「話題になっている本を読むのは何か悔しいなあ」
という「あまのじゃく」な発想が働き、まずは過去の作品を読んでみようと選んだのが本作。この作品を選んで正解だった。
冒頭(プロローグ)は、江戸時代から始まる。
「この話がどうつながっていくのだろうか」
なかなかワクワクするスタートだ。
そして本編の第1章は、水星観察の場面。何と、水星に構造物ができ、水星の地殻から採った物質を太陽へ向けて放射し、太陽にリングを作っている様子が観察される。
水星人が存在したのか、それとも宇宙人が水星に到着してリングを作っているのか、はたまたそのリング自体が宇宙からやってきた生物で、自己増殖しているのか。
こんなところから物語は始まる。
そのリングによって、地球への太陽光が減少し、地球は壊滅状態へと向かっていく。当然
「このリングを何とかせにゃならん」
という話になり、人類は水星へ人間を送り、リングを破壊しようとする。
リングは一体どういう構造なのか、それを設置しているのは誰なのか。その謎が明らかになり、ストーリーはさらなる段階へ進む。そして最終的には「未知との遭遇」へと話は展開する。というのが粗筋。
こういうストーリーを「ハードSF」というらしいが、たしかにかなりハードな科学的展開を堪能した。
印象的だったのは、終盤の「未知との遭遇」の場面。
「おお、シュールやなあ」
という場面が展開される。こういう感じが『ピアピア』へつながっていくのだろうか。是非そちらも読んでみたいと思った。
リングの組成、その由来、そしてそれが「未知との遭遇」へとつながっていく過程が無理なく導かれており「これぞSF」というストーリーが堪能できる。
しかし一番の特徴は、その過程ではなく、結論にあたる部分ではないか。私がいままでに読んだSFにはない結末だった。本作の「未知との遭遇」は、暖かいものでもなく、かといって冷たくもなく、上にも書いたようにシュールな出会いだった。いままでにない読後感だ。
あまり書くとネタバレになるので魅力を伝えるのが難しいが「平成時代のシュールなSF」と聞いて興味をそそられる方には是非お勧めである。
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