2014年12月25日木曜日

書評 島田明宏『誰も書かなかった武豊 決断』(徳間書店)

武豊はなぜ返り咲くことができたのか。


 騎手としての武豊の半生を、丹念にあぶり出した一冊。18歳で騎手としてデビューし、瞬く間にスターダムを駆け上り、超一流騎手として前人未踏の記録を作り続けていった武豊。メジロマックイーン、オグリキャップ、サイレンススズカ、ディープインパクト…。武とコンビを組んだ名馬は数知れない。現代日本のスポーツ界において、イチローと並ぶ記録男といってよいだろう。しかし、2010年の落馬負傷以降、かつての輝きを失ってしまう。
「もう終わった」
と多くの人が感じていたが、昨年(2013年)に5度目のダービーを制するなど、復活の道を歩み始めている。

 その騎手人生を、親友でもある島田氏が綴ったのが本書。武の海外遠征にも同行するなど、常に武の身近にいた島田氏にしか書けない逸話が満載で、競馬ファン(競馬バカ?)の私はグイグイと引き込まれてしまった。特に、オグリキャップの有馬記念激走秘話などは、悶絶寸前だった(ちょっと大げさか)。武豊ファンだけでなく、競馬に興味のある人すべてに読んでもらいたい。

 しかし武豊は、まだ現役バリバリの騎手である。その騎手生活を振り返った本ではないので、書けないこともたくさんあるだろう。ましてや書き手は、いまも武豊の側にいる人である。赤裸々にはしきれないことも、たくさんあるに違いない。
 たとえば「アドマイヤ」の冠名で知られる近藤オーナーとの確執や、騎乗ベースを海外へ置くことことからの撤退(本書では撤退という言葉は使われていない)などは、サラッと流されている。そういう面は物足りなかったが、仕方ないのかな。
 そういうところが知りたい方は、アサヒ芸能を読めということにしておきたい。アサヒ芸能がどこまで真実を語っているかは、知るよしもありませんが…。




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