2014年6月23日月曜日

書評 瀧羽麻子『左京区七夕通東入ル』(小学館文庫)

イカ京に恋をした女子大生の、甘酸っぱいラブストーリー。


 イカ京という言葉をご存じだろうか。「いかにも京大生」の略で、あまりイケてない京大生を揶揄した言葉である。おもに理系男子学生で、チェック柄のシャツをジーンズに入れて、黒いベルトをしているのが典型的な姿だそうだ。いまやほとんど死語だが、80年代に流行した呼び方である。

 ただし本書の主人公はイカ京ではなく、そのイカ京に恋をした女子大生だ。京大文学部のハナは、理学部数学科の「たっくん」に惹かれていく。ハナ、たっくん、そしてたっくんの友人であるヤマネくんとアンドウくんの4人を中心に、青春真っ盛りだけれど、ちょっと「イカ京」な学生生活が描かれる。
 好奇心旺盛で、まっすぐなハナが、どんどん恋に落ちていく様子には、オッサンの私も「頑張れ」と応援したくなった。ちょっと甘ったるいが、不快な甘さではない。舞台が京都というのも、物語の雰囲気に一役買っている。また、たっくんをはじめとする男子学生たちも個性的で、女心をくすぐるキャラに仕立てられている(見習わねば)。
 京都を舞台にした女子大生の甘酸っぱいラブストーリー。ハナの前向きな姿勢に、元気をもらった。

 ただ、本書の京大理系男子学生たちのイカ京ぶりは、ちょっと「いかにも」過ぎるかもしれない。ここまで「いかにも」な学生は、現在はもちろん、過去にもあまりいなかったと思う。京都の女子大生たちは、安心してイカ京に恋してほしい。



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2014年6月22日日曜日

【予想の回顧】ユニコーンS、函館SS、米子S、天保山S(2014)

 ユニコーンSの本命は断然人気のアジアエクスプレス。先団のやや後ろからレースを進めるが、手応えが悪い。案の定、直線もサッパリ反応せず、12着に惨敗。直線入り口で少し窮屈になる場面はあったが、それがなくても見せ場はなかっただろう。断然人気の馬を本命にして撃沈すると、ショックが大きいなあ…。

 函館SSは、◎スマートオリオンが3番手で直線を向く。いい手応えだったので「もらった」と思ったのだが、メモリアルイヤーに外をフタされる形になり、行き場を失った。そのまま最後まで追うことすらできず、9着に沈んだ。まったく消化不良のレースだった。豊騎手も悔しいだろうが、何とかしてほしかったなあ…。こういうとき、外人騎手なら強引に間を割ったりするのだろうか。

 阪神メインは米子S。本命オリービンは1番人気。5、6番手で手応えよく直線を向いたように見えたのだが、伸びなかった。暑い時期はよくない馬なのかもしれないが、それならそうと早く教えてほしかった。

 土曜の阪神メインは天保山S。◎エーシンビートロンは好発を切り、ハナを主張したキズマを先に行かせる。これをピッタリマークし、持ったままの手応えで直線を向くと、ズバッと伸びて完勝。期待以上の強さを見せてくれた。2着に1番人気のウォータールルドが入ったため安くなったが、馬連を取った。

 今週は4戦1勝。土曜はそこそこ浮いたのだが、日曜がサッパリで、トータルもマイナスになってしまった。もったいない。

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2014年6月21日土曜日

【予想と与太話】ユニコーンS、函館SS、米子S(2014)~今年も堅く収まるのか~

 今週は東京でユニコーンSが、函館で函館スプリントSが行われる。そして阪神のメインは米子S。米子市は鳥取市とともに鳥取県の中核をなす都市である。県庁所在地は鳥取市なのだが、その名を冠した鳥取Sは1000万条件戦。JRAは、鳥取市よりも米子市のほうが格上だと認めているということなのだろうか。

 レースにいってみたい。こちらはユニコーンSを中心に。
 ユニコーンSはJRAでは数少ない3歳限定のダート重賞である。力の比較が難しそうに思うのだが、意外に本命路線のレースで、過去10年で1番人気が連を外したのは2回だけ。しかも連対馬20頭中18頭が4番人気以内と、非常に堅く収まっている。

 今年もその流れは続くと見た。本命は◎アジアエクスプレス。2歳チャンピオンホースがダートに戻って、ここは負けられないところ。距離短縮もいい。
 本命が人気馬だけに相手は絞りたい。前走、端午S組のメイショウバワーズコーリンベリーを厚めに押さえる予定。
 推奨穴馬はワイルドダラー。底を見せていない馬は押さえておくに限る。

 函館SSは◎スマートオリオン、米子Sは◎オリービンが本命。

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2014年6月20日金曜日

【予想と与太話】天保山S(2014)~天王山と天保山は真逆の意味~

 サッカーワールドカップが盛り上がりを見せている。私も例に漏れず、金曜は早めに出社し、日本-ギリシャ戦を後半戦から会社で観戦した。たいへん厳しい状況の日本代表だが、ミラクル大逆転予選突破があるのだろうか。

 そんな土曜の阪神メインは天保山S。てっきり天保山Sはなくなって天王山Sに変わったのだと思っていたら、今年は両方とも行われる。両レースともダート短距離のオープン特別。区別がつかん…。
 ところで、昨年の天保山Sの予想でも書いたのだが、天王山は
「ペナントレースの天王山」
のように「頂上決戦」の意味で使われるのはご存じだろう。一方、天保山はその間逆で、「最下位争い」「最低レベルの争い」の意味を持つらしい。今年で言えば、ヤクルト-DNA戦のようなものか(失礼)。なんでも天保山は自称「日本一低い山」であり、そこから来た用法だそうだ。
 天王山と天保山、レース条件はとても似ているが、意味は真逆。面白い。

 レースにいってみたい。
 かなり手薄なメンバー構成。夏競馬モードだ。本命は◎エーシンビートロン。オープンに昇級してから3走連続で3着。エアハリファやナガラオリオンとそれほど差のない競馬をしてきた実績は、このメンバーなら一枚上と見た。8歳馬の奮闘に期待したい。
 推奨穴馬はこれといった馬がいない。人気どころで収まりそう。

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2014年6月13日金曜日

【予想と与太話】マーメイドS、エプソムC、安芸S(2014)~こんな重賞見たことない~

 今週末は海外に行くので、土・日の分をまとめて書いておく。ネット環境が不明で時差もあるため、馬券を購入できるかどうか分からない。しかし、こういう馬券を買えないときに、えてして予想が当たってしまうものだ。今週は大当たりの予感?…

 そんな日曜の阪神メインはマーメイドS。牝馬のハンデ重賞らしく、かなり荒れ気味のレースである。
 今年のメンバーを見ると、まるで条件戦。それにしても、オープン馬がたったの2頭とは…こんなレースは記憶にない。ほとんど重賞として機能していないと見るべきだろう。
 それでも馬券は発売され、勝ち馬が出る。本命は◎ウエスタンレベッカ。前走はダート、前々走は距離と敗因は明確。3、4走前だけ走れば十分勝負になる。得意の阪神で激走してほしい。
 フーラブライドはお世話になっている馬なのだが、56 kgのハンデはいかにもつらい。次に重い馬が53 kgというのもそれに拍車をかける。さらに、前走ヴィクトリアM組の成績が悪いのも気がかり。今回は評価を下げる。
 推奨穴馬はサンシャイン。2頭しかいないオープン馬のうちの1頭の評価が低い。気力が尽きていなければ。

 エプソムCは人気でも◎ディサイファ。いつも何か強いのがいるが、そろそろ順番。

 土曜の阪神メインは安芸S。本命は、こちらも人気のグレイスフルリープ。唯一の降級馬が頭一つ抜けている。

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2014年6月12日木曜日

書評 万城目学『偉大なる,しゅららぼん』(集英社文庫)

滋賀の人気UPの起爆剤になってほしい!
キャラのたった登場人物たちが琵琶湖を舞台に繰り広げる超能力合戦.


 今度の万城目ワールドの舞台は琵琶湖.万城目氏が京都,大阪などに続き,わが家のある滋賀を舞台にした小説を書いたというではないか.
「これは読まねば」
と思っていた本書が文庫化されたのを機に購入.今回も万城目ワールド全開だ.

 現代の日本(関西)を舞台に,そこにトンデモハップンな架空の世界を構築し,キャラのたった人物たちを散りばめる.ワンパターンと言えなくもないが,面白いから許す(←偉そう).
 今回のトンデモハップンは
「琵琶湖の力を借りて他人の心を操る一族がいる」
というもの.
「そんなアホな」
なのだが,読んでいるうちにこんな一族がいそうな気がしてくれば,万城目ワールドへの入国完了だ.

 冒頭にも書いたようにわが家は滋賀県にあり,毎日琵琶湖を見ながら生活していることもあり,さらにハマってしまった.よく知っている場所が舞台の小説には親近感を感じる.
「琵琶湖って何県にあるんだっけ?」
「滋賀県って北陸だよね?」
と知名度の低い滋賀県だが,本書でその魅力の一端を感じてほしい.
 冬はスキー,夏はマリンレジャーを楽しめ,温泉やバーベキュー場も各地にある.もちろん京都よりも安く泊まれるし,子どもフレンドリーな宿や施設も多い.大津なら京都にも近く,京都市内の変なところに泊まるよりも,京都観光には便利だ.
 本書を読んだ後は,ぜひ一度,滋賀県においでやす.

<粗筋>
 琵琶湖の力を借りて人の心を操る日出家という一族がいるという.その日出家の分家に生まれた涼介は,本家に修行に出る.本家には跡継ぎの淡十郎がおり,涼介とは従兄弟で同級生にあたる.二人はともに高校に入学する.
 そこでクラスメートになったのは,ライバルの棗家の跡継ぎである広海.千年以上争い続けてきた両家の人間が同じ教室にいるなんて,どんな争いが巻き起こるのか….そんなところに校長が登場し,意外な方向へと話は進む.



2014年6月10日火曜日

書評 泡坂妻夫『しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』(新潮文庫)

二重、三重に仕掛けられた巧みなトリック。読み終えた瞬間、再びページを繰ってしまうこと間違いなし。やられた~。


 昭和62年に刊行され、いまだに重版を重ねている名作ミステリー。古さなどまったく感じず、あっという間に読み終えてしまった。

 ヨギ ガンジーという怪しげなオッサンが探偵役。ガンジーが二人の連れとともに巻き込まれたのは、とある宗教団体の跡継ぎ問題だった。人里離れた山奥で断食修行を行い、その結果で跡継ぎを決めるのだという。いかにもな設定だ。
 最後は二重、三重に張り巡らされたトリックが次々と明らかになり、すべての謎が解き明かされる。私は、そのうちの一つを見破っており
「大したことないなあ」
と優越感に浸っていたが、ギャフンと言わされてしまった。
「そのトリックは、だいたいの読者に見破られてしまうんですよねえ(想定内)」
という、作者の声が聞こえてきそうだ。うーん、腹が立つ。

 事件はすべて解決し、エピローグへ。そして最後の一文を読み終えたとき…
「えっ、マジで?」
思わず、再びページを繰ってしまった。「この本に」そんな仕掛けがしてあったとは。「大したことないなあ」どころか、KO負けである。脱帽。

 編集を仕事にしている者にとって、一文字も直すことが許されない本ってどうなんだろうなあ…。どういう意味かは、読んでのお楽しみ。



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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...