2017年1月25日水曜日

【書評】湊かなえ『夜行観覧車』(双葉文庫)

主人公不在。一人称を入れ替える手法はいつもながらお見事


 章ごとに一人称が入れ替わるといういつもの手法で、人間心理の闇をえぐり取る。今回のテーマは「親子」「家族」だ。見るからにドロドロ・ボロボロの遠藤家と、絵に描いたような幸せな様子の高橋家。この二つの家族の視点から物語は語られる。
 いつもの湊作品と違うのは「胸くそ悪い、どうしようもないアホ」は事件の中心にはおらず、傍観者であること。だからといって「胸くそ悪い指数」が低いわけではなく、アホさ全開で暴れまくる。
「わが家がこんな家庭じゃなくてよかった」
と、自分の幸福を祝いたくなること間違いなしだ。

 本書にはさまざまな親子関係が出てくるが、そのどれもが何となくいびつである。しかし「普通」の親子関係とはどういうものなのだろうか? いびつではない親子関係など存在するのだろうか? わが身を振り返っても、私と親との関係も、私と子どもたちとの関係も、どこかいびつな感じがしないでもない。

《あらすじ》
 絵に描いたような家庭である高橋家の亭主が妻に殺害された。お金にも学歴にも容姿にも恵まれた高橋家に何があったのか。一方、その向いの遠藤家は、わがまま娘の癇癪でその父も母もボロボロの状態。そこに地域コミュニティの中心(ボス)であるオバサンが加わり、少しずつ事件の夜の様子が明らかになっていく。
 高橋家にいったい何があったのか。殺人という一線を越えさせたのは夫婦の「普通」の会話だった。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]
夜行観覧車 [ 湊かなえ ]
価格:699円(税込、送料無料) (2017/1/25時点)

楽天ブックス

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿