2014年12月31日水曜日

映画評 『インセプション』

ちょっと分かりにくいような…。


 ディカプリオが主演、渡辺謙も重要な役で出演のSF映画ということで、期待していたのだが…。ストーリーが分かりにくく、それを追うのに気を取られて入り込めなかった。それも
「オレの理解力が足りないなあ」
という感じではなく
「もっと分かりやすく説明しろよ」
と言いたくなる難しさなのだ。これはきっと原作本があって、その世界観をうまく説明しきれなかったのではないか、と思って調べてみたのだが、原作本はないらしい。うーん、何だか消化不良だ。

 ストーリーは、夢の中に進入して、その夢を見ている人物の深層心理を改変し、自分たちの都合のよいように操作しようというもの。ところが、どこからが夢でどこからが現実か、分かりにくいのだ。もちろん、わざと分かりにくく作っている部分もあるのだろうが、そこに気を取られているうちに佳境に入り、そのまま終わってしまった。
 しかし、評価はそれほど悪くないようだ。やはり私の理解力に問題があったのだろうか…。

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2014年12月30日火曜日

書評 池内了『宇宙論と神』(集英社文庫)

科学と神は容易に共存する。


 有史以前から現代までの天文学の歴史をたどると、天文学が物理学に近づいていく様子がよく分かる。そして神は、居場所こそ変えたものの、現在も確かに存在するのだ。

 有史以前、「世界」とは自らの目の届く範囲、せいぜい市町村レベルだっただろう。この時代、神はとても身近な存在だったに違いない。その後、文明の発達により「世界」が広がっていったが
「この『世界』はどのようにして作られたのだろうか」
という問いは人類に共通の疑問だったに違いない。各文明に天地創造の神話があるのは当然だろう。
 文明がさらに発展し、世界がどんどん広がっていくにつれ、神も居場所を変えていく。自分たちの国を作った存在、そして地球を作った存在として、人間からは遠ざかっていった。
 その後、望遠鏡が発明されて地球は惑星の一つに過ぎないことが分かり、さらに太陽も夜空にきらめく星々と同じものだということが明らかになった。神は地球や太陽系を作ったわけではないらしい。しかし「やっぱ、神っていなかったのんで」という話にはならない。
「それなら、宇宙を作ったのは誰なの?」
というところまで神は遠ざかるだけの話だ。

 神が宇宙まで後退(?)したところで、天文学は物理学と交わりはじめた。宇宙の根源は物質とエネルギーの根源であり、それは物理学の領域なのだ。そしてついに、宇宙はビッグバンによって生まれたという説が確立したが、神は姿を消さなかった。
「神がビッグバンを起こしたのだ」
という訳である。
 さらに現代では、宇宙は一つではなく、無数にあるという説が有力らしい。ビッグバンすら、特別な現象ではなかったというのだ。しかしその現代でも、もちろん神は生きている。
「無数の宇宙が生成される仕組みを作ったのが神である」
のだ。

 こんな、宇宙論と神との関係、天文学の歴史と物理学の関係を分かりやすく伝えてくれるのが本書である。科学啓蒙書の書き手の第一人者とも言える、池内氏の面目躍如の一冊である。
 近頃、村山氏や大栗氏をはじめ、宇宙の謎を平易に解き明かす若い書き手がどんどん出てきている。しかし、有史以前からの歴史を追うという大局観に立ち、科学に対する神の立ち位置を分かりやすく示せるのは、ベテランのなせる業だろう。さすが池内氏。




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2014年12月28日日曜日

【予想の回顧】有馬記念、ホープフルS、阪神C(2014)

 有馬記念の本命は◎ラストインパクト。スタート直後に内に潜り込み、中団のラチ沿いを進む。いい感じだ。そのまま直線を向き、迷わず内を突いた。強敵相手にはこの手しかないということか。いい手応えで前に迫り
「やったか」
と思ったのだが、案の定、進路が狭くなった。前が開いた後は再び伸びたが、脚を余した感じの7着。スムーズなら2着争いから抜け出せたように思うが、イチかバチかだっただけに仕方ないところか。菱田騎手はチャレンジャーらしい、思い切った騎乗だったと思う。
 勝ったのはジェンティルドンナ。3番手から抜け出して見事に引退レースを勝利で飾った。中山うんぬんよりも、今秋はちょっと衰えたように思っていたので評価を下げたのだが、私の目は節穴だったようだ…。

 ホープフルSは◎レトロロックが先団を見る位置から進めるが、少しかかり気味。直線でも反応せず、7着に沈んだ。現時点では力不足なのか。

 土曜は阪神で阪神C。
 本命の◎ウリウリは最内枠から道中もラチ沿いの中団を追走。4コーナーまでジッと我慢し、うまく外に持ち出す。直線半ばでは前を捉える勢いで伸びてくる。
「やった」
と思ったのも束の間、ラスト1ハロンで失速し、4着まで。1400 mでもまだ長いのか。
 馬券は、ワイドで買っていたので惜しかった。

 今年最後の結果は、3戦0勝…。だが他で一発当たったので、トータルはトントンになった。
 これで2014年の中央競馬も終了。また来年! というか、また来週!

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2014年12月27日土曜日

【予想と与太話】有馬記念、ホープフルS(2014)~今年お世話になった馬は~

 今週は有馬記念。今年は仕事納めの後に有馬記念があるので、例年にも増して年末感が強い。有馬記念の翌日に仕事があるよりも、このほうがいいなあ。日付の関係もあるだろうが、なるべく毎年こうなるようにお願いしたい。

 レースにいってみたい。
 今年も豪華なメンバーが揃った。キズナを除いた有力馬が勢揃いしたと言ってよいだろう。実績馬4頭がやはり人気上位を占めている。しかし、どの馬も一長一短というか、圧勝してもおかしくないし、惨敗してもおかしくない。さてどの馬を選んだものか。
 こういうときは、今年お世話になった馬を選ぶに限る…と思ったのだが、はて、お世話になった馬が思いつかない。
「何でかなあ」
と思って記憶をたぐると、今年の古馬中長距離GIは今のところ全てハズれているのだった…。最後くらいはビシッと当てたいものだ。

 本命は思い切って◎ラストインパクト。名門厩舎の素質馬が、今秋、重賞を2連勝して軌道に乗ってきた。二走前の京都大賞典を勝った後、なぜGIに向かわなかったのかは謎だが、いよいよ時は熟したということにしておきたい。夏から使い詰めなのはやや気がかりだが、ここ2年連続で連対している金鯱賞組。フレッシュな鞍上にも期待したい。
 推奨穴馬は、こちらも金鯱賞組からウインバリアシオン。メイチの仕上げと見た。

 ホープフルSは◎レトロロックが本命。前走はかかってしまった。折り合えば。

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2014年12月26日金曜日

【予想と与太話】阪神カップ(2014)~実力馬が軽視されてるような~

 今年の中央競馬もいよいよラストウィーク。最後くらいビシッと当てて、気持ちよく新年を迎えたい…と毎年書いている気がする。いつかは、最後「も」ビシッと当てて…と書いてみたいものだ。

 そんな最終週の土曜は、阪神で阪神Cが行われる。これも毎年書いていることなのだが、JRAに二つしかない定量戦GIIの一つである。GIを何勝している馬でも同じ斤量で出られるというわけだ。
 しかし、その割には毎年メンバーが揃わない。マイルCSは終わった後で高松宮記念まではまだ間があるという中途半端な時期が原因だろう。もう一つの定量戦GIIの札幌記念が豪華メンバーを集めているのとはえらい違いである。何とかならないものか。

 レースにいってみたい。
 マイルCSやスプリンターズSで惨敗した馬が集まり、近走の着順が悪い馬が多く、難解なメンバー。本命は穴っぽいところから◎ウリウリ。前走の8着で評価を下げているようだが、1800 mは長かったし、0.4秒差なら悪くない。阪神1400 mは3走前に好走しており、叩き2走目の上積みもある。冬女のイメージもあるこの馬の激走に期待したい。
 推奨穴馬はハクサンムーンクラレントの実力馬2頭。前者は距離で、後者は右回りで評価を下げているようだが、軽視されすぎのような。

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2014年12月25日木曜日

書評 島田明宏『誰も書かなかった武豊 決断』(徳間書店)

武豊はなぜ返り咲くことができたのか。


 騎手としての武豊の半生を、丹念にあぶり出した一冊。18歳で騎手としてデビューし、瞬く間にスターダムを駆け上り、超一流騎手として前人未踏の記録を作り続けていった武豊。メジロマックイーン、オグリキャップ、サイレンススズカ、ディープインパクト…。武とコンビを組んだ名馬は数知れない。現代日本のスポーツ界において、イチローと並ぶ記録男といってよいだろう。しかし、2010年の落馬負傷以降、かつての輝きを失ってしまう。
「もう終わった」
と多くの人が感じていたが、昨年(2013年)に5度目のダービーを制するなど、復活の道を歩み始めている。

 その騎手人生を、親友でもある島田氏が綴ったのが本書。武の海外遠征にも同行するなど、常に武の身近にいた島田氏にしか書けない逸話が満載で、競馬ファン(競馬バカ?)の私はグイグイと引き込まれてしまった。特に、オグリキャップの有馬記念激走秘話などは、悶絶寸前だった(ちょっと大げさか)。武豊ファンだけでなく、競馬に興味のある人すべてに読んでもらいたい。

 しかし武豊は、まだ現役バリバリの騎手である。その騎手生活を振り返った本ではないので、書けないこともたくさんあるだろう。ましてや書き手は、いまも武豊の側にいる人である。赤裸々にはしきれないことも、たくさんあるに違いない。
 たとえば「アドマイヤ」の冠名で知られる近藤オーナーとの確執や、騎乗ベースを海外へ置くことことからの撤退(本書では撤退という言葉は使われていない)などは、サラッと流されている。そういう面は物足りなかったが、仕方ないのかな。
 そういうところが知りたい方は、アサヒ芸能を読めということにしておきたい。アサヒ芸能がどこまで真実を語っているかは、知るよしもありませんが…。




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2014年12月24日水曜日

新装ピエリ守山と、佐川美術館「魔法の美術館 光と影のファンタジー」展に行ってきた

 小1(7歳)と年少(4歳)の子どもを連れて、新しくなったピエリ守山と、佐川美術館に行ってきた。わが家は、両施設から車で10分ほどのところにあるのだ。
 きっかけは、佐川美術館で「魔法の美術館 光と影のファンタジー」という展示をやっているのを知ったことだ。子どもたちが喜びそうだと思ったので誘ってみたのだが、これが期待以上に楽しかった。

 まずは佐川美術館へ。今回で3回目なのだが、いつもより車が多い。いざ館内へ。


ちょうど、ワークショップをやっていたところだった。これもあって人が多かったのだろう。工作好きのわが子たちは参加したくて仕方なかったのだが、予約をしていなかったので断念。まずは常設の平山郁夫館へ。この常設展を見るだけでも価値がある。個人的には「楼蘭の月」が好みだ。この青が何とも言えない。

 いよいよお待ちかねの「魔法の美術館 光と影のファンタジー」へ。


これが子どもたちには大ウケだった。現代アートを「体験」できるというコンセプトで、「見て」「触って」「楽しみながら」「学べる」新感覚体感型ミュージアムという看板に偽りなしだ。各作品の詳細はリンク先を見てほしい。うちの子どもたちが特に喜んだのは次の二つ。
 姉(小1)は本好きということもあり、重田佑介氏の《がそのもり》に夢中だった。白紙の絵本に、プロジェクターから投影される光を当てると、絵本のようなシーンが映し出されるのだ。それが美しく、また動くものだから娘は興味津々だった。かれこれ20~30分は釘付けになっていた。


 息子(年少)は体験型の藤本直明氏作《Immersive Shadow》にハマった。スクリーンに自分の影が映し出され、自分が動くと影も動き、その影がスクリーン内の風船をはじき飛ばすのだ。自分の動きが画面に投影されるのが面白かったのか、ずっと飛び跳ねていた。


 他の作品も満喫し「さあ、彫刻でも見に行こうか」というと
「もう一周!!」
というリクエストが…。よほど楽しかったようだ。子どもたちのリクエストに応えて、もう一周した。
 最後は真鍋大度氏・比嘉了氏作の《happy halloween!》で大笑いした。


 いつもは彫刻や茶碗も見るのだが、お腹が減ったので美術館を後にした。次回は彫刻や茶碗も見に行こう。

 続いて、昼ご飯を食べてクリスマスプレゼントを買うために、新装・ピエリ守山へ。ご存じの通り、一度破綻したショッピングモールが復活リニューアルしたのだ。駐車場はかなりの混雑で、かなり遠いところに駐めさせられたのだが、館内はそれほどでもなかった。


 ただ、お昼時でもあり、食事にありつくには1時間ほどかかった。昼食はカプリチョーザでピザとパスタを食べた。

 リニューアルオープン後、ほぼ1週間後の祝日にしては、ちょっと人が少ないような気がしないでもない。前回のようにはなってほしくないのだが、大丈夫なのだろうか…。
 とはいえ地元民としては、前回のようにポシャってしまうのも困るが、かといって人気が出て混雑しても足が遠のいてしまう。ほどほどに賑わって、続いていってほしいものだ。

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...