舞台は1929年のドイツ・ベルリン。第一次大戦に敗れたドイツの首都が舞台である。主人公はケルンからやってきたゲレオン・ラート警部。風紀課に配属された彼の下宿を見知らぬロシア人が訪ねてくるが、けんもほろろに追い返す。しかし、次にそのロシア人を目にしたのは、遺体置き場だった。このロシア人はいったい誰で、なぜ殺されることになったのか。
一人でこの謎を追うラート。ロシア人組織、ベルリンの裏組織、警察内部の秘密、さらには秘書との恋。これらが絡み合いながらストーリーは展開する。事実が明らかになるにつれて、つながっていく人脈。そしてその人脈の先にいたのは、何とあの人だった。ラストは、あの人との決着をつけるべく、ラートが一世一代の仕掛けを実行する。
というのが粗筋。
私は、ドイツ語が原作の本は何冊か読んだことがあるが、小説は初めてだと思う。
一枚一枚、皮がはがれるように真実が明らかになっていく、理路整然としたストーリー展開がいかにもドイツらしい。重厚で陰鬱な感じも、ドイツっぽい雰囲気だ。
次々と芋づる式に新事実が明らかになっていく展開で、ミステリーとしても飽きさせない。上・下合わせて700ページ近い大作だが、止まらずに読み終えた。
ただ、日本の軽い小説を読み慣れた身としては、少し重たく感じる部分もあった。どでかいランプステーキに、付け合わせのポテトフライとザワークラウトが山ほどのっているドイツ料理とでも言えばよいのだろうか(なんのこっちゃ)。重厚なストーリーをガッツリといきたい人にはお勧めの一冊。
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