2015年1月18日日曜日

書評 朝井まかて『ちゃんちゃら』(講談社文庫)

マンションも便利でよいが、庭も捨てがたい


 江戸時代の下町を舞台にした人情小説。と思わせておいて、後半は人情にとどまらない展開を見せる。グイグイ読ませるストーリーに、江戸の庭文化が自然に散りばめられているところも憎い。私はマンション住まいなのだが、庭に対する憧れをかき立てられた。
 読ませる作品なのはもちろんなのだが、やはり朝井氏の小説は庭の描写が印象に残る。樹木、草花、池、石。これらが渾然一体となって一つの庭を造り、見る者を魅了する様子が伝わってくる。
「庭を見れば、その人が分かる」
というのは私がいま考えた格言(?)だが、そう言いたくなる。マンションも便利でよいが、庭も捨てがたいなあ。

【粗筋】
 江戸時代の庭師に弟子入りした孤児が、親方に加え、その仲間や娘たちに囲まれて成長し、自立していく様子が描かれる。やんちゃな青年が、仕事の悩みや恋の煩悶に面しつつも、一本気にそれをくぐり抜けて大人になっていく過程がほほ笑ましい。青年の成長を見えてほほ笑ましく感じてしまうとは、私も歳を取ったものだ…。しかし
「さあ、最後はどういう成長した姿を見せてくれるのだろう」
という期待は、いい意味で裏切られる。大きな影が、密かに彼を狙っていたのだ。




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【予想の回顧】日経新春杯、京成杯、大和S(2015)

 今週は日経新春杯。
 ◎フーラブライドは中団の前あたりにつける。いい手応えで4コーナーを回ると、直線では外へ。外にいる馬をはじくように進路を確保。
「差せ差せ~」
という声に応えてグイグイ伸びてきた。内を抜けてきたアドマイヤデウスには届かなかったが、見事に2着を確保。馬券は1-2着のワイドを取った。馬連だったら万馬券だったが、競馬はあたってナンボ。よしとしておきたい。

 中山では京成杯。
 ◎ベルーフは後方から大外を回す。
「なんぼなんでも、外を回しすぎでは…」
という心配をよそに、怒濤の追い込みで測ったように差しきった。あれだけ外を回って最速タイムで上がってくるのだから、モノが違った。デビューから4走で全て違う競馬場で走って3-1-0-0。楽しみな馬が現れた。ハービンジャー産駒の重賞初勝利となった。
 馬券は馬連を取り、少しプラスになった。

 土曜の京都メインは大和S。
 ◎サウンドガガは予定通り逃げ馬を見る位置につける。いい手応えで4コーナーを回って先頭に並びかけたのだが、直線半ばで脚があがって7着まで。差し馬の展開になっただけに仕方なかったか。

 今週は3戦2勝だったが、大当たりとはいかず、トントン。馬券の買い方は難しい。

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2015年1月17日土曜日

【予想と与太話】日経新春杯、京成杯(2015)~今日も熟女を狙う~

 今週の京都メインは日経新春杯、中山メインは京成杯。
 日経新春杯は今回で62回目を迎える伝統のGII戦。ハンデ戦ということもあり、例年、GI級の参戦は少ない。鬼の居ぬ間にひと稼ぎしようという「冬将軍」が目標とするレースである。
 過去の勝ち馬には第39回から順に、カミノクレッセ、エルカーサリバー、ムッシュシェクル、ゴーゴーゼット、ハギノリアルキングと(個人的に)懐かしい名前が並ぶ。ゴーゴーゼットが勝ったのがちょうど20年前のこと。サッカーボーイ産駒の長距離馬だった。この時代の冬将軍には個性的な馬が多かったように感じるのは、歳を取ったせいかもしれない。

 レースにいってみたい。
 今年も、昨年の覇者を含め、冬将軍っぽい馬が揃った。本命は◎フーラブライド。どうやら今回を最後に引退するようだ。この馬には一昨年の愛知杯でお世話になった。本ブログ史上最大級の大当たりをさせてもらい、人生初のワイド万馬券を取った。最後にもう一度お世話になりたいものだ。
 ハンデはやや見込まれたが、前々走はGIで0.3秒差、前走は56 kgを背負って0.4秒差なら悪くない。京都の長距離線は得意とするところ。昨年3着からの上昇を期待したい。
 推奨穴馬は昇級初戦のトウシンモンステラ…と思っていたら、現時点で何と1番人気。マジっすか。

 京成杯は◎ベルーフが本命。荒削りな馬だけに、外枠はむしろ歓迎か。

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2015年1月16日金曜日

【予想と与太話】大和S(2015)~熟女を狙う~

 珍しく、雨の多い冬だ。これだけ降水量があるのも珍しければ、雪にならず雨が降るのも珍しいように思う。京都の馬場が例年とは違って差しが決まりやすいのも、天候の影響もあるのかもしれない。

 そんな土曜は京都で大和Sが行われる。大和は大和地方、すなわち現在の奈良県を指す。京都の前に都のあったところだ。つい先日も明日香村で古墳が新たに発見された。
「こんな大きいものがなぜ見落とされていたのか」
と驚いてしまうが、見慣れた風景とはそんなものなのかもしれない。灯台もと暗しというやつか(ちょっと違うような)。

 レースにいってみたい。
 ダート1400 mのオープン特別。ここを勝てばフェブラリーSに出られるかもしれない、というメンバーが揃った。本命は◎サウンドガガ。前走は1着馬にはちぎられたが、2着とはアタマ、クビ差の4着。叩き2走目で力を示した。3走目でさらに前進がないか。今年好調の鞍上にも期待。
 推奨穴馬はカフェシュプリーム。穴を開けるなら昇級初戦の馬か。

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2015年1月15日木曜日

映画評 『スイングガールズ』

シンプルで、元気の出る映画。


 名作『ウオーターボーイズ』の女子高生版。田舎の女子高生たちが、ひょんなことから軽音楽グループを作ることになり、七転び八起きしながらグループを成長させていく。何のひねりもないストーリーなのだが、そこがいい。
 軽音楽に打ち込むことになった過程も笑えれば、途中のアクシデントや出会いにもズッこけてしまう。女子高生たちが絆を深めつつ成長していく姿がコミカルに描かれていて、ついつい引き込まれてしまう。
 感動の名作もいいが、こういうシンプルで元気の出る映画もいいものだ。

 一つ残念だったのは、演奏が上達していく過程が大胆に端折られていることか。聞くに堪えなかった演奏が、次のシーンでは突然「いい感じ」になっている。練習シーンをもう少し見せてくれてもよかったかなあ。
 とはいえ、それを差し引いても見る価値あり。ジャズが聴きたくなること間違いなし。

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2015年1月13日火曜日

書評 百田尚樹『モンスター』(幻冬舎文庫)

男目線の美人論


 とんでもない醜女が整形に目覚め、とんでもない美貌を手に入れて故郷に帰り、積年の鬱憤を晴らす。誰でも考えつきそうなストーリーなのだが、その心理描写がすさまじい。醜女の心がねじ曲がっていく様子、美女への嫉妬などが、これでもかと綴られる。ドロドロを通り越して、ネチョネチョだ。
「アホらしい」
と思いつつも
「次はどういう行動に出るのか」
と気になって、ついついハマりこんでしまう。

 私は男なので、醜女の気持ちも美女の気持ちも類推するしかないのだが、醜女は本当にこのように思いこんでいくものなのだろうか。書き手の百田氏も男性であり、心理描写には多分に男性目線が幅をきかせているように感じた。

 百田氏の作品は初めて読んだのだが、最初の一冊としてはやや変化球に過ぎたかもしれない。
 本書を読んで、女性はどのような感想をもつのだろうか。この本を買ってきた妻に聞いてみたい気もするが
「だから男は、うんぬん」
と説教されそうな気がする。いや、オレがこう思ってる訳じゃないんですけど(なぜ言い訳が…)。




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2015年1月12日月曜日

【予想の回顧】シンザン記念、フェアリーS、淀短距離S、寿S、招福S(2015)

 日曜は京都でシンザン記念。
 ◎ダッシングブレイズは蓋を開けてみれば、やや抜けた1番人気。そこまで人気するかな。
 後方からレースを進めるが、直線に入ってもいまいちエンジンがかからない。残り1ハロンでようやくエンジンに火がついて追い込んできたが、時すでに遅し。4着に終わった。同じ位置にいた馬が上位を占めたのだから、物足りなかった。距離が伸びるほうがよさそうだ。
 実は、パドックでダッシングブレイズがあまりよく見えなかったので、ダッシングブレイズを含む4頭のボックスで勝負したのだが、1~3着の馬はボックスに入っておらず、惜しくも何ともなかった…。内枠の先行馬に固執しすぎたかもしれない。

 土曜の京都メインは寿S。
 ◎アドマイヤスピカは前に行けず後方から。この日の京都の芝は意外に差しが決まっていたので、いいかもしれない。内枠ということもあり、4コーナーでは果敢に内に突っ込んだがモロに前がふさがりジエンド。かなり脚を余した。あの位置取りから内を狙うのは無理があったかもしれない。だが、突き抜けていれば好騎乗ということになったのだろうから、紙一重か。

 中山メインは招福S。
 こちらは直線で◎マイネルバウンスの進路が空いて、内を抜けてきた。ところが外から差してきたストロングサウザーの馬券を押さえておらず、ハズレ。

 月曜は京都で淀短距離S。
 本命◎ラインスピリットは好発を切ったが「何が何でも」のアンバルブライベンにハナを譲った。そこまではよかったのだが、アンバルブライベンの外に持ち出そうとしたところにエイシンブルズアイに蓋をされたしまった。そのため揉まれる形になったのが答えたのか、直線では早々に失速してブービー15着に惨敗。逃げ馬が負けるときはこんなものか。

 中山ではフェアリーS。
 ◎コートシャルマンは中団の内を追走して、4コーナーでもうまく前が開いたのだが、思ったほど伸びず4着。絶好の展開に見えたのだが…。

 今週は5戦してなんと0勝…。他がポツポツ当たったので大怪我はせずにすんだが、散々だった。

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【読書メモ】深木章子『殺意の構図』(光文社文庫)

 初めて読んだ深木作品。なるほどよく組み立てられたストーリーだ。「構図」という言葉をタイトルに使いたくなるのも頷ける。  一人称を変えることにより、さまざまな角度から事件に光が当たる。 「なるほどそうか」「確かにそうだよね」「そうか、この人だったか」 と納得しているうちに...