2012年6月25日月曜日

書評 片野ゆか『北里大学獣医学部 犬部!』(ポプラ文庫)

 これは本当に実話なのか!? やるやん、今どきの大学生!
 犬部とは、犬、猫をはじめ、飼い主に恵まれない動物たちを保護し、新たな飼い主に譲渡するまで世話をする学生団体。その奮闘ぶりを、犬部の歴史をたどりつつ、さまざまな動物のエピソードを柱に綴ったのが本書である。

「犬部」は北里大学獣医学部の学生たちが運営するサークルで、動物愛護団体だ。そこへ保護される動物たちと、部員たちとの、心暖まる交流が描かれる。
 飼い主にひどいことをされていたのか、それとも生まれたときから飼い主はいなかったのか。いずれにしろ、心も体も疲弊している保護動物たち。ところが、犬部員たちが世話をするうちに心も体も回復し、愛らしい姿を見せるようになる。その過程も千差万別。それぞれの話にそれぞれ心を打つエピソードがあり、それが涙や笑いを誘う。
 とはいえ相手は生き物だし、サークルといっても動物愛護をしているのだから社会的責任もある。心暖まる話ばかりではすまない。ときには厳しい現実に直面する。本職は大学生である彼らが、どうやってその壁を乗り越えていくのか。若者たちの奮闘ぶりも堪能できる。

 以上が本書の概要であるが、私にはもう一つ、本書で学ばせてもらったことがある、それは組織運営の難しさだ。
 犬部はまだ新しい団体である。太田さんという創始者が犬部を作ったのが2004年。たぐいまれな行動力をもつ太田さんが引っ張るかたちで、犬部は発展していく。その後を継いだ池田さんも、これまた飛び抜けた活動力で、犬部の活動の輪を広げていく。
 しかし、大学生の活動である以上、2、3年で代替わりしていかねばならない。二人のカリスマ(といってもよいだろう)の抜けた後、組織としても大きくなった犬部にはさまざまな問題が勃発する。カリスマなき後、「普通の人」が運営できる組織への変革を迫られる犬部。まさに社会の縮図だ。
 このように本書からは、組織というものの継続、継承、発展の難しさも見えてくる。今後の活動が大いに気になるところだ。

 動物愛護にはいろいろな問題がつきまとうのだろうが
「一部の動物だけが救われるなんて不公平だ」
「自己満足だろ」
という批判や中傷を受けながらも奮闘する学生たちに賛辞を送りたい。わが家で将来ペットを飼うことになったときは、動物愛護団体から譲渡してもらおうと思った。



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2012年6月24日日曜日

今度は ピエリ守山 仮面ライダーフォーゼショーに行ってきた

 今年に入って、スマイルプリキュアショーを2回も見に行った(1回目2回目)ので、今度は息子の趣味にも合わせてあげようと、仮面ライダーフォーゼショーに行ってきた。


 一家四人で楽しもうと思っていると、いきなり娘(お姉ちゃん、4歳)が
「わたし、見ない」
とキタ。
「何でやねん」
と聞いてもなかなか理由をいわなかったのだが、何とか白状させると、その理由は
「怖い」
とのこと…。娘はプリキュアショーでも
「怖い。もう帰る~」
と半泣きになるほどだ。フォーゼショーは耐えられないと自ら悟ったらしい。賢いのか情けないのかよくわからないが、仕方なく私(父)とお姉ちゃん、母と弟の二組に分かれることにした。

 というわけで私はフォーゼショーは見ていないのだが、いきなり戦闘シーンから始まり、息子も「帰る~」と半泣きになったらしい…。この手のショーって、音が大きいんだよなあ。それも原因の一つと思う。
 見ていないのでストーリーも分からないのだが、最後はフォーゼが赤くなって(ファイヤーステイツだったっけ?)見事に敵を打ち負かしたらしい。


 最後はお決まりの記念撮影(右端がうちの息子)。お姉ちゃんはここでも「怖い」といって、写真すら撮れずに退散。トホホ。


 ところで、ご存じの通り、仮面ライダーフォーゼは高校を舞台としているのだが、出てくる女子高生の多くがガングロ風の化粧をしている。時代ですなあ。

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2012宝塚記念、米子S 予想の回顧

 土曜は米子S。本命◎エアラフォンがハナを切るという予想外の展開。4コーナーでも手応えは十分だったが、慣れない展開にとまどったのか、切れ負けし、4着。
 しかし、1~3着は順に11番人気、18番人気(最下位!)、12番人気。3連単は一千万円を超えた。こりゃ獲れん。

 日曜は宝塚記念。◎エイシンフラッシュはかかり気味に中団を追走。これくらいの行きっぷりのときのほうが切れるので、心配はない。3コーナー過ぎから進出を開始し、直線入り口では前にとりつくが、そこからスパッとは切れず、6着。休み明けが影響したのか、いつもの切れが見られなかった。
 勝ったのはオルフェーヴル。道中はエイシンフラッシュと同じような位置取りから、エイシンと併せ馬の形で4コーナーを回り、直線は内を突いて鮮やかに突き抜けた。7割までデキが戻ればこんなものということか。天皇賞(秋)のスペシャルウィークを思い出した。

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2012年6月23日土曜日

2012宝塚記念 オレの予想を聞いてくれよ

 今週は上半期の総決算、宝塚記念。バッチリ的中して締めくくりたいものだ。

 この宝塚記念、下半期の総決算である有馬記念と比べると盛り上がりに欠けるのが残念だ。最近でこそ、それほどでもないが、有力馬がここをパスして秋に備えるのが目立った時期もあった。
「何とかもっと盛り上がる方策がないものか」
と思って考えてみると…、うーん…思いつかん。来年までの宿題としたい。

 さて今年のレース、いいメンバーが揃った。古馬の一線級がほぼ勢揃いしたといってよいだろう。毎年このようなメンバーが集まってほしいものだ。
 その中から、私の本命は◎エイシンフラッシュ。ダービーで馬券を獲らせてもらってからずっと追いかけており、天皇賞(春)でもお世話になったのに、昨年の有馬記念で浮気したところ2着に突っ込んできた馬だ。ここは反省して、もう一度この馬を狙ってみる。叩き良化タイプのような気もするが、今回は追い切りも数をこなし、しっかりと仕上がったようだ。昨年(3着)以上の結果を期待したい。

 推奨穴馬は3頭。まずはウインバリアシオン。穴というほどではないが、これだけの馬が現在のところ5番人気。新興勢力の陰に隠れて、人気の盲点になっている。2頭目はマウントシャスタ。3歳でも53 kgなら勝負にならないか。最後はビートブラック。天皇賞をフロックとして片付けてよいのか。ヒシミラクルとイメージが重なる。

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2012年6月22日金曜日

米子ステークス オレの予想を聞いてくれよ

 夏の阪神開催もいよいよ最終週。来週からは本格的に夏競馬に突入する。夏に向けて弾みをつけるためにもばっちり的中させて、春競馬を締めくくりたいところだ。

 土曜の阪神メインは米子ステークス。オープン特別のハンデ戦という、いかにも土曜のメインらしいレースだ。
 ところで米子とは、鳥取市と並ぶ鳥取県の拠点都市の一つだが、私は行ったことがない。一方の鳥取市には、何度か行ったことがある。私の父が兵庫県但馬地方の出身で、そこから少し足を伸ばせば鳥取である。かつてはそこに私の祖父母が住んでいて、夏休みに海水浴、砂丘、こどもの国などに連れて行ってもらった。こどもの国とは懐かしい。まだあるんだろうか思って調べてみると…あるある。元気に営業中のようだ。

こどもの国

 ウェブサイトを見てみると…、おお、こんなに広かったかなあ。アスレチックのようなところで遊んだ記憶しかないが、もう35年近く前の話だから、いろいろ変わっているのだろう。

 さて、競馬どころか、米子とすら関係のない話はこれで終わりにして、予想にいってみたい。
 オープン特別にしては、なかなかのメンバーが揃った。ここをステップに、新たにできたサマーマイルシリーズを狙おうという面々だ。
 その中から、本命は◎エアラフォン。休み明けだが、鉄砲はききそうだし、何よりもこの時期に強い。5~7月の成績は3-0-0-0だ。鞍上のウィリアムズは今週で免許が切れる。最終週も大暴れを期待したい。
 推奨穴馬は2連勝中と勢いに乗るノーブルディードと、7歳にして一皮むけた感のあるタガノエルシコ

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書評 冲方丁『天地明察 上・下』(角川文庫)

 単行本が出たときから読みたかったのだが
「文庫が出るまで待つべし」
というわが家の家訓に従い、文庫化を待っていた。待った甲斐のある面白さだった。
 まっすぐ、さわやか、爽快。そんなイメージに満ちあふれた、元気の出る小説だ。

 主人公は渋川春海という江戸時代の碁打ち。しかし彼が生涯をかけたのは、碁ではなく「暦(こよみ)」だった。彼は、新しいカレンダー作りに一生を捧げたのだ。
 碁打ちの家に生まれた自分の人生に対する煩悶(当時、囲碁は世襲制だった)、算術へのあこがれ。そんなこんなで悶々とした生活を送っていた春海のところに、天体観測隊への参加が命じられる。それを端緒に、ついに新しい暦を作り上げるまでの過程をさわやかに綴ったのが本書である。

 暦、囲碁、算術、それぞれにまつわるストーリーが展開され、それらが互いに絡み合いながら重層的に物語は進んでいく。暦も囲碁も算術も、どれも魅力的に描かれているところがすごい。
 脇役たち(おそらく、ほとんどは実在の人物)も個性的で、私は本因坊道策の人物像が特に好ましかった。ちなみに道策は実在の人物で、囲碁史上に残る天才棋士である。

 本書を読んで、改めて「人の縁」の大切さ、温かさを感じた。本書に出てくる人の縁にも、友情、愛情、尊敬、ライバル、家族といろいろあり、それぞれがしみじみと滋味深い味わいをかもし出しているのだが、本書の主題となる人の縁は「人を見込む」ということだろう。

 春海は、上司、師匠、同世代の天才などに「こいつなら」と見込まれ、彼らの力も借りながら人生を切り拓いていく。自らの力でばく進していくスーパーマンの物語も一興だが、第二次ベビーブーム世代の私にとっては「見込まれ」を推進力に進んでいく春海の姿に共感を覚える。私と同世代の人には
「あの人が私を見込んで引っ張り上げてくれたから、いまの自分がある」
という経験のある人も多いだろう。(揺れ動く時代ではない)安定した社会で道を拓いていくには、こうした「見込まれ力」が必須だと思う。

 しかし私ももうすぐ40歳。
「最近、見込んでもらえないなあ」
とスネるには歳を取りすぎた。そろそろ「見込まれる」ほうから「見込む」ほうに回る年代になったのかもしれない。




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2012年6月19日火曜日

書評 芥川龍之介『羅生門・鼻』(新潮文庫)

 私は「古典」と呼ばれる小説はどうも苦手なのだが
「そういえば、芥川先生の本はチャレンジしたことがなかったなあ」
ということに気づき、おそらく高校の国語の教科書で触れて以来となる芥川小説を読んでみた。
 結論から言うと、思いのほか面白かった。日本文学史上に残る芥川先生をして「思いのほか」などとは不遜もいいところだが、率直な思いである。ようやく、こういう小説の面白さが分かるようになってきたのか、それとも食わず嫌いだったのか。

 本書は、中世を舞台にした小説を集めた短編集。なので、それが書かれた時代(昭和初期)の世相と、中世の時代背景をある程度は知らないと、その真髄は分からないのかもしれないが、私なりに楽しめた。
 前提知識はそれほど必要なく、普遍的な面白さが散りばめられているということなのだろう。京都が舞台だということも、私にとっては読みやすかった要因の一つだと思う。

 前述のように、芥川小説は学校の教科書でチラチラ読んだ程度なので、漠然とした印象しかもっていなかった。今回、改めて読んでみて感じた印象は
「なかなかシュールやなあ」
というところだ。仏教の思想に裏打ちされた、ちょっとシニカルで「無常」なストーリーが展開される。
「ちょっと死んでみます」
と言って自殺してしまった芥川さんの世界観が、少し見えた気がした。

 しかし「邪宗門」が未完だったとは、ズッこけた。
「いったい、この後どうなるのだろう(ワクワク)」
というところで、終わってしまう。芥川先生の頭の中では、ストーリーの骨子はできていたのだろうか。そうではなく、ちょっと話の収拾がつかなくなってしまった感じがしないでもない。




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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...