2015年5月11日月曜日

映画評『タクシードライバー』

青臭い小癪な若造の狂気


 1960年代、タクシードライバーとして口を糊することになった男、トラヴィス・ビックル。世間に馴染めず、その原因を自分ではなく周囲の状況に求める、典型的な「青春病」患者だ。町で見かけた美女を口説き、いったんはうまくいくのだが、それも破綻。ビックルの精神の、最後のタガが外れる。
「この腐った世の中を何とかしなくては」
と一世一代の行動に出るが、それは意外な方向への方向転換を余儀なくされる。そしてその結末は…。何とも皮肉でブラックな結末。

 世間とうまく折り合いのつかない思春期の若者。ここまでは誰もが通る道だが、ある一線を越える者と超えない者がいる。一線を越えて転落していく者と、一線を越えずに踏みとどまり、過去の青春を懐かしむ者。この差を分けるものは意外に些細なことなのかもしれない。
 狂気に走る人生は、実は普通の人生のすぐ隣にあるのだろう。狂人は、決して特別な存在ではないのだ。

 マーティン・スコセッシ、ロバート・デニーロ、ジョディ・フォスター。後にハリウッドを彩る3人の出世作。




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