2017年3月16日木曜日

【書評】橘玲『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)

ミステリー感覚で、ありとあらゆる金融テクニックが読める


 2002年に上梓された経済小説。ミステリー感覚で、ありとあらゆる金融テクニックが読める希有な作品だ。
 軸になるのは50億円の行方。謎の美女はどんな方法で、どこにこの超大金を隠したのか。この謎解きが本作の柱である。

 それに付随して、さまざまな金融テクニックが紹介されるのが本書のキモ。資金隠し、合法的な節税、贈与税のかからない相続など、驚きの手法が次々と披露される。橘氏が半端ではない知識の持ち主だということが分かる。
 本書によると、最も有効な資産運用法は「運用しないこと」と「税金を払わないこと」なのだそうだ。ホンマかいな。

 最後はしっかり話しも閉じ、気持ちよく読了。黒幕の正体はちょっと反則な気もするが、意外といえば意外。月並みな言い方だが、とてもよくできた小説だ。
 ひとつ残念なのは、安月給サラリーマンである私には、本書で得た知識を生かす機会がないことだ…。

《あらすじ》
 香港で自由気ままに金融コンサルトを営む秋生を訪れたのは、超美女の麗子。公には分からない形で、5億円の大金をある人物に渡したいのだという。秋生は不本意ながらその方法を麗子に伝授する。
 ところが、日本に帰った麗子はその大金を持ち逃げする。「ある人物」とは自分自身のことだったのだ。しかも、大金は5億円ではなく50億円だった。麗子はどのような方法で、どこにこの大金を隠したのか。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]
マネーロンダリング [ 橘玲 ]
価格:781円(税込、送料無料) (2017/3/16時点)

楽天ブックス

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿

【お父さんの週末料理】2024年3月9・10日<small>~まさかのカレー大不評~</small>

 わが家では土曜、日曜の晩ご飯は主に父(私のこと)が担当している、そのメニューを絶賛(?)公開中、  家族構成は父(アラフィフ)、母(年齢非公表)、娘(高1)、息子(中1)の4人、  今週も娘は部活、息子は野球の週末。娘の掛け持ちしている部活の片方が活動再開。また忙しくなりそ...