2013年7月26日金曜日

書評 喜多喜久『猫色ケミストリー』(宝島社文庫)

 理系人の、理系人による、みんなのためのミステリー、第2弾。
 東京は本郷の、とある大学の理系(化学系)研究室を舞台にした作品である。ケミストリーとミステリーが見事に融合された、「ケミステリー」とでも呼びたくなる好著。

『ラブ・ケミストリー』に続く、喜多氏のデビュー第2作は、前作と同じく東大農学部が舞台。ただ、第1作とは独立に読める作品だ。
 基本的な構成は第1作と同じで、奇想天外な展開が軸にあり、そこへ化学系の理系人たちの生態を絡めたものになっている。
 今回、軸となっているのは、魂と肉体が入れ替わるという、よくあるパターンだ。ただ、本書が変わっているのは、ある二人の間で魂と肉体が交換されるのではなく

  男子大学院生(明斗)→女子大学院生(スバル)→猫

というように、玉突き式に魂が入れ替わる点である。明斗の魂がスバルに、スバルの魂が猫に移ってしまうのだ。猫が混ざる点が笑える。
 元に戻る方法を探る明斗とスバル。しかしその過程で、研究室の誰かが危険な化合物を合成しているという事実をかぎつける。典型的なオタク理系人である明斗(肉体はスバル)と、今どきの女子であるスバル(肉体は猫)の名コンビにより、徐々に明らかになる犯人の手法と狙い。果たして二人は、犯人を突き止め、さらには元の体に戻ることができるのか。

 理系ラボの様子を鮮やかに描きつつ、読者をグイグイと引き込んでいく筆力は秀逸である。前作は「ケミストリー(理系人の様子)」と「ミステリー(謎解き)」がほぼ独立していたのがちょっと残念だったが、本作ではこの二つが見事に融合している。ミステリーの解明に、ケミストリー(化学)が大きなカギを握っているのだ。偉そうだが
「腕を上げたなあ」
と言いたくなる。ケミストリーの現場を熟知している喜多氏にしか書けない作品だろう。

 これまで、小説に出てくる科学者というと、数学者や物理学者(ガリレオ湯川も物理学者だ)がほとんどで、化学者はどうも旗色が悪かった。化学物質、化学兵器など、化学という言葉も、どこかイメージが悪い。
 そんな現状を覆すべく、喜多氏にはこれからも上質の「ケミステリー」を書いていってもらいたい。



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2013年7月21日日曜日

予想の回顧 2013 中京記念、函館2歳S、桶狭間S

 日曜の中京メインは中京記念。
 ◎フレールジャックはポンとスタートすると、何とハナを切る。想定外だ。
「前残りの馬場でもないし…ちょっとイヤやなあ」
と思っていると、4コーナーで第二の想定外が。何とフレールジャックが故障を発生してズルズル後退。私の馬券はすべて紙くずになった。
 競馬なんだからこういうこともある。可愛そうな結果だった。

 函館2歳Sは、◎トーセンシルエットが好位のインを追走。直線で馬場の半ばに持ち出すと、オールパーパスを競り落として3着でゴールイン。
 馬券は、ワイドで買っていたのが大正解で、1-3着と2-3着のワイドをとった。

 土曜の桶狭間Sは◎ケイトが先団を見る位置でコーナーを回ったが、直線では脚があがり11着。同じような位置にいた馬が1、3着に来ているのだから、不甲斐ない結果だった。

 今週は3戦1勝だが、福島の土・日メインを的中したのが大きく、プラスの収支となった。この調子で今年の負けを取り返していきたい。

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2013年7月20日土曜日

2013 中京記念、函館2歳S オレの予想を聞いてくれよ

 中京最終週のメインレースは中京記念。昨年から1600 mにリニューアルされた重賞だ。それ以前はずっと春(3月)の中京開催で行われていたらしいのだが、あまり記憶にない。GIやそのトライアルの陰に隠れていたのだろう(馬券を当てていないから覚えてないだけという話もあるが…)。今後は、サマーマイルの開幕戦として存在感を示していってほしいものだ。

 さて、レース。
 実績馬は夏休み中なのか、オープン特別レベルのメンバー構成という印象。このメンバーなら◎フレールジャックで何とかならないか。重賞勝ちのあるこの馬が56 kgは恵まれた印象。外差しのきくいまの中京もよさそう。どこかで外に出したい。康太くん、頼みまっせ。
 推奨穴馬はランリョウオー…と思っていたら、何と現時点では3番人気。穴ではないが、是非狙いたい。

 函館2歳Sは◎トーセンシルエット。東京での新馬勝ちを評価。

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2013年7月19日金曜日

2013 桶狭間S、白河特別、函館日刊スポーツ杯 オレの予想を聞いてくれよ

 中京、福島開催は今週で終わり。来週からは小倉、新潟競馬が開幕する。早いなあ…。
 そんな中京最終週の土曜メインは桶狭間S。中京競馬のレース名には(というか東海地方には)、合戦の舞台となった場所が多いですな。
 桶狭間といえば、織田信長が今川義元を討ち取ってスターダムへ登った合戦の地だが、どのあたりにあって、いまはどうなっているのだろうか。そういえばよく知らなかったので、今週もグーグル先生に教えを請うた。すると、何とっ

桶狭間の戦いの場と伝わる丘は (中略) 中京競馬場前駅西の豊明市栄町にある高徳院境内の西南に広がる丘に到る。(wikiより)

中京競馬場のすぐ近くということらしい。それは知りませなんだ。メインレースという扱いにも納得である。
 信長が義元を討ち取って歓声を上げた地で、約450年後に馬の競走で歓声が上がっているとは誰が想像しただろうか。歴史のロマンを感じさせる(?)。

 レースにいってみたい。準オープンのハンデ戦。ハンデ頭が56 kgということからも分かるように、ややレベルが低い印象。
 本命は◎ケイト。前走は昇級初戦。着順こそ6着といま一歩だったが、0.3秒差なら上出来だ。着順が悪かったお陰で、ハンデも52 kgと恵まれた。「夏は牝馬」の格言通りの快走を期待したい。
 推奨穴馬はこれという馬がいないが、しいて挙げるならトゥザサミット

 白河特別は◎フレデフォートが、函館日刊スポーツ杯は◎アットウィルが本命。

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2013年7月16日火曜日

書評 横溝正史『獄門島』(角川文庫)

 金田一シリーズの例に漏れず、オカルトチックな雰囲気のストーリー。複雑な婚姻・親子関係、妄執・嫉妬、気の触れた当主など、背筋がゾワゾワするような舞台が用意されている。
 そこへ乗り込んだ金田一が、ちょっとピントの外れた、剽軽(ひょうきん)なキャラクターを見せつつ事件を解き明かす。舞台設定はオカルトだが、謎解きは論理的だ。このギャップが、金田一シリーズの真骨頂である。最後は、さまざまな伏線が回収され、すべての謎が明らかになる。お見事。

 私にとって本書は、中学生の頃に『八つ墓村』ともう一冊(何かは忘れた)を読んで以来、三つ目の横溝作品。当時は親から
「怖いで~」
とビビらされていたのでホラー作品なのかと思っていたが、読んでみるとそれほど怖さは感じなかったため、拍子抜けした記憶がある。
 いまではもちろん分かるのだが、横溝作品の本質はホラーではない。オカルトかと思わせつつ、最後には動機やトリックがきちんと明らかになるところが、巨匠と評価されるゆえんであろう。
「東西ミステリーベスト100」第1位の評価に違わぬ名作だった。

 粗筋はこんな感じ。
 瀬戸内海に浮かぶ獄門島。その名の示すように、罪人の流刑地としての歴史を持つ島だ。金田一耕助が、戦友の遺言を託されて向かったその島には、よそ者を寄せ付けない雰囲気を持つ住民たちが暮らしていた。
 そこで起こった連続殺人事件。金田一の滞在中に、網元の三姉妹が奇妙な姿で殺害される。動機は網元どうしの争いなのか、それとも色恋沙汰か。金田一が明らかにする、悲劇の結末とは。



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2013年7月14日日曜日

予想の回顧 2013 函館記念、関ヶ原S

 日曜は函館記念。
 ◎トウカイパラダイスは、4、5番手の位置で折り合う。4コーナー手前で前の2頭にとりついたときには「いい感じ」と思ったのだが、直線にはいると脚があがり、前には残られ、後ろには差されて5着。絶好の展開に見えたのだが、物足りない内容だった。
 勝ったのは逃げたトウケイヘイロー。トップハンデが嫌で軽視していたのだが、危なげなく逃げ切った。すんなりハナを切れれば中距離でも通用することを改めて証明した。

 土曜の中京メインは関ヶ原S。
 ◎ジェントルマンは中団を追走。4コーナーではスムーズに外に持ち出せたのだが、1、2着馬は捕まえられず、3着まで。3、4コーナーでグーンと上がっていければいい勝負だったのだろうが、そこでの加速が足らなかった印象。

 土曜は、福島の安達太良Sは◎アンアヴェンジドが4着、函館の函館スポニチSはゴーイングパワーが3着と、ともにハズレ。

 今週は4戦4敗。他がちょろちょろ当たったので惨敗は免れたが、いまだにスランプから抜け出せない。

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2013年7月13日土曜日

2013 函館記念 オレの予想を聞いてくれよ

 外出の用事があるので簡単に。
 今週は函館記念。伝統のハンデ戦だ。本命は◎トウカイパラダイス。中間に一頓挫あって巴賞を使えなかったのは少し気がかりだが、一皮むけたのか、今年に入ってから安定して走っている。ハンデは昨年と同じ56.0 kg。昨年(1番人気4着)の雪辱を果たしてほしい。

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...