2015年10月19日月曜日

【書評】稲盛和夫『稲盛和夫の実学』(日経ビジネス人文庫)

お金の出入りは、決算書では分からない


「自己啓発書やビジネス書なんて、何冊も読む必要はない。松下幸之助氏や稲盛和夫氏の本を何冊か持っておき、繰り返し読めばそれで十分」
という話を聞いて「なるほどなあ」と思ったのが昨年のこと。

 それを思い出して読んでみたのが本書。本書は「お金の出入りはどのように見るべきか」を経営という視点から解きほぐしたものである。
 私は中小企業に勤めているのだが、会社の売り上げ報告や決算書と、実際の経営状態がリンクしていないように感じることがしばしばあった。そして昨年度の決算が(おそらく)現実とあまりマッチしていなかったことを確かめたのがつい最近のこと。どうしてそういうことになるのか、理由はうすうす感じていた。ひらたく言うなら、お金の出入りのタイミングが前後することにより、実際の売れ行きが反映されるタイミングがずれ、決算に影響を与えているのだ。

 そういうときに本書を読んだ。「腑に落ちる」とはまさにこのこと。なるほど、決算書を見て一喜一憂しているだけではダメなのだ。お金やモノの動きはなるべくリアルタイムで把握し、「毎月」積み上げていくことが重要なのだ。
 それが稲森氏の「アメーバ経営」とも結びつく。お金とモノを1:1で対応させることにより、現金の流れを明確化する。そうすることにより「アメーバ」すなわち小規模グループの経営効率を正確に計ることができるのだ。
 会社経営にかかわる人や興味のある人はもちろん必読。また、自分の会社の売り上げや営業利益が、何か作り物のように感じている人が読めば、その違和感の正体が分かるだろう。

 本書を読んで、稲森氏の経営論・会計論だけではなく、働き方論・生き方論が知りたくなった。もう一冊、何か読んでみたい。




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