呪われた学級である夜見山北中学校の3年3組には「ある年」と「ない年」があり、「ある年」はクラスの生徒およびその家族が次から次に変死する。「ある年」には、本来いないはずの生徒が3年3組に混ざっているが、それに誰も気がつかないのだという。
その3年3組に転校してくることになった少年を主人公に話は進む。鳴という不思議な少女を初めとするクラスメイトたちが主要登場人物である。
5月、6月と、次々と死んでいくクラスメイトやその家族たち。そう、今年は「ある年」だったのだ。
「次は自分かもしれない」
という恐怖が生徒たちを(そして読者を)襲う。クラスメイトの誰が「本来いないはずのもう一人」なのか。みんなが疑心暗鬼になる中、災厄を終わらせるための合宿が行われるが、そこで待っていたのは…。
綾辻さんの小説は「館シリーズ」の2冊に続く3作目。「館シリーズ」が最後にすべての謎が明らかになる本格推理小説なので、本書もそうだと勝手に思っていた。しかし本書では、(一つを除き)謎はほとんど明らかにならない。ちょっと消化不良な印象。
しかし、恐怖やスリルは満点である。
「次は誰が殺されるのか」
という、王道とも言えるドキドキ感が堪能できる。
「謎解き」ではなく「ドキドキ」(おおっ、韻を踏んでいる)を求めている人にはお薦めの一冊。
蛇足だが、本書の映画が先日公開された。しかし、ただ一つ明かされる謎(本書のオチと言ってもよい)をどのように取り扱っているのだろうか。たいへん気になる。
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