2017年12月26日火曜日

【書評】原尞『私が殺した少女』(早川書房)

茹ですぎでもなく、半熟でもない。まさに絶妙のハードボイルド


 初めて読んだ原尞小説。なるほど、こういう小説のことをハードボイルドと呼ぶのか。まさに「ザ・ハードボイルド」だ。

 主人公は私立探偵の沢崎。この沢崎の行動や台詞が、いちいちニヒルなのだ。たとえば某所を訪れたときに受付で
「入館カードをお持ちですか?」
と尋ねられると
「車のダッシュボードに、支払い不可能なクレジットカードならあるが、それでよければ持ってくるが」
と答える。どんだけ斜め後方やねん…。

 また、少年を危険に巻き込むかどうか決断するときには、少年に何かあれば非難されることは分かりつつ
「非難されることには慣れているが、正当な避難には慣れていないのだ」
と独白。どんだけ、ねじれの位置やねん…。

 こんな調子で、体を張るのはもちろん、知力も駆使して少女が殺害された真相を突き止める。警察組織からもヤクザ組織からも
「敵でもあり、味方でもある」
関係なのがシュールだ。
「ハードボイルドって、どういうものなの?」
と聞く人には、本書を薦めておけば鉄板。

《あらすじ》
 沢崎が巻き込まれたのは、少女の誘拐事件。身代金を運ばされることになった沢崎だが、犯人との接触に失敗。少女は遺体で発見された。当然、濡れ衣を着せられた沢崎。真相に迫るために、事件のまっただ中にダイブする。



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