2012年2月25日土曜日

書評 水島昇『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』PHPサイエンスワールド新書

 オートファジーとは、細胞内で不要になったものを分解し、再び使える状態にする仕組み。平たく言えば、細胞内を掃除し、そこで出たゴミをリサイクルするシステムである。またオートファジーは、外から来たウイルスや細菌をやっつけるのにも絡んでいるし、さまざまな病気にも関連があるといわれている。

 このオートファジーの存在自体はかなり昔から知られていたらしいが、あまり誰も注目していなかった。それが、ここ10年ほどで、非常に注目を浴びる研究分野となってきた。そこで、本書のように、一般の人に新書というかたちでオートファジーを紹介しようという動きも出てきたということなのだろう。

 ただし、本書はけっこうレベルが高い。タンパク質や細胞について、高校の教科書レベルの知識を持っていないと、スイスイ読むのは難しいだろう。しかしこれは、著者のかみ砕き方が足りないせいとは言い切れない。オートファジーという、細胞内で起きる現象を説明するのだから、細胞やタンパク質の最低限の知識が必要なのは仕方がない。

 そういう知識を前提とするなら、本書は非常によくまとまっている。オートファジーの概略(1章)、研究の歴史(2章)、各種オートファジーの解説(3~7章)、オートファジー研究の最前線(8章)と、オートファジーを一通り知ることができる内容になっている。
 ある程度、生物の知識のある人が、オートファジーの入門書として選ぶには最適の一冊である。



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2012年2月24日金曜日

2012アーリントンカップ  オレの予想を聞いてくれよ

 新年の京都二開催が終わり、今週から阪神。来週からはクラシックのトライアルも始まるなど、春近しを思わせる。ここまで調子のいい人も悪い人も、気分を新たに予想に邁進したいものだ。ちなみに、私はもちろん後者である…。

 このレース、昔はクラシックに出られないマル外馬がうっぷんを晴らすレースだったが、クラシックがマル外馬にも門戸が開かれた現在は、トライアルレースが始まる前の、何だか中途半端な重賞になってしまった印象がある。1200 m戦なんかにすれば、特色が出てよいのかもしれない。ダートにするのもありかも。

 ちなみに、レース名の「アーリントン」とはアメリカのアーリントン競馬場からきたものである(JRAによる解説はこちら)。アーリントンミリオンというレースが有名な競馬場で、アーリントンとは地名だ。
 しかしいま、このアーリントンに、日本中の注目が集まっていることをご存じだろうか。何を隠そう(誰も隠してないが)、アーリントンはメジャーリーグのレンジャーズの本拠地なのである。レンジャーズとは、そう、ダルビッシュの入団した球団だ。今年はアーリントンという地名を聞くことも増えるだろう。私は興味がないが、サイン馬券のお好きな方は、11番(ダルビッシュの背番号)から勝負しても面白いかもしれない。

 ずいぶん話が横道にそれたが、そろそろ予想にいってみたい。
 このレース、近年は荒れ気味である。上にも述べたように、トライアル直前の時期とあり、メンバーが手薄になりやすいのだろう。今年も、前走、重賞で残念だった馬が上位人気を占め、荒れそうな雰囲気が漂っている。
 そんな中から私の本命◎はオリービン。前走、シンザン記念で7着と残念だった馬だ。しかし、このレースは折り合いに専念するあまり位置取りが悪くなってしまい、前残りの馬場もあって不発に終わったもの。阪神1600 mなら、開幕週でも極端な前残りにはならないだろう。2、2、0、0と得意の阪神で、存分に切れ味を発揮してもらいたい。

 荒れ気味のレースということで、推奨穴馬は少し多め。
 まずは、調教でよく動いた2頭、カイアルロマンスヴェアデイロス。そして、初芝が敬遠されているワイドバッハヴィンテージイヤー

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2012年2月21日火曜日

書評 東野圭吾『流星の絆』講談社文庫

 珍しく自ら購入した東野小説。買ってよかった。ボリュームはあるが一気に読める。

 兄、弟、妹の3兄弟(兄妹)の両親が惨殺される。悲嘆に暮れながらも、幼いながらも復讐を誓う3兄弟。
 そして舞台は十数年後に。成人した3兄弟は詐欺師となっていた。そんなとき、ある詐欺のターゲットの父親が、両親の仇であることが判明。その仇を警察に逮捕させるべく、3兄弟が知略を尽くす。

 と粗筋を書くと、なんだかとても暗い話に見えてしまうが、3兄弟の軽快で前向きなキャラクターのため、どことなく明るい雰囲気のストーリーに仕上がっている。「復讐」という重たく暗いテーマを軽快に描ききり、かといって軽薄にはなっていない。いつもながら、東野さんの筆力には脱帽である。
 犯人と父との関係の鍵を握るのが「ハヤシライス」だというのも憎い。高級フレンチのレシピだったり、秘伝のソースだったりではなく、ハヤシライスというメニューがキーになっているところが、この物語の何とも言えない暖かい雰囲気作りに一役買っている。家族の絆とハヤシライス。いい組み合わせだ。
 殺人、レシピの謎に、末妹の恋が絡まり、息をつかせない。600ページを超える大作だが、あっという間に読み終えてしまった。ラストは得意のどんでん返し。参りました。

 作品の内容とは関係ないことなのだが、一つ気に入らない点があった。それは「帯」だ。私が買った本(第4刷)の帯のオモテ面に
「兄貴、妹(あいつ)は本気だよ」
から始まる台詞がデカデカと印刷されているのだが、これはネタバレではないのか…。この台詞を知らずに読みたかったと思うのは私だけだろうか。ともかく、担当編集者がもしこの書評を読むことがあれば(ないやろうけど)、そういう読者もいるということを知って、帯や表4の紹介文では、極力ネタバレにならないような(かつ、その本の魅力を伝えるような)文章を練っていただきたい(難しいのは承知ですが)。

 ところで、本書を読んでいる間、私の頭の中ではある音楽がリフレインしていた。「流星の」で思い出す曲と言えば…そう、久保田利伸の、あの名曲である。
「○○の~ サドール イェイェイ」
 今もこの音楽が頭から離れない。どうにかしてくれ。



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2012年2月19日日曜日

2012フェブラリーS、ダイヤモンドS  予想の回顧

 土曜はダイヤモンドS。
 本命◎スマートロビンは、逃げるケイアイドウソジンの直後でスローの2番手をがっちりキープ。直線を向いても、まだもったまま。絶好の手応えで、あとはどこで追い出しを開始するか待つだけだ。ところが、満を持して追い出しても、さっぱり伸びない。前を捉えられず、後ろからも差され、3着。絶好の展開だっただけにふがいなかった。結果論になるが、追い出しを待ちすぎたか。溜めても切れる馬ではないようだ。

 日曜はフェブラリーS。
 本命◎トランセンドはスタートで行けず、押しても押しても前に行けない。終止、手綱が動きっぱなしで、直線も失速。まさかの7着に終わった。休み明けのポカなのか、燃え尽きてしまったのか、故障でもしたか。いずれにしろ、大惨敗で馬券もハズレ。
 結果は、推奨穴馬のテスタマッタが見事に突き抜けて1着。さらに、私が◎の相手に選んだ4頭が1~4着を占めるという、パーフェクト縦目…。こんなことがあっていいのか。

 ◎が飛んでしまっただけで、予想の流れは悪くないと前向きに捉えておきたい(反省せんのか)。

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2012年2月18日土曜日

2012フェブラリーステークス  オレの予想を聞いてくれよ

 昨日のダイヤモンドSの予想のエントリー、何とブログのタイトルを「京都記念」とする大ボケをかましてしまった。
「こいつ、なんで先週のレースの予想なんかしてるんや?…」
と不審に思われた方もいたかもしれない。ごめんなさい。

 閑話休題。
 早くも今年のGI第1戦だ。フェブラリーSがGIに昇格してからGI初戦がこの時期になったわけだが、いまだに少し違和感があるなあ(いつの話やねん)。昔のように、GIは桜の時期に桜花賞で開幕するのがよいと思うのは、オッサンのノスタルジーなのだろうか。

 さて今年のレース。トランセンドに人気が集中しているが、仕方ないだろう。私の本命◎もトランセンド。とくに目立つ新勢力がいるわけでもないし、今回のメンバーとは勝負付けが済んでいる。東京のダート1600 mは外枠も有利。ここは確勝と見た。

 まさかのシーンがあるとすれば、絡まれてハイペースになったときか。そこで鍵を握るのがエスポワールシチーと武豊の出方だ。トランセンドより内の枠を引いたし、少々無理をしてでもハナを取りにいくかもしれない。
 しかし、どちらがハナに立つにしろ、武豊と藤田伸二がガリガリとやり合うシーンは考えづらい。それほどの乱ペースにはならないということにしておきたい。

 ◎が大本命馬なので、相手を絞る必要がある。内からシルクフォーチュン、ワンダーアキュート、ダノンカモン、テスタマッタ。この4頭で勝負。推奨穴馬はこの4頭からテスタマッタを挙げておく。折り合えば切れる。

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2012年2月17日金曜日

2012ダイヤモンドステークス、山城ステークス  オレの予想を聞いてくれよ

 今週ははやくもGIウイーク。このチョー寒いのにGIというのも気分が出ないが、今年最初のGIだし、しっかり当てたいところ。

 その前に、土曜は東京でダイヤモンドステークス。3400 mのマラソンハンデGIIIである。
 長丁場のレースは、騎手の駆け引きが見えて面白いので私は好きなのだが、どんどん軽視されている。寂しい限りである。
 また、関西圏には3000 m超の重賞は天皇賞と菊花賞しかない。関西圏にも長丁場のGII、GIIIを作ってもらえないかなあ。レース名は「メジロマックイーン記念」と「ライスシャワー記念」でどうだろう。

 今年のレース、GIホースも2頭出走するなど、まずまずの顔ぶれが揃った。しかし、近走がピリッとしない成績の馬がほとんどで、混戦模様である。
 そんな中から、私の本命◎はスマートロビン。前走の日経新春杯でも◎に推した馬である。その前走は、ハナを切ったものの直線は踏ん張りきれず5着。太め残りだったように思う。今回は前走よりメンバーも軽くなるし、絞れていれば今度は粘り込んでくれるだろう。ハンデも据えおきの55 kg。逃げ馬の直後で脚をためられれば。
 相手は、人気どころだがヤングアットハート、ビートブラック、トパンガ、ギュスターヴクライ。この4頭に絞って勝負。

 山城Sも本命馬だけ挙げておく。人気だろうがアグネスウイッシュ

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2012年2月16日木曜日

布引ハーブ園、ホテル舞子ビラ、明石大橋、グリコピア神戸へ行ってきた

「ちょっと小旅行でもするか」
ということで、日、月と会社(と幼稚園)を休んで、一泊二日で神戸方面へ行ってきた。昨年はメリケンパークに泊まって王子動物園に行ったのだが、今年はちょっと趣向を変えて舞子方面まで足を伸ばした。

 初日は9時半頃に出発。妻の運転で神戸に向かう。カーナビの指示通りにいったつもりが、西神のほうへ抜けるトンネルに入ってしまうというアクシデント…。無駄以外の何物でもない30分と200円(有料トンネルとは…)を浪費して、ようやく新神戸周辺の駐車場に到着。
「じゃあ、布引ハーブ園に行く前に、昼ご飯にするか」
ということで、新神戸オリエンタルアベニューへ
 すると、何だかとんでもない人だかりが…。韓流アイドルグループ「SHU-I」のイベントがあるらしい。韓流アイドルとは縁のないわれわれは、そそくさとレストラン街へ。もう何年かすれば、娘(今は4歳)もこんなんになるんだろうか…。今から憂鬱だ。

 そして蕎麦を食べて布引ハーブ園へ。まずはケーブルに乗って山頂へ向かう。高所恐怖症の私を無視して楽しむ妻と娘。いや、マジ苦手なんですよ、高いところ…。
http://www.kobeherb.com/
 ハーブ園では石けんを作り、足湯を楽しんだ(写真がない…)。

 ハーブ園をあとにし、宿泊先のシーサイドホテル舞子ビラ神戸へ。大浴場があり、和室があって、子どもフレンドリーなホテルを探したところ、ここを見つけた。これが、思いのほか大当たりだった。値段もまずますリーズナブルで、部屋も広く清潔で、夕食のバイキングもなかなかよかった。
 部屋は和洋室を選択。


 寝たふりのつもりらしいが、バレバレやで…。


とても広い部屋で、息子(もうすぐ2歳)がハイテンションになって走り回っていた。


 子連れで神戸に旅行に行こうという方にはお薦めのホテルだ。神戸の西の端っこだが、神戸中心部まで30分もかからないだろう。

 翌日は、興奮しすぎで夜中に何度も泣いた息子のせいで寝不足だったが、朝ご飯を食べて明石大橋の舞子海上プロムナードへ
 正直、午前中の時間つぶし程度に想っていたのだが、一見の価値ありの施設だった。明石海峡大橋に登って、海や神戸の街を見ることができるのだ。


 高所恐怖症の私はオシッコをちびりそうだったが、子どもたちは平気なようだ。


 それはともかく、よくこんな橋を造ったものだ。近くへ行った際には、是非訪れてみてはどうだろうか。

 次は、昼食と見学をかねて、神戸ワイナリーに向かう。ところが、何と臨時休園。ガビーン。
「お父さん、ちゃんと調べとかなアカンやんか」
と娘に叱られる始末…。仕方なく近くの施設で昼食をとり、最終目的地のグリコピア神戸へ。
 工場見学は、子どもよりも大人のほうが楽しかったりするものだが、ここもそうだった。子どもよりも親が楽しんでしまった。たまには、そういうのもいいいよね。
 自分たちは大きな声で
「あ、これもグリコか」
「こんなに大きいコロンがあるで~」
とはしゃいでいるにもかかわらず、子どもたちには
「こら。静かにしいや!!」
と注意するオバサンたち(もちろん目の前でオバサンなんて言おうものなら抹殺されますが)と一緒に工場を見学。この工場ではポッキーを作っているようだ。


 それにしても、ものすごいオートメーションっぷりだった。しかし考えてみると、これくらいオートメーションで大量生産できないと、あの値段でポッキーは作れないようなあ。「資本の集積」のパワーや恐ろしさを改めて実感した。おみやげにキャラメルとプリッツを頂戴し(サービスええなあ)、帰路へ。
 大人も子どもも満足した小旅行となった。めでたしめでたし。

【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...