2013年11月6日水曜日

書評 阿川佐和子『聞く力 心をひらく35のヒント』(文春新書)

  ご存じ、2012年のベストセラー。永遠のお姉さん(?)であるアガワ氏が、相手の話を引き出すための極意をまとめた本。なるほど参考になった。

 アガワ氏は週刊文春で対談の連載を持っており、橋本元総理の夫人、大相撲の若貴兄弟、元メジャーリーガーの松井秀喜氏、映画監督の是枝氏、落語家の笑福亭鶴瓶などなど、各界の著名人にインタビューをしている。そうそうたるメンツを相手に対談をこなしてきた実体験を元に語られるのだから、臨場感がある。

 一つ一つの極意はとても分かりやすく書かれており、それが35に分けられている。しかし、アガワ流極意は一方向には収まらない。たとえば
「相手の話をじっくり聞くことが大事」
と書いたあとで
「でも、聞いてばかりではダメ」
などと書いてあったりする(書いてあることに矛盾があるわけではない)。
 このように体得が難しいアガワ流だが、その根底にあるのは
「自分の話をしたくない人などいない」
ということだろう。語り手に興味のあることを気持ちよく語ってもらうための「あれやこれや」がアガワ流にまとめられている。

 もちろん、日々の仕事や生活にも応用できる話があちこちに書かれている。私も仕事柄、相手の話を引き出して情報を得なければならない場面が多いので、おおいに参考になった。
 しかし勘違いしてはいけないのは、聞き手が興味を持たなければ、何も始まらないということだ。
「あなたの話が聞きたいのです」
という思いがなければ、話は引き出せない。当たり前だが、大事なことである。



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2013年11月3日日曜日

予想の回顧 みやこS、アルゼンチン共和国杯 2013

 京都のメインはみやこS。
 ◎ローマンレジェンドはレース直前に1番人気に上がった。レースでは、縦長の展開の4、5番手を進む。いい位置取りに見えた。直線の入り口でブライトラインに並びかけるが、かわせそうでかわせない。最後はインカンテーションにも差されて3着。休み明けで59 kgの分だろうが、それを承知で馬券を買ったので、何とかしてほしかった。

 東京ではアルゼンチン共和国杯。
 ◎ルルーシュは先団のインを手応えよく追走。直線で前の馬の間を割って抜け出す。
「よし、相手は?」
そこへ、さらにインから伸びてきたのがアスカクリチャン。馬券は押さえている。
「よしやった。そのままっ」
と取らぬ狸の皮算用をしていたら、外からアドマイヤラクティが差してきた。
「や~め~て~」
という声も虚しく、ゴール前できっちり差されて3着。馬券もハズれた。

 今週は2戦2敗。他のレースもイマイチで、トータルの収支もマイナス。GI同様、馬券もひと休みということで、来週から巻き返したい。

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2013年11月2日土曜日

2013 みやこS、アルゼンチン共和国杯 オレの予想を聞いてくれよ

 金曜まで出張だったため、土曜の予想はアップできなかった。
 出張の行き先は北海道で、仕事とは関係ないのだが白老町を車で通った。そう、馬産が盛んな町である。高速道路から、広い牧場に馬がポツポツといるのが見えた。一頭あたり、どれくらいの面積があてられているのだろうか。少なくとも、私に割り当てられた面積の数百倍であろう。ちょっとうらやましい。

 そんな日曜の京都メインはみやこS。JCDの前哨戦として新たに作られた重賞で、今回が4回目。過去3回の優勝馬はいずれもGI馬で、2、3着馬からもGI馬が出ている。かなりレベルの高いレースといえるだろう。
 本命は◎ローマンレジェンド。昨年このレースを制したときは
「いったいどこまで強いのだろう」
と思わせたが、その後、やや物足りないレースが続いている。しかし、休み明けは得意だし、京都のダートでは負け知らず。ここを制して、再びダート王を目指してもらいたい。

 堅く収まりそうだが、強いて推奨穴馬を挙げるならグランドシチー。絞れた前走が好内容だった。

 アルゼンチン共和国杯は◎ルルーシュ。ハンデ頭だが、57.5 kg止まりなら。

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2013年10月27日日曜日

予想の回顧 天皇賞・秋、スワンS 2013

 日曜は天皇賞・秋。
 やや重~重馬場を想定していたのだが、午前中からすでに良馬場に回復。すごいぞ、日本の競馬場。とうわけで予想も良馬場モードに修正。本命をジャスタウェイからジェンティルドンナに変えた。
 レースは予想通りトウケイヘイローがハナを切ったが、ジェンティルドンナがその直後につけたのは予想外。やや行きたがっている。しかも1000 mは58.4秒という淀みのない流れ。これで押し切ってしまうようなら相当に強い。
 直線を向いて、トウケイヘイローが早くも脱落。やはりペースが速かったようだ。
「これはジェンティルドンナも沈んでしまうかも…」
と心配していたところに、抜群の手応えで飛んできたのがジャスタウェイ。並ぶまもなく差しきって4馬身差の圧勝。流れが向いたにしても強かった。
 焦点は2着争い。本命を変えて馬券がハズレることは何としても避けたい。
「頑張れジェンティルドンナ
この声に応えてくれたのか、最後まで2着を守り通してくれた。よく頑張ってくれました。
 お陰様で馬連を本線で取った。

 土曜は京都でスワンS。
 ◎ラトルスネークは痛恨の出遅れ。前に行く馬ではないとはいえ、5馬身ほど出遅れたのは痛かった。レースもスローで流れ、ハナを切った馬が1着になる展開では、出番がなかった。ジリジリ伸びたが6着まで。

 今週は2戦1勝。当初の予想から本命を変えて、変える前の馬が1着に来てしまうという最悪の筋書きをジェンティルドンナが救ってくれた。

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2013年10月26日土曜日

2013 天皇賞・秋 オレの予想を聞いてくれよ

 今週は天皇賞・秋。JRAのCMでどの馬が取り上げられるのか注目していたら、正解はバブルガムフェローだった。サンデーサイレンスの2年目の産駒だ。2歳チャンピオンとなり、翌年のスプリングSを勝ったときには皐月賞、ダービーは確勝かと思ったのだが、ここで故障。毎日王冠で復帰した後は、菊花賞には向かわず天皇賞に出走し、3歳にしてこのレースを制したのだった。
 種牡馬としてはパッとしなかったのは意外だった。パワータイプで、重馬場やダートを得意とする子が多かったように思う。

 さてレースにいってみたい。
 古馬四強のうち、2頭はお休み(オルフェーヴル、ゴールドシップ)、1頭は怪我でリタイヤ(フェノーメノ)となれば、残る1頭のジェンティルドンナで仕方なかろう…と思っていたところにやってきたのが、台風27号。土曜の夕方時点で雨は上がっているようだが、馬場は芝・ダートとも不良。やや重程度までは回復するかもしれないが、かなり渋った馬場になりそうだ。そうなると思い出すのが今年の宝塚記念。ジェンティルドンナは、渋った馬場に苦しみ人気を裏切った(3着)。
 本命は◎ジャスタウェイ。ここ3走連続2着の成績が示すように、特に左回りでは堅実に差してくる。血統的には渋った馬場はよさそう。重馬場が吉と出ないか。
 推奨穴馬は、アンコイルド。左回り、重馬場ともに得意。

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2013年10月25日金曜日

2013 スワンステークス オレの予想を聞いてくれよ

 10月も下旬だというのに、また台風がやってきた。毎週のように台風が日本近海を通り過ぎていく。温暖化の影響なのだろうか。

 そんな土曜の京都メインはスワンS。マイルCSの前哨戦なのだが、近年は天皇賞や毎日王冠などの中距離路線に押され気味で、存在感が薄くなっていた。しかし昨年は、グランプリボスがここを1着して本番でも2着に頑張った。今年も有力馬を送り出せるか。

 さて、レースにいってみたい。冒頭にも書いたように台風でかなり雨が降った。馬場状態も考慮に入れて予想する必要がありそうだ。
 本命は◎ラトルスネーク。前走で準オープンを勝ったばかりの馬だが、素質は以前から評価されていた。それに加えて、前走が一皮むけたかのような勝ちっぷりだった。中団から進めて、直線で前が開くと、ズバッと伸びて0.7秒差の圧勝。もう一丁を期待したい。思ったよりも人気しそうだが、それだけ実力があるのだと、前向きに解釈しておく。
 推奨穴馬はサンカルロ。今年に入ってから凡走が続いているが、得意の1400 m、重馬場で復活がないか。

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2013年10月24日木曜日

書評 岩崎秀雄『〈生命〉とは何だろうか―表現する生物学、思考する芸術―』(講談社現代新書)

「合成生物学」、すなわち「人工生命を生み出してやろう」という学問分野があることをご存じだろうか。

 2010年、クレイグ・ベンターという生命科学者が
「人工生命を作っちゃいました」
と発表した。自分たちで一から合成したDNAを元に、人工細菌を生み出したのだ。とはいえこれは、たしかに人工DNAから生命が誕生したのだが、DNAが発現するシステムは既存の生物のものを利用した成果である。しかし、人工合成したDNAから生物が誕生したことは事実であり、広い意味で人工生命と言えなくはないだろう。
「でも、いまいる生物がいなければ、この人工生命は生まれないのだから、何か違うような…」
 そりゃそうだ。では、どこまでいけば「人工」生命と言えるのか、その線引きは難しい。
 もっと言うと、どういうものを作れば人工「生命」と言えるのか、その線引きはもっと難しい。それが本書の主題「〈生命〉とは何だろうか」なのだ。
 合成生物学者である著者が、この問いに真摯に答えたのが本書である。

 よくある生命の定義は「自己増殖能を持つ」というものだ。それなら、たとえばコンピューターで自己増殖能を持つプログラムを作れば、それは人工生命と言えるのか。これも一種の人工生命だとする考え方もある。
「でも、やっぱり実体がないとね」
 それなら、ポコポコ分裂する有機物を作れば、それは人工生命なのか。
「それは、生命というよりも『モノ』じゃないの?」
それも分かる。じゃあ、どこまでいけば生命といえるのか。結局ここに帰ってくる。

 著者は「科学」という観点に加え、「芸術」とうい面からも生命の定義に迫る。生命の本質を解き明かそうとする営みは科学に限らず、芸術もまたそうだというのだ。
 人工細胞を合成しようとする科学者としての営みと、芸術を通じて生命に迫るアーティストとしての営み。この二つの営みを行っている著者だからこそ見える観点がある。著者は科学者が(いちおう)本職なので、話の重点はそちらに置かれているが、芸術という観点を絡ませることによる、新たな見解が目を引く。

 もちろん本書だけで結論は出ないのだが、今後、「生命とは何だろうか」を巡る議論が、さまざまな形で巻き起こるだろうことは想像に難くない。
 生命とは、究極には物質でしかないのか、それとも物質だけでは生命は生まれないのか。この問いを考えるうえで、新たな視点を提供してくれる一冊である。



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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...