2014年1月9日木曜日

書評 青木 薫『宇宙はなぜこのような宇宙なのか―人間原理と宇宙論』(講談社現代新書)

 宇宙を知りたければ、まずこれを読め。これで分からなければ、諦めるべし。

「われわれが住む宇宙は、なぜこのような宇宙なのだろうか」
この根源的とも言える問いに対する最新の科学的知見を、一般向け科学書翻訳の第一人者が易しく解きほぐした本。宇宙論を歴史に沿って振り返ることにより、科学に疎い素人にも、宇宙論のエッセンスがスイスイと理解できる。これは名著だ。

 古来、宇宙の成り立ちに関する考察は、哲学や宗教に属していた。しかし、原子の存在が証明され、20世紀になって量子論や素粒子論が確立されると、その問題は科学の範疇に入ってきた。
 その結果、「われわれが存在するように宇宙ができた」のではなく「まず宇宙があり、その結果として、われわれが存在する」という考えが当然のこととして受け入れられるようになった。「宇宙がこのような宇宙である」のには、何か必然があるはずだ、というわけである。しかし、数々の天才たちがいくら知恵を絞っても、「宇宙はこのような宇宙でなければならない」という理由が見つからない。
 そこに出てきたのが、本書の副題にもある「人間原理」である。たいへん大雑把に言うと「現にわれわれが存在するのだから、宇宙はわれわれが存在するようにできているはずだ」という考え方である。
 これには、多くの科学者が反発した。「科学に神を持ち込んではいけない」という拒否反応である。しかし驚くことに、現在ではこの「人間原理」はおおむね認められているのだという。その経緯や理由を、われわれにも分かるように示してくれたのが本書である。

 宇宙論の歴史的な流れを説明する、すなわち科学史的な観点から説明することにより、難しい内容をなるべく避けて宇宙論を解説することに成功している。数々の一般科学書を翻訳した青木氏ならではの構想であり、それが見事にハマッた。ブラボー。
 宇宙論や素粒子論を易しく説明した本が、このところ立て続けに出版されているが、その頂点に立つ本だと思う。
「これで分からなければ諦めなさい」
というのは言い過ぎかもしれないが、一般読者が現在の宇宙論を概観するのにこれ以上適した本は今のところないだろう。

 宇宙を知りたければ、まずはこれを読むべし。



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2014年1月7日火曜日

予想の回顧 京都金杯、中山金杯、万葉S、ジャニュアリーS 2014

 2014年開幕週の京都メインは、もちろん京都金杯。
 ◎オースミナインは何と1番人気。これには驚いた。レースは後方2、3番手から進める。開幕週の京都の馬場では、少し後ろ過ぎないかと心配になる。4コーナーでもまだ後ろ。しかも、少しゴチャつく。
「こりゃダメだ」
と諦めかけていたのだが、内に切り込んで馬群を抜けてきた。先に抜けた1着馬には及ばなかったものの、2着を確保。これは強い内容だった。この先が楽しみだ。
 馬券は、1着のエキストラエンドを蹴飛ばしていたため、ハズレ。

 中山金杯の本命は◎ユニバーサルバンク。中団につけるが、3コーナーから手が動き始め、流れ込んだだけの11着。距離が短かったようだ。

 月曜は京都で万葉S。◎タニノエポレットは3番手でガッチリ折り合い、インを確保。4コーナーでは内を突き、ズバッと突き抜けて3馬身半差の圧勝。人気に応えた。馬券は2着のラブラドライトが抜けており、単勝をチョロッと取っただけに終わった。

 中山のジャニュアリーSは、◎アドマイヤサガスが4コーナーで先頭に立つが、最後は後ろから来た馬にまとめてかわされて5着。前に行く馬には厳しい展開だった。

 2014年開幕週は4戦全敗。出だしからつまずいた…。

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2014年1月5日日曜日

2014 万葉S、ジャニュアリーS オレの予想を聞いてくれよ

 今年は、金杯の翌日の月曜日にも競馬がある。重賞も組まれておらず、おそらく売り上げは非常に少ないと思うのだが、どういう意図があるのか。平日に無理に開催するくらいなら、ローカル開催を増やすほうが…と思うのは私だけだろうか。

 そんな平日・月曜日の京都メインは万葉ステークス。めっきり少なくなった3000 m超のレースの一つだ。そのマラソンレースがメインとは、何だか嬉しい。
 しかしそんなうれしさとは裏腹に、メンバーは非常に手薄である。10頭中4頭が条件馬で、その4頭中3頭は1000万クラスの馬。そして、オープン馬6頭のうち、3頭が芝未勝利である。私が馬主なら、是非出走させて賞金を狙いたいレースだ。
「ホンマにこの中に勝ち馬がいるんやろか…」
と疑いたくなるようなメンバーの中から、本命は◎タニノエポレット。準オープンの身だが、このメンバーで53 kgなら。長距離レースは望むところ。
 推奨穴馬は、クラシカルノヴァ。芝未勝利だが、距離適性はありそう。

 ジャニュアリーSは◎アドマイヤサガス。1200 mに戻れば。

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2014年1月4日土曜日

2014 京都金杯、中山金杯 オレの予想を聞いてくれよ

「9連休って、どんだけ長いねん」
と思っていたのだが、案外アッという間に過ぎてしまった。昨年の競馬成績の総括も済んでいないまま、今年の競馬が開幕する。
 アベノミクスの恩恵もなく、あまり給料もアップしないのに毎週競馬をさせてもらえる。今年も感謝の念を忘れず、薄く広く馬券を楽しみたい。

 そんな2014年開幕週の京都メインは京都金杯。昨年に続き、1月5日が平日ではないので、JRAとしてはホクホクだろう。
 ところで、金杯は必ず1月5日でなければならないのだろうか。いち競馬オヤジとしては、平日よりも土日に開催してくれるほうがありがたいし、そのほうが売り上げも伸びるように思うのだが。

 さてレースにいってみたい。
 例年通り、一線級は冬休み中。その間に賞金を稼いでおこうという馬が揃った。
 本命は◎オースミナインを抜擢。前走で準オープンを勝ち上がったばかりの馬だが、通算成績は4-3-2-1と抜群の安定感を誇っている。初の重賞挑戦でも、54.0 kgの斤量でこの相手なら。
 推奨穴馬はシャイニープリンス。成績は地味だが、いつも差のない時計で走っている。

 中山金杯は◎ユニバーサルバンクが本命。前走で馬券を取らせてもらったこの馬を、もう一度狙う。その前走(重賞)で2着したわりには、56.0 kgのハンデは恵まれた印象。

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2013年12月23日月曜日

予想の回顧 有馬記念、ラジオNIKKEI杯2歳S、中山大障害、阪神C 2013

 有馬記念はオルフェーヴルが圧勝。説明の必要はなかろう(といいつつ、説明するのだが)。道中は折り合いに専念。3コーナーからマクっていき、4コーナーでは先頭に。直線はラチ沿いを突っ走ってグイグイ差を広げ、使う必要のないムチも持ち出して、8馬身の差をつけた。
 相手に恵まれた面はあるにしろ、GIでこの圧勝劇。池添騎手は、凱旋門賞で乗せてもらえなかった悔しさを、少しは晴らしたことだろう。
 2着に入ったのはウインバリアシオン。道中は中団に待機して、ラチ沿いをピッタリと回る。3コーナーを過ぎて馬群が凝縮したところでうまく外に出し、オルフェーヴルの作った進路を追うように抜け出しをはかる。直線半ばで2着に上がると、最後はゴールドシップの追撃を退けて2着を確保。脚もとさえ大丈夫なら、来春が楽しみだ。
 3着は、しぶとく伸びたゴールドシップ。圧勝か惨敗か、というレースぶりが続いていた馬だが、最後までまじめに走って馬券圏内を確保した。手替わりがよかったのか、ブリンカーが効いたのかは分からないが、3歳春の頃に戻ったようなレースぶりだった。
 馬券は、馬連を本線でとり、少し浮いた。

 土曜の阪神メインはラジオNIKKEI杯2歳S。
 ◎デリッツァリモーネは中団から。スローペースならもう少し前につけると思っていたのだが、想定よりやや後ろだ。3、4コーナーではいい手応えで外を回っていき、直線入り口で先頭を射程圏に捉える。ところが、そこからサッパリ伸びず、10着に惨敗。この程度の馬だったということなのだろうか。

 土曜の中山では中山大障害。
 ◎バアゼルリバーは4、5番手から。最終周で満を持して進出を開始するが、前には残られ、後ろには差されて4着。ピリッとしない結果だった。

 月曜祝日は阪神で阪神カップ。
 ◎ラトルスネークは恒例の出遅れ。二の脚で巻き返して中団につける。レースはコパノリッキーテイエムオオタカも行かず、予想に反してスローペースに。これは痛い。
 4コーナーから直線にかけて、ラトルスネークは内で包まれてまったく身動きが取れない。ラスト200 mでようやく進路が開くが時すでに遅し。5着まで差してくるのが精一杯だった。どうも展開に恵まれない馬だ。流れが向けば勝ち負けするだけの力はあると思うのだが。

 今週は4戦1勝だったが、有馬記念を当てたので、よしとしておきたい。

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2013年12月22日日曜日

2013 阪神カップ オレの予想を聞いてくれよ

 有馬記念がオルフェーヴルの圧勝に終わり、今年の競馬もフィナーレ…とはならず、もう一日開催がある。ちょっと間抜けな感じがしないでもないが、今年の中央競馬最後の一日を楽しみたい。

 そんな月曜祝日の阪神メインは阪神カップ。このレースと札幌記念の二つしかない「定量」のGIIである。GIを何勝している馬でも、他の馬と同じ斤量で走れるわけだ。これを「スーパーGII」と呼ぶこともあるらしいが、なかなかこの呼称が定着しない。
 それはおそらく、この阪神Cがあまり「スーパー」ではないからだろう。マイルCSは終わった後で、高松宮記念まではまだ間がある。一流馬が集まりにくいこの時期に、1400 mという中途半端な距離で、なぜスーパーGIIが行われるのだろうか。JRAには何か意図があったのだろうが、どうやら空振りに終わったようだ。

 レースにいってみたい。
 本ブログ、今年最後の本命馬は◎ラトルスネーク。前走、前々走と本命に推したが、期待を裏切られた馬だ。その2走とも前残りの展開になり、後ろから行くこの馬には展開が向かなかった。しかし、2走とも上がりは最速で力は示している。コパノリチャードテイエムオオタカが引っ張ってくれそうな今回は、ズバッと差してほしい。外差しの決まる馬場なので、どこかで外に出したい。
 推奨穴馬はスギノエンデバー。前が止まれば飛んでくる。

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2013年12月21日土曜日

2013 有馬記念 オレの予想を聞いてくれよ

 いよいよ有馬記念。今年の競馬も、もう終わりである(仕事はもう一週間あるけど)。早いなあ。ビシッと当てて、気持ちよく締めくくりたい。
 今回、JRAのCM(The Legend)で取り上げられたのはテイエムオペラオー。
「レジェンドというには、ちょっと最近すぎない?」
と思ったら、あれからもう13年も経ってしまったらしい(そりゃ歳をとるはずだ)。この年、テイエムオペラオーは古馬の中長距離GIをすべて制するという大記録を達成した。超一流馬の海外遠征が当たり前になった現在、この記録はもう破られないかもしれない。

 さてレースにいってみたい。
 今年の中心は、◎オルフェーヴル。私の本命もこの馬だ。というか、本命にせざるを得ない。今年GIを勝っているのはゴールドシップだけ。秋のGI 2戦(天皇賞・秋、JC)の連対馬はすべて欠席と、相手に恵まれた。七分程度の仕上がりのようだが、それだけあれば十分だろう。昨年の宝塚記念のときと似た雰囲気を感じる。
 オルフェーヴルを本命にする以上、相手は絞りたい。金鯱賞でお世話になったカレンミロティック、その金鯱賞で長期休み明けの+30 kgで3着に差してきたウインバリアシオン、JCで推奨穴馬抜擢の期待に応えてくれたトーセンジョーダン(大外枠は痛恨だが)、この3頭が相手本線。
 推奨穴馬はヴェルデグリーン。前走は東京2000 mの大外枠で度外視できる。中山に戻れば怖い。
 みんなが忘れたころに、オルフェーヴルが最後の最後にもう一度トンデモハップンをやらかしたときのために、相手4頭のタテ目はチョロッと押さえておく。個人的には、最後にもう一度ヤンチャして、強く記憶に残る馬になってくれないか。

 予想とは関係ないが、エイシンフラッシュに触れておきたい。この馬にはダービー、天皇賞・春と二度、大きな馬券を取らせてもらい、今年の毎日王冠でもお世話になった(本命は2着馬だったが)。引退するにあたって、これまでの感謝の意味も込めて相手本線に考えていたのだが、残念ながら回避となってしまった。
 記者会見での藤原師の涙には、こっちもちょっとウルっときた。私の競馬暦は20年を超えたが、ダービー馬が6歳まで一線級で走り続けたという例は他にない。さっさと種牡馬になってしまう馬が多い中、陣営の心意気とそれをなしとげた努力に拍手を送りたい。
 たくさんお世話になりました。ありがとう。

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...