻夫『しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』(新潮文庫)

二重、三重に仕掛けられた巧みなトリック。読み終えた瞬間、再びページを繰ってしまうこと間違いなし。やられた~。


 昭和62年に刊行され、いまだに重版を重ねている名作ミステリー。古さなどまったく感じず、あっという間に読み終えてしまった。

 ヨギ ガンジーという怪しげなオッサンが探偵役。ガンジーが二人の連れとともに巻き込まれたのは、とある宗教団体の跡継ぎ問題だった。人里離れた山奥で断食修行を行い、その結果で跡継ぎを決めるのだという。いかにもな設定だ。
 最後は二重、三重に張り巡らされたトリックが次々と明らかになり、すべての謎が解き明かされる。私は、そのうちの一つを見破っており
「大したことないなあ」
と優越感に浸っていたが、ギャフンと言わされてしまった。
「そのトリックは、だいたいの読者に見破られてしまうんですよねえ(想定内)」
という、作者の声が聞こえてきそうだ。うーん、腹が立つ。

 事件はすべて解決し、エピローグへ。そして最後の一文を読み終えたとき…
「えっ、マジで?」
思わず、再びページを繰ってしまった。「この本に」そんな仕掛けがしてあったとは。「大したことないなあ」どころか、KO負けである。脱帽。

 編集を仕事にしている者にとって、一文字も直すことが許されない本ってどうなんだろうなあ…。どういう意味かは、読んでのお楽しみ。



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