2015年6月15日月曜日

映画評『白ゆき姫殺人事件』

湊小説の根底にある「人間の悪意」がビンビン伝わってくる。


 湊かなえ氏の小説が原作。人間の腹黒さや悪意を書くことにかけては右に出る者がいない湊氏。その腹黒さがよく表現されている。粗筋は原作の書評を参考にしてほしい。

 本作では「ネットを通じて悪意が広がっていく」のがポイントの一つなのだが、その臨場感は小説よりもビンビンと伝わってきた。随所に挟まれる情報番組のシーンが、いいアクセントになっている。登場人物たちのキャラクターもうまく設定されていて、小説との矛盾を感じることはなかった。原作のエッセンスを、実にうまく映像化している。結末は知っていたのだが、後半は食い入るように観てしまった。

 一つ難癖をつけるなら、殺人事件の起承転結が十分に伝わらなかったように思う。悪意が広がる様子はよく描けているが、もう一方の筋である殺人事件の顛末がちょっと弱かったような。映画だけを観た人には、殺人の動機などがよく分からなかった人も多かったのではないだろうか。とはいえ、映画は時間的な制約もあるし、やむを得なかったのだろう。
「なんか、ちょっと腑に落ちないなあ」
という方は是非、原作を読んでもらいたい。




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