2015年12月10日木曜日

【書評】稲盛和夫『成功の情熱─PASSION─』(PHP文庫)

打ちのめされました…


 先日、『稲盛和夫の実学』を読んだ。そちらは「経営者のための会計論」的な内容でたいへん勉強になった。今度は、稲盛氏が生き方・ライフスタイルを語った本を読もうと思って手に取ったのが本書。いやはや、打ちのめされました…。

 本書は、買収したアメリカの会社の首脳陣と「京セラの経営哲学」を共有するための「教科書」とした内容である。

 稲盛氏は「リーダー(すなわち経営者)に必要な資質は、才能ではなく、情熱である」と熱く語る。数字に強いことや時代を読む力などの能力はそれほど必要ないのだ。逆説的だが、情熱を持てること自体が才能なのである。
 そして、その情熱がネガティブな方向に働いてはならないことも、繰り返し強調される。
「情熱的に、ポジティブに進めていけば、必ず道は開ける」
というのだ。

「アンタは大成功したから、そう言えるのでは」
という声が聞こえてきそうだ。しかし、そうではない。「ポジティブに、情熱的に」生きていくことがいかに難しいか、本書を読めばよく分かる。だからこそ
「ポジティブに、情熱的に進めていけば、必ず道は開ける」
という訴えに、なるほどと思えるのだ。

 まあ、打ちのめされたというか、何というか。端的に言うと「おれには無理」だ。最もがっくりきたのが「53 自ら燃える」の項だ。それによると、物質に可燃性、不燃性、自燃性の3種類があるのと同様に、人にも可燃性、不燃性、自燃性があるのだという。
 不燃性は燃えられない人。PASSIONを持てない不燃性の人は、何をやってもダメ。
 可燃性は、火をつけてもらえれば燃えられる人。周囲に恵まれればいい仕事はできるが、自ら道を切り開くことはできない。
 リーダーに必要なのは自燃性。自らのエネルギーで燃えられなければ困難な道を開くことはできないし、周囲(部下たち)にエネルギーを供給することもできない。

 なるほどだ。私は元来、火のつきにくい可燃性であった。それが、年を取るにつれてどんどん火がつきにくくなってきた。「いかんなあ」と思いつつも、なかなかPASSIONが湧いてこないのだ。
「独立して尻に火がつけばPASSIONも湧いてくるかなぁ」
などと夢想していたのだが、稲盛氏に
「アホか」
と叱りつけられた心境である。PASSIONの不足した人が何かをはじめたところで、上手くいくわけがないのだ。反省。

 いまから自燃性になるのは無理かもしれないが、稲盛氏に火をつけてもらった。しばらくはこれからは、火のついた状態でポジティブに生きていけそうだ。




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