2016年9月26日月曜日

【書評】平野啓一郎『高瀬川』(講談社文庫)

チャレンジングな試みに注目


 『清水』、『高瀬川』、『追憶』、『氷塊』の四話が収められた短編集。相変わらず、重厚なのにスイスイと読めてしまう平野小説。平野氏の小説を読むといつも、純文学(芥川賞)と大衆文学(直木賞)の区別に何の意味があるのだろうと思ってしまう。

 前半の『清水』と『高瀬川』はもちろん京都を舞台にした物語。京大出身の平野氏が京都を舞台に選んだ話だが、「京都」にはそれほどの意味はない。京都を舞台にした人間関係の機微が平野流に語られる。深いようで軽いような、独特の読後感だ。

 後半の二つは、平野氏の得意技である「レイアウト」を駆使した短編だ。『氷塊』は二段組みになっていて、上段は男子中学生の視点から、下段は不倫女性の視点から、同じ時間軸で話が進む。
 まずは上段を読破してから下段を読むもよし、上段と下段を並行して読むもよし。平野流の挑戦的な作品に仕上がっている。技巧に走るあまりに内容がおろそかにならないところもさすがだ。

 根本の「文学」は堅持しつつ、その見せ方にはさまざまなチャレンジを企てる平野氏。これからも、日本文学をリードしていくのだろう。



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2016年9月25日日曜日

【中央競馬予想の回顧】神戸新聞杯、オールカマー、大阪スポーツ杯(2016)

 今週は神戸新聞杯。
 ◎サトノダイヤモンドの単勝は何と1.2倍。レースでは中団で折り合いをつけ、4コーナーでは外を回して抜け出す。内から出し抜けを食らいかけたが、最後はねじ伏せて完勝。本番はディーマジェスティと人気を分け合うだろう。
 2着は内から推奨穴馬のミッキーロケットが抜け出した。
 馬券は馬連を見事に的中…のはずだったのだが、馬体減とイレ込みを見てミッキーロケットを馬券から外していた…。馬券は絵に描いたようなハズレ。

 中山ではオールカマー。
 ◎ゴールドアクターは中団馬群から。この日は折り合いもついていた。3コーナー過ぎから進出開始。直線ではグイッと抜け出して、サトノノブレス追撃をしのいで見事に1着。次走で真価が問われる。
 馬券は、ゴールドアクター-ツクバアズマオーのワイド1点勝負がちょろっと的中。

 土曜は阪神で大阪スポーツ杯。
 ◎ウィッシュハピネスは注文通りハナを切ったが、思ったほど楽には行かせてもらえなかった。つねにプレッシャーを受ける形で4コーナーへ。そこで人気のサウススターマンに被せられてギブアップ。11着に沈んだ。逃げ馬が負けるときはこんなものか。距離よりも、展開が堪えたように思う。

 今週は3戦1勝で、1勝も人気サイドではトータルはマイナス。最終馬連がポツポツ当たっているので大怪我は逃れているが、そろそろスカッと勝ちたいところだ。

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2016年9月24日土曜日

【中央競馬予想と与太話】神戸新聞杯、オールカマー(2016)~この距離にGIを~

 今週は阪神で神戸新聞杯が、中山でオールカマーが行われる。
 神戸新聞杯の距離が2400 mに延長されてから、今回でちょうど10回目。過去9年間の1番人気の成績は5-2-0-2で、現在6年連続で連対中。阪神の2400 mは実力がハッキリと出る、紛れの少ないコースなのだろう。ぜひ、この距離のGIを作ってほしいものだ。

 レースにいってみたい。
 今年はクラシックホースこそいないものの、皐月賞3着、ダービー2着の◎サトノダイヤモンドが出てきた。ダービーの上位馬の信頼度は高く、1番人気の成績もよいとなれば、外す理由が見当たらない。人気でも本命。
 となると相手は絞りたい。対抗はナムラシングン。前走は余裕残しの仕上げできっちり勝ちきった。
 推奨穴馬はミッキーロケット。母父がナムラシングンと同じなのは何かのサインか。

 オールカマーは◎ゴールドアクターが本命。輸送の短い中山なら。

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2016年9月23日金曜日

【中央競馬予想と与太話】大阪スポーツ杯(2016)~2日連続のメイン抜擢~

 お彼岸を過ぎ、かなり涼しくなってきた。寝冷えには気をつけたい。
 そんな土曜の阪神メインは大阪スポーツ杯。ここ数年、神戸新聞杯の前日のメインレースに定着している。2日連続して新聞名を冠したレースがメインに組まれているのには、何か理由があるのだろうか。

 おそらくないだろうということにして、レースにいってみたい。
 ダート1400 mの準オープン戦。3走連続で2着のサウススターマンが人気を集めそうだが、休み明けの成績がいまいちなのがやや不安。少し評価を下げる。
 ならば本命はウィッシュハピネス。今春にすでにこのクラスを勝っている降級馬だ。すんなりハナを切れそうな組み合わせのここは、チャンス十分。前残りの馬場を味方に、逃げ切ってほしい。
 推奨穴馬はガンジー。着順ほど負けていない。

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【書評】ハマザキカク『ベスト珍書 このヘンな本がすごい!』(中公新書クラレ)

もう、この本自体が「ベスト珍書」


 社会評論社の編集者であるハマザキ氏が珍書、すなわち珍妙な本を紹介した本。珍写真集、珍図鑑、珍デザイン書、珍造本書、珍理工書、珍語学書、珍人文学書、珍医学書、珍エロ本、珍専門書の各ジャンル別に、数冊ずつの珍書が掲載されている。なるほど確かに「珍」だ(笑)。
 たとえば珍デザイン書に分類されている一冊が、『九相図資料集成─死体の美術と文学』。この本は、「出家者が性欲を断つための死体腐乱仏教画集」なのだ。仏教の出家者は性欲を断つ必要があるのだが、それを手助けするための本である。九相図とは死体が腐乱していく様子を九段階で描いたものであり、生きているときは美しかった女体が腐乱していく様子を見せることで、性欲に対する煩悩を捨てさせようとするのだ(笑)。なお、この本に掲載されている九相図は現代に描かれたものではなく、昔に描かれたものを集めたものである。そりゃ、いま九相図を描いている人なんていないよね。
 なお、この本は8900円という高値にもかかわらず増刷を重ね、版元の社長と執筆陣で旅行に行ったそうだ(驚)。

 こんな感じの珍書が次々と紹介される。ハマザキ氏の軽妙な解説も手伝い、インパクト大の本に仕上がっている。本書自体も、「ベスト珍書」に入る資格は十分だ。

 驚いたのはハマザキ氏の珍書にかける情熱だ。現在の日本では、普通に流通している本だけでも、年間に8万冊以上の新刊が出版されているそうだ。ハマザキ氏は、その情報を漏らさず拾い上げる。それに加えて、同人誌や自家製本も過去にさかのぼってチェックし、珍書を発掘する。情報源を取得する嗅覚と、それを継続する根気には脱帽した。オタクも、ここまで来れば立派な才能である。
 継続は力なり。そして、その継続を支えるのは情熱なのだろう。同じ編集者として、私もおおいに勉強させてもらった。とはいえ、珍書コレクターにはならないだろうけど…。



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2016年9月20日火曜日

【映画評】君の名は~子どもと一緒に観にいった~

想定を超える人気も納得の良作


 小学3年と年長組の子どもたちと一緒に観にいった。それぞれの感想は

父親→感動
娘(小3)→なんとか話の筋は理解できた
息子(年長)→10分で飽きた(理解不能)

とう結果に。子どもたち、特に息子にはちょっと早かったようだ。

 高校生のちょっと甘酸っぱい青春物語が主軸。そりゃ思春期前の子どもには早すぎるよな…。直接会うことのできない二人が恋に落ちていく過程がうまく構成されている。またアニメもよく描かれており、彗星の幻想的な輝きや、岐阜の湖の荘厳な美しさがよく伝わってくる。
 最後の「君の名は」にはウルウルした。子どもの前なので涙は見せられなかったのが残念だ(笑)。
 想定を超える人気も納得の良作。日本アニメ界に新たな俊英が登場した。

《あらすじ》
 高校生の男女の中身が入れ替わるというストーリー。かたや東京の男子高校生の瀧、かたや岐阜の女子高生の三葉。何の面識もない二人が、寝ている間に入れ替わるのだ。
 スマホやノートを使ってコミュニケーションをはかりながら、お互いの人生を体験し合う二人。相手の姿は鏡で見えても、その中にいるのは自分。決して「会う」ことができない二人だが、だんだんと恋に落ちていく。
 しかし、ある日を境に入れ替わりが終わってしまう。瀧は三葉に会うために岐阜に向かうが、そこで衝撃の事実が発覚。これまでの入れ替わりは序章に過ぎなかったのか。
 怒濤の展開でラストまで一直線。そして明らかになる「君の名は」に込められた意味。

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【お父さんの週末料理】2016年9月17~19日~東北からサンマが到着~

 わが家では土曜、日曜の料理は主に父(私のこと)が担当している。そのメニューを絶賛(?)公開中。
 家族構成は父(40代半ば)、母(年齢非公表)、娘(小3)、息子(年長組)の4人である。

 今週は3連休。先日注文したサンマが到着した。

 9月17日(土) 

◆昼ご飯◆
 この日は息子と二人で買い物に。息子が選んだ「本日の魚」はタラ。青森産のタラが1匹約500円。2枚に下ろしてもらい、半身をレンジ蒸しにした。今週も「みんなのきょうの料理」のレシピ。材料を切って重ねて、レンジでチンする簡単メニューだ。白菜はキャベツで、しいたけはエノキで代用した。タラはプリプリで美味しかったが、子どもたちは
「普通に美味しいね」
という評価。レンジではここまでが限界なのだろうか。それとも好みの問題か。次は蒸し器でやってみようかな。
 他はサラダ、和風スープ、ざるラーメン。

タラのレンジ蒸し。プリプリで美味しかった

みんなのきょうの料理 たらとたっぷり野菜のレンジ蒸し

◆晩ご飯◆
 夜は肉。鉄板でジンギスカンを焼いた。最近できた最寄りのスーパーで、ジンギスカンがお買い得価格で売っていて、これがけっこう美味しいのだ。モヤシやキャベツもたくさん食べて、みんな満足。ジンギスカンだけでは足りず、豚肉も追加した。
 他はサラダ、和風スープ、ざるラーメン。

 9月18日(日) 

◆昼ご飯◆
 昼は、これまた「みんなのきょうの料理」から「ガパオライス」。ちょっとエスニック風の丼だ。これが大好評で、モリモリ完食。鶏そぼろとお米の組み合わせは、古今東西共通の鉄板メニューなのかもしれない。ただし、子どもたちにはバジルはNGだった。
 他はサラダ、味噌汁。

ガパオライス

みんなのきょうの料理 ガパオライス

◆晩ご飯◆
 前日に買ったタラの残り半分をバターソテーにした。娘は「昨日よりも美味しい」とのこと。子どもたちには、蒸すよりも、バターのほうがよいのだろう。
 他はサラダ、味噌汁、白ご飯、薩摩揚げ。

 9月19日(日) 

◆晩ご飯◆
 昼は外食した。
 仙台社員旅行のときに注文したサンマが届いたので、晩ご飯はサンマづくし。
 新鮮なサンマが届いたとなれば、まずは刺身。3匹分を刺身にした。2匹分は蒲焼きに。2枚に下ろして揚げ焼きにし、醤油とみりんを絡めた。アラは潮汁のダシに使って、隅々まで堪能した。刺身は、ちょっと多すぎたと思ったが、2秒でなくなった。蒲焼きももちろん好評。サンマはまだ残っていて、明日の塩焼きが楽しみだ。
 他はサラダ、パスタ。

サンマの蒲焼きと刺身

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...