2012年7月4日水曜日

書評 宮本輝『優駿』(新潮文庫)

 美しい小説。主人公のサラブレッドはもちろん、風景、恋、夢などが、はかなくも美しく語られる。映像化したくなるのもよく分かる(実際に映画化されている)。
 サラブレッドの美しさ、競馬にかかわる人たちの夢、血統のうんちく、馬券勝負など、競馬の魅力が余すことなく披露されている。競馬バカを自認する私が、なぜいままで読んでいなかったのだろうか。

 物語は一頭の名馬「オラシオン」を中心に進んでいく。まず、名前がかっこいいよなあ。スペイン語で「祈り」という意味だそうだ。
 そして、オラシオンが生まれた牧場のせがれ→オラシオンの馬主→馬主の娘→馬主の秘書→オラシオンの騎手、の順に、章ごとに視点が変わっていく。ストーリーの中心にはいつもオラシオンがいるのだが、オラシオンはあまり登場しないのが憎いところだ。

 生産者が生まれた子馬にかける夢、馬主が競走馬にかける夢、騎手が乗り馬にかける夢、競馬オヤジが馬券にかける夢…、サラブレッドにはさまざまな夢がかけられている。それらたくさんの夢が絡み合い、話は進んでいく。しかし夢をかけるといっても、きれい事ばかりではすまない。さまざまな苦難を乗り越え、それぞれの登場人物が夢を追いかける様子が、華麗な文章で綴られる。
 この小説を読んだあとの週末に、100円でよいから馬券を買ってレースに参加して、できれば競馬場で生のレースを観戦すれば、きっと競馬の面白さを感じてもらえるだろう。

 私は今のところ馬券に夢をかけるしかない一介の競馬オヤジに過ぎないが、この小説を読んで
「自分の持ち馬に夢をかける馬主にならねば」
という使命感に燃え始めた。
「どこからそんな金が湧いてくるねん」
それはこれから考える。



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2012年7月1日日曜日

怪しいサングラス幼児たち

 お前ら、怪しすぎるぞ…。


沖縄土産の子どもサングラスをかけてご機嫌のわが娘(4歳半)とわが息子(2歳)でした。

 しかし、たくさんお土産を買ってきたのに、一番喜んだのが300円の子どもサングラスですか…。そんなもんだよな。

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2012CBC賞、ラジオNIKKEI賞、白川郷S 予想の回顧

 土曜は白川郷S。本命◎クラシカルノヴァは断然の1番人気。どれだけ強い勝ち方をするかと思って見ていると、3コーナーから手綱が動き始め、4コーナーでは追い通し。直線もダラダラとしか伸びず、5着まで。左回りが不得手なのか、58 kgがこたえたのか。いずれにしろ不可解な敗戦だった。こういう断然人気の馬を本命に推して惨敗すると、ヘコみますなあ…。

 日曜はCBC賞。本命◎マジンプロスパーは、逃げ馬の直後の絶好位をキープ。4コーナーを回って仕掛け、逃げ馬を捉まえると、グイグイリードを広げて完勝。見事期待にこたえてくれた。そして、2着には最後にスプリングサンダーが飛んできて、馬券もバッチリ的中。

 福島ではラジオNIKKEI賞。本命◎ヤマニンファラオは2番手からの競馬。勝ったファイナルフォームには完敗だったが、2着を守り切ってくれたお陰で馬連をゲット。2番人気-1番人気の組み合わせだったが、1350円つけば大満足だ。

 今週は、日曜の東西重賞をダブル的中。台風が来ないことを祈りたい。

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2012年6月30日土曜日

2012CBC賞・ラジオNIKKEI賞 オレの予想を聞いてくれよ

 今日はいまから出かけるので、早めに予想をエントリーしておく。

 日曜の中京メインはCBC賞。
 かつては暮れの中京開催の別定GII戦で、けっこうハイレベルだったのだが、夏のハンデ戦になったのが6年前。いまだに寒い時期のレースという感覚が抜けないのは私だけだろうか。暑い時期のCBC賞というのも、夏に降る雪みたいな感じでちょっといいかも(アホか)。

 では予想にいってみたい。
 普通ならダッシャーゴーゴーマジンプロスパーが抜けているのだろうが、なにせハンデ戦。とくにダッシャーは59 kgだ。別定ならともかく、ハンデ戦で59 kgを背負った馬が勝つというのは、条件戦でもあまり記憶にない。さすがにちょっと厳しいのではないかということで、◎マジンプロスパーのほうを本命に推したい。新装中京の1200 mは外枠が有利らしいし、57.5 kgなら許容範囲ということにしておきたい。
 推奨穴馬も、外枠からオウケンサクラ。ここ2走、差のない競馬をしており、上昇気配だ。2度目の1200 m戦で一発がないか。

 ラジオNIKKEI賞は◎ヤマニンファラオが本命。器用なレースぶりは福島向きか。

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2012年6月29日金曜日

2012白川郷ステークス オレの予想を聞いてくれよ

 宝塚記念も終わり、今週から本格的に夏競馬が開幕。また、阪神と中京の開催順が入れ替わったため、久々の夏の中京開催だ。こっちの順番(阪神→中京)のほうがしっくりくるなあ。
 そんな中京初日のメインレースは白川郷ステークス。
「そんなレースあったかなあ」
と思ったら、案の定、今年で3回目の新しいレースだった。

 ところで、白川郷ってどんなところなのだろうか。不勉強で、観光名所ということしか知らない。すかさずグーグル先生に聞いてみると…何と世界遺産でしたか。失礼しました(しかし、白川郷を悪く言うわけではないが、世界遺産ってちょっと安売りしすぎな気も)。白川郷の合掌造りの集落が世界遺産ということらしい。そういえば、小学校の地理で習ったような習わなかったような。
 で、合掌造りって何だったっけ…なんて調べていくとキリがないので、このあたりで打ち切ることにする。

 さて今年のレース。クラシカルノヴァが人気を集めそうだが、これといった軽ハンデの穴馬も見あたらないし、この馬で仕方ないか。差し馬向きの流れになるらしいし、58 kgと左回りさえ克服すれば圧勝も。
 上記のように穴っぽい馬が見あたらないのだが、強いて探すなら、推奨穴馬は軽ハンデ52 kgのアグネスミヌエット。ハイペースになれば飛んでくるかも。

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2012年6月27日水曜日

書評 織田作之助『世相・競馬』(講談社文芸文庫)

 織田作(織田作之助さんのことを織田作と呼ぶらしい)のことはほとんど知らず、作品も読んだことがなかったのだが、『競馬』というタイトルに惹かれて読んでみた。

 暗い…。
 暗い小説はたくさんあるが、それらは暗さによって何かを伝えようとしたり、暗いストーリーの中に何かを見いだしたりするものがほとんどだ。「暗さは手段だ」とでも言ったらよいのだろうか。
 ところが織田作の小説は、ただ暗い。暗いこと自体が目的であるかのように暗い。本書は短編集なのだが、どの話も暗い。もう真っ暗である。
 しかし、暗い話のはずなのに、サッと読めて、読後感も軽い。気分が重くなることもない。登場人物たちの、どこか飄々とした、ちょっと脳天気なキャラのせいなのだろうか。

 本書の中では『聴雨』という、将棋の坂田三吉を扱った小説がとくに印象に残った。最強棋士の一人だった坂田が将棋界から姿を消して十六年。ついに復活の対局を行う。果たして坂田はやはり強いのか。固唾を呑んで見守る将棋ファンたち…。
 という粗筋なのだが、これもまた暗い結末が待っている。しかし、暗いと感じるのは読んでいるわれわれだけで、坂田自身にはまったく暗さがない。そのため、重苦しくならないのだろう。

 暗いけど軽い。不思議な作風だった。



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2012年6月25日月曜日

書評 片野ゆか『北里大学獣医学部 犬部!』(ポプラ文庫)

 これは本当に実話なのか!? やるやん、今どきの大学生!
 犬部とは、犬、猫をはじめ、飼い主に恵まれない動物たちを保護し、新たな飼い主に譲渡するまで世話をする学生団体。その奮闘ぶりを、犬部の歴史をたどりつつ、さまざまな動物のエピソードを柱に綴ったのが本書である。

「犬部」は北里大学獣医学部の学生たちが運営するサークルで、動物愛護団体だ。そこへ保護される動物たちと、部員たちとの、心暖まる交流が描かれる。
 飼い主にひどいことをされていたのか、それとも生まれたときから飼い主はいなかったのか。いずれにしろ、心も体も疲弊している保護動物たち。ところが、犬部員たちが世話をするうちに心も体も回復し、愛らしい姿を見せるようになる。その過程も千差万別。それぞれの話にそれぞれ心を打つエピソードがあり、それが涙や笑いを誘う。
 とはいえ相手は生き物だし、サークルといっても動物愛護をしているのだから社会的責任もある。心暖まる話ばかりではすまない。ときには厳しい現実に直面する。本職は大学生である彼らが、どうやってその壁を乗り越えていくのか。若者たちの奮闘ぶりも堪能できる。

 以上が本書の概要であるが、私にはもう一つ、本書で学ばせてもらったことがある、それは組織運営の難しさだ。
 犬部はまだ新しい団体である。太田さんという創始者が犬部を作ったのが2004年。たぐいまれな行動力をもつ太田さんが引っ張るかたちで、犬部は発展していく。その後を継いだ池田さんも、これまた飛び抜けた活動力で、犬部の活動の輪を広げていく。
 しかし、大学生の活動である以上、2、3年で代替わりしていかねばならない。二人のカリスマ(といってもよいだろう)の抜けた後、組織としても大きくなった犬部にはさまざまな問題が勃発する。カリスマなき後、「普通の人」が運営できる組織への変革を迫られる犬部。まさに社会の縮図だ。
 このように本書からは、組織というものの継続、継承、発展の難しさも見えてくる。今後の活動が大いに気になるところだ。

 動物愛護にはいろいろな問題がつきまとうのだろうが
「一部の動物だけが救われるなんて不公平だ」
「自己満足だろ」
という批判や中傷を受けながらも奮闘する学生たちに賛辞を送りたい。わが家で将来ペットを飼うことになったときは、動物愛護団体から譲渡してもらおうと思った。



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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...