2016年2月23日火曜日

【映画評】美女と野獣 実写版(2014)

行間はアニメを見て埋めろということか?


 フランスのおとぎ話「美女と野獣」の実写版映画。ディズニーアニメの名作「美女と野獣」が上映されたのが1991年。ディズニー版とは違った角度からストーリーが組み立てられている。
 本作ではベルがなぜ野獣に嫁ぐことになったのか、その描写から話が始まる。並行して、野獣がなぜ野獣になったのか、その経緯が語られる。二人の人生が交錯し、ついには愛へと昇華してハッピーエンドを迎えるのは周知の通り。ディズニーアニメ版のストーリーの背景を説明するような作品になっている。

 しかし背景ばかりに終始し、肝心の「表」の描写が弱いような…。ベルが野獣を愛するようになっていく心の動き、野獣がベルの行為にほだされていく過程。これらが主題であり「表」だと思うのだが、それらが大胆に端折られているのだ。本作のベルの(おそらく)決めぜりふ
「もう愛してるわ」
が私の心には響かなかった。
「いつから愛してたの?」
と聞きたくなった。

 原作のおとぎ話をよく知っている人にはそれでよいのかもしれない。日本人に桃太郎の話をくどくど説明する必要がないのと同じことなのかなあ…。本作を観て、背景知識を得てからディズニーアニメ版を観たら、感動が増すのかも。
 物語の切り取り方には、ディズニーアニメ版に軍配を上げたい。



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