2013年3月14日木曜日

書評 中島京子『小さいおうち』(文春文庫)

 昭和初期、東北から出てきた女中と、その奉公先の一家との交わりを描いた小説。昭和初期から第二次大戦に至るまでの、「普通の人たち」の暮らしぶりと、戦争へ至るまでの世相の変化が伝わってくる。

 東北から出てきた女中が記した、東京郊外に「小さなおうち」を構える一家に奉公した様子の手記というかたちで話は進む。小説の中の人物が手記を書くという二重構造になっている。
 女中という、現代社会ではほとんどなくなってしまった職業を語り部におくことにより、その時代の雰囲気がよく伝わってくる。女中とその奉公先一家との、ほのぼのと心暖まる交わりが本書の骨格である。主人公である女中が、奉公先の「奥様」や「ぼっちゃん」を慕っている様子が心地よい。

 しかし本書の主題は、その交流そのものではない。そこから透けて見える、戦前の世相が主題である。
 昭和初期、第二次大戦に至るまでの十数年間は、決して暗い時代ではなかったことがよく分かる。特殊な状況が戦争という結末を招いたわけではなかった。普通の人たちにとっては、知らず知らずのうちに、戦争へと進んでいってしまったのだ。

 読み口は軽いが、読後は何だか少し考えさせられるという不思議な小説だ。普通の人たちが、いかにして戦争に巻き込まれていったのか。重いテーマを、ほのぼのとした語り口で読ませる作品といえるだろう。




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書評 矢野恒太記念会『日本のすがた2013 「日本国勢図会」ジュニア版』

 副題にもあるように「日本国勢図会」のジュニア版だ。日本を知るためのデータブックで、グラフや表が満載。そこへ、小・中学生にも分かるような解説も付されている。
「ジュニア版を読むくらいなら、通常版を読めばいいじゃん」
という声が聞こえてきそうだが、おそらくそれは間違いだ。ジュニア版といって侮ることなかれ。大多数の人にとっては、ジュニア版で十分だ。いや、コンパクトにまとまっていて易しい解説がついている分、むしろジュニア版のほうがよいとさえ思う。

 本書は次の8章で構成されている。
1 国土と人口
2 経済と財政
3 農林水産業
4 日本の工業
5 商業と貿易
6 交通と通信
7 国民の生活
8 世界のすがた
この八つの切り口から、さまざまなデータが示される。パラパラと読んでいると、いろいろな発見がある。豆知識として持っておくのもよいし、仕事や趣味に活かせるデータも見つかるかもしれない。
 たとえばこんな感じ。

原油の多くとれる国
→中東を差し置いてロシアが第1位。4位中国、7位メキシコというのも意外。

風力発電量の多い国
→アメリカがダントツのトップ。2位の中国の2倍以上だ。アメリカで風力発電が盛んとは知らなかった。

米の多くとれる国
→1位中国。そりゃそうか。「じゃあ日本は?」。これが、意外にも中国の5%にも満たないという少なさ。順位もランク外。

世界のパソコン生産台数
→1位は中国。「それは知ってる」。でも、その割合をご存じだろうか。中国が占める割合は、何と98%

 もちろん、これはごくごく一部のデータであり、見れば見るほど発見がある。一家に一冊おいておきたい本だ。これで1000円はお得。

 最後にもう一つデータを紹介したい。

人口の多い国
→1位中国、2位インド、3位アメリカ。ここまではご存じの方も多いと思うが、さてその次は? ロシアかカナダあたりだろうと思っていたのだが、答えはアジアのあの国でした。




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2013年3月10日日曜日

2013フィリーズレビュー、中山牝馬S、中日新聞杯、ポラリスS、アネモネS 予想の回顧

 土曜の重賞は中日新聞杯。ボックス馬券で勝負していたが、馬券対象外のサトノアポロアドマイヤタイシで決まり、ハズレ。ただ、ボックスで選んだ4頭のうち3頭が3~5着を占め、読みの流れは悪くないということにしておきたい。

 ポラリスSは◎トウショウカズンがいったんは先頭に立つも、最後はつかまって3着。ハナを切りたかった。

 アネモネSは◎クラウンロゼが突き抜け、2着に相手本線のジーニマジックが入り、馬連をゲット。配当は安かったがそこそこ浮いた。

 日曜は西でフィリーズR。◎メイショウマンボは好発を切ったが控えて中団の後方に。次から次へと◎の外を馬が上がっていくなど、揉まれているように見えたので心配したが、直線で前が開くとスパッと切れて完勝。1400 mよりも1600 mのほうがよさそうだし、本番が楽しみな内容だった。
 2着のナンシーシャインを押さえており、馬券は馬連を獲った。20倍を超えたのは美味しかった。

 東は中山牝馬S。◎はサンシャインの予定だったのだが、休み明けで大きく馬体を減らしており本命を変更。◎スマートシルエットを軸に馬券を買った。スマートシルエットは2番手から。直線は外によれ気味になりながらもしぶとく2着を確保。1着のマイネイサベルとの馬連を押さえていた。こちらは40倍を超えた。ラッキー。

 今週は5戦3勝で、収支も大幅にプラス。続けていきたいものだ。

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2013年3月9日土曜日

2013フィリーズレビュー、中山牝馬S オレの予想を聞いてくれよ

 今週は西でフィリーズレビュー、東で中山牝馬ステークスが行われる。
 フィリーズRは桜花賞のトライアルで唯一のGIIなのだが、なぜだか本番に結びつかない。ここをステップに本番を制した馬は、5年前のレジネッタまでさかのぼるらしい。おそらく距離(1400 m)のせいではないか。チューリップ賞(GIII)と格付けを入れ替えるべきだと思うのは私だけではないだろう。
 今年のメンバーは、この流れを変えられるか。

 さて予想にいってみたい。
 本命は◎メイショウマンボ。2戦目のGIこそ10着と崩れたが、新馬勝ち直後では荷が重かった。前走は牡馬相手に見事な差しきり勝ち。前残りの馬場はやや気がかりだが、この相手なら突き抜けないか。
 推奨穴馬はハイマウンテン。無理なく先行できれば面白い。

 中山牝馬Sは◎サンシャイン。前走で馬券を獲らせてもらった恩返しの意味も含めての◎印だ。もう少し内の枠を引きたかったが、スッと前に行ければ。

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2013年3月8日金曜日

2013中日新聞杯、ポラリスS、アネモネS オレの予想を聞いてくれよ

 クラシックのトライアルが始まるとともに気温も上昇。春が近づいてきた。
 そんな土曜の中京メインは中日新聞杯。夏になったり春になったりしているレースらしいが、これといった印象がない。
「何だか前にも同じようなことを書いたような…」
と思って調べてみると、昨年の7月に
「印象の薄い重賞だ」
と書いた記事を発見。そのレースは中京記念だった。どうも私にとって、中京の芝中距離重賞は印象が薄いようだ。なぜなんだろう。

 予想にいってみたい。
 中京競馬場が新装されて直線が長くなったが、なぜか前がよく残る。開幕週の今週は、その傾向に拍車がかかるだろう。前に行く馬を狙いたい。そこで今回は、前に行く馬のボックス馬券で勝負する。
 内から順に、トウカイパラダイス、パッションダンス、ドリームセーリング、ゲシュタルト。この4頭をボックスで。アドマイヤタイシが怖いが、5頭ボックスは予算オーバーなので、泣く泣く切った。

 ポラリスSはトウショウカズン、アネモネSはクラウンロゼ

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2013年3月3日日曜日

2013弥生賞、大阪城S、チューリップ賞、オーシャンS 予想の回顧

 今週はクラシックのトライアル2レースを含む、三つの重賞が行われた。
 土曜の阪神メインはチューリップ賞。◎ローブティサージュは中団の後ろからレースを進めたが、それほど切れる脚を持っている馬でもなく、9着に惨敗。展開もあったが、外々を回る王道の競馬をして勝ちきるほどの力はなかったということだろう。外枠もあだになったか。この馬は、内をついて抜け出す競馬があっているように思う。ちょっと自信を持って乗りすぎた印象。

 オーシャンSは、直線で◎ダッシャーゴーゴーと○サクラゴスペルが抜け出し、一騎打ちのかたちに。馬券はこの2頭を軸とした3連複で勝負しており、3着争いに目を移すと、ノーマークのポアゾンブラックが粘っている。
「何か差してこいっ」
と、わけの分からない声を上げると、それに応えてくれたのかツルマルレオンが差してきて、無事に3連複をゲット。やはり、3頭を当てるというのはたいへんだ。

 日曜は弥生賞。◎バッドボーイは2番手。エピファネイアと併せ馬のかたちで、いい手応えで直線を向く。
「よしっ」
と思ったのも束の間、もたれて失速し、2桁の10着に終わった。もたれ癖があるのか、スタミナ切れか。いずれにしろ、惜しくも何ともないハズレだった。
 勝ったのはカミノタサハラ。2着にも人気薄が入り、2強は3、4着に敗れた。皐月賞戦線は一気に混沌としてきた。

 阪神メインは大阪城S。◎サクラアルディードが最後に差してきて2着を確保。馬連を獲ったが、1着のエアソミュールはチラッとしか押さえておらず、トリガミ。

 今週は4戦2勝。トータルの収支もプラスを計上した。月が変わってツキも変わったか。この勢いを持続していきたい。

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2013年3月2日土曜日

2013弥生賞、大阪城S オレの予想を聞いてくれよ

 今週は弥生賞。今年で50回の節目を迎える、トライアル中のトライアルだ。過去の49頭の勝ち馬のうち、何と22頭がGIホースとなっているらしい。すごい割合だ。これはもう、GIに格上げしてもよいのではないか、と思ってしまう。でも、そうするとトライアルじゃなくなってしまうか…。

 与太話はこれくらいにして、レースにいってみたい。
 現時点で今年のクラシックの主役と目されている東西横綱が早くも顔を合わせる。しかし、その2頭を差しおいて、本命は◎バッドボーイ。1着候補という意味ではなく、馬券の軸という意味での◎印だ。
 1勝馬ということが理由で人気を下げているが、2走前はエピファネイアの0.1秒差の2着。前走も重賞で0.2秒差4着と、堅実に走る。陣営の話によると、前走、前々走のようなスローでヨーイドンの競馬よりも、淀みのないペースのほうがよいとのこと。今回はラジオNIKKEI杯のような極端なスローにはならなさそうだし、流れも向きそうだ。
 ◎が人気薄なので推奨穴馬はナシ。手広く流す。

 大阪城Sは◎サクラアルディード。適鞍で一押し。

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...