2016年6月16日木曜日

【書評】是枝裕和・佐野晶『そして父になる』(宝島社文庫)

映画の行間を埋める小説。映画の背景が浮かび上がる



 是枝裕和監督、福山雅治主演の映画の小説版。映画の原作というわけではなく、まず映画があって、それを小説化したのが本作だ。
 映画の行間が埋まってゆく。いい換えれば、映画の背景事情が事細かに説明されていく。私は映画をすでに見ているので
「あのシーンにはこういう思いがあったのか」
「たしかにその場面ではこういう表情をしていた」
などなど、得心するところが多かった。

 それはそれですっきりしたのだが、「映画を説明するための小説」なので、記述が説明的すぎて、解釈の余地がないようにも思った。映画の余韻を残しておきたい人は読まないほうがよいかもしれないが、隅々まで納得したい人にはお勧めである。
 映画→小説の順に読むのがよいだろう。本作に限らないが、やはり「原作」のほうから先に攻めるのがよいように思う。

《粗筋》
 学歴、仕事、家庭など、すべてを手に入れてきた男が主人公。しかし病院の過失(取り違え)により、息子とは血がつながっていないという衝撃の事実が発覚する。
 親子とは、血のつながりなのか、それともともに過ごした時間なのか。どちらの「息子」を選べばよいのか。改めて「親子とは何なのか」を考えさせる名作。




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2016年6月15日水曜日

【書評】アイザック・アシモフ『鋼鉄都市』(ハヤカワ文庫)

「これぞSF」でありながら、ミステリーとしても秀逸


 ロボットと人間はどこまで通じ合えるのか、そしてどこまで通じ合うべきなのか。SFの王道テーマを描いた名作。SFとしての完成度の高さは言うまでもないが、ミステリーとしても実によくできているところがニクい。

 「宇宙人」の作った精巧なロボットとコンビを組んで殺人事件を追うことになった警察官が主人公。しかし、ここでいう「宇宙人」は八本足の生命体ではなく、人間なのだ。はるか昔に宇宙に旅立ち、地球とは異なる惑星で文明を築いた開拓者たちの末裔が、地球に帰ってきた。
 彼らは地球に居住するが、そこで「宇宙人」が殺害される事件が発生。宇宙人側は地球人側に犯人がいると決めつけ、人間型ロボットを地球人側に送り込む。そのロボットと協同で事件の解決に当たる警察官が主人公だ。
 この警察官は、いや地球人はみな、ロボットには懐疑的だ。ロボットの存在は人間の仕事を減らし、人間を破滅に追いやる悪の元凶とみなされているのだ。
 この設定の元、人間とロボットの交流が描かれる。人間と機械の線引きはどこにあるのか。ロボットに心はあるのか。「これぞSF」というべき、王道テーマだ。

 もう一つの軸は殺人事件。誰が、何のために宇宙人を殺害したのか。人間とロボットがお互いの知恵をあわせ、徐々に真相に近づいていく。ミステリーとしても実によくできている。これが名作たるゆえんだろう。

 この本の出版(1954年)から半世紀以上が過ぎ、ついに人工知能が人間の知的活動の領域に入り込もうとしている。アシモフ氏はそんな未来を見越していたのだろうか。いま読んでも全く古くないどころか、いまこそ読むべき一冊だ。




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2016年6月12日日曜日

【お父さんの週末料理】2016年6月11・12日~珍しい生のホッケ~

 わが家では土曜、日曜の料理は主に父(私のこと)が担当している。そのメニューを絶賛(?)公開中。
 家族構成は父(40代半ば)、母(年齢非公表)、娘(小3)、息子(年長組)の4人である。


 6月11日(土) 

◆昼ご飯◆
 今日は家族4人で買い物に。いつもの鮮魚売り場に行くと、安くて美味しそうなサンマが並んでいた。内蔵を出して揚げ焼きにして、2匹を4人で食べた。冷凍物だが、美味しい。冷凍技術の進歩により、旬の時季に捕れたサンマが年中美味しく食べられるのだろう。
 スープは韓国風冷や汁。日経新聞の「かんたんレシピ」のレシピ。お酢の酸味がきいた、サッパリした味わいだ。子どもたちにも好評だった。また作ろう。
 他は鰹のたたき、白ご飯、サラダ。子どもたちは、いつものようにたたきをご飯に乗っけて海鮮丼にしてかきこんだ。

韓国風冷や汁、カツオたたき、サンマ

かんたんレシピ 韓国風冷や汁

◆晩ご飯◆
 この日は昼・夜とも魚。夜の魚は生のホッケ。ホッケは開きの一夜干しが定番だが、珍しく美味しそうな生のホッケがあったので、お腹を出してもらってグリルで焼いた。一夜干しとはまた違った味わいで美味しかったのだが、身が厚くて中まで火が通っていなかったので、レンジで再加熱する羽目になった。ホッケを開きにするのには、そういう理由もあるのかもしれない。次は開いてもらおう。
 他はサラダ、中華風スープ、白ご飯、メカブ。息子と私は、作り置きの麻婆ナスも食べた。

 6月12日(日) 

◆昼ご飯◆
 メインは子どもたちの大好きなグラタン。具は鶏肉、ナス、ニンジン、マカロニ。缶詰のホワイトソースを使い、チーズをたっぷり乗せた。熱々を、ハフハフと完食。少なめに作ったつもりだったのだが、満腹になった。
 他はサラダ、中華風スープ。

グラタン。熱々をハフハフした

◆晩ご飯◆
 またまた「みんなのきょうの料理」から「唐揚げとろろだれ」。鶏の唐揚げととろろは、意外によくあった。これは発見。お腹が重めだったのであまり進まなかったのが残念だった。お腹のすいているときに、また作ろう。
 他はサラダ、中華風スープ、麻婆ナス、冷たいそば。

から揚げととろろだれ。意外によく合う

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【中央競馬予想の回顧】マーメイドS、エプソムC、安芸S(2016)

 今週はマーメイドS。
 ◎ゴールドテーラーは中団から。3コーナーから徐々に差を詰めると、外から人気のシュンドルボンが来るのに合わせてスパート開始。しかし重賞の壁は厚く、そこから伸びることができず、10着に終わった。
 勝ったのはリラヴァティ。前々の競馬で押し切った。
 馬券は1、2着馬を買っておらず、ハズレ。

 東京ではエプソムC。
 ◎ラングレーは最内枠スタートから、好位のインにつける。直線ではスムーズに進路が開いたが、サッパリ伸びず、9着。この程度の馬なのか。
 勝ったのはルージュバック。不利な大外枠をものともせず、外から豪快に差しきった。
 馬券はルージュバックを切っていたのでハズレ。

 土曜は安芸S。
 ◎ダノングッドは1番人気。3、4番手から、4コーナーで外を回すと、ジリジリ伸びて先に抜けたサウススターマンを捉まえたところがゴール。何とか人気に応えた。
 馬券は馬連をとったが、トリガミ。

 今週は3戦1勝で、1勝もトリガミではトータルはマイナス。先週と同じパターンだ…。

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2016年6月11日土曜日

【中央競馬予想と与太話】マーメイドS、エプソムC(2016)~昨年の勝ち馬はいまどこに~

 今週は西でマーメイドステークス、東でエプソムカップの両GIIIが組まれている。エプソムはイギリスの地名で、そこには競馬場があり「ザ・ダービー」、すなわち英国ダービーが行われる。ロンシャンとともに、いちどは行ってみたい競馬場である。
 昨年このレースを制したのはエイシンヒカリ。この馬が来週、イギリスのプリンスオブウェールズSに出走するのも何かの縁か。サイン馬券が好きな方は、このあたりを狙ってみるのもよいかもしれない。

 レースにいってみたい。予想はマーメイドSを中心に。
 マーメイドSは牝馬のハンデ重賞らしく、とにかくよく荒れるレースだ。目立つのが格上挑戦組。準オープンクラスはもちろん、1000万条件クラスの馬がたびたび激走する。夏は格よりデキという格言もあることだし、軽ハンデの格上挑戦馬を積極的に狙っていきたい。
 というわけで、本命は◎ゴールドテーラー。前走で1000万条件を勝ち上がると、自己条件戦ではなく格上のここを狙ってきた。ハンデは50 kg。もう1 kg軽くてもよいような気がするが、それだけ実力が買われているのだということにしておきたい。阪神は2-1-1-3と得意。河内師と岩崎騎手の師弟コンビに期待。
 本命馬が人気薄なので、この馬を推奨穴馬としたい。

 エプソムCは最内枠を引いた◎ラングレー。先週の弟の惨敗(安田記念のリアルスティール)の雪辱を果たしてほしい。

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2016年6月10日金曜日

【中央競馬予想と与太話】安芸S(2016)~広島の安芸と高知の安芸~

 上半期のGIも宝塚記念を残すのみとなり、夏競馬の雰囲気が漂い始めている。というか、JRAの定義によるとダービーの翌週からはすでに夏競馬なのだそうだ。個人的には中京、小倉、福島、新潟のローカル開催の間が夏競馬だと思うのだが、JRAが決めている以上、私ひとりが逆らっても仕方がない…。

 そんな土曜の阪神メインは安芸ステークス。レース名の安芸は広島(の一部)の昔の呼び方である。一方で高知県にも安芸市がある。漢字も同じこの二つの地名には何か関連があるのだろうか、と思って調べてみたのだが、どうも何の関係もないようだ。「たまたま」ということらしい。

 いまいちすっきりしないが、レースにいってみたい。
 ダート1400 mの準オープン戦。今年はフルゲートの16頭が顔を揃えた。本命は人気でも◎ダノングッド。この時期の準オープン戦は例年、降級馬が有利。前走でこのクラスを勝っているこの馬に期待したい。その前走は初の1400 mだったが、2着に0.2秒差をつける完勝。距離適性を見せた。同距離のここでもう一丁。
 推奨穴馬はサンレーン。前走は人気を裏切ったが、大きくは負けていない。

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2016年6月8日水曜日

【小学3年と年中組の姉弟】参観日の様子とスライム作り体験

 この前、新年度が始まったと思ったら、もう6月。早いものだ。5月に姉・弟それぞれの参観と、スライム作り体験があった。

《娘(小3)の参観》
 娘の小学校では、毎年5月初旬に土曜参観がある。新しい担任の先生やクラスの様子を見てもらうという意味があるのだろう。ただ、娘の担任は昨年と同じ先生。珍しく持ち上がりとなって、娘も親もやや拍子抜けした感は否めないが、どのような先生か分かっているので気は楽だ。ベテランの女性教師で、今年も無難にクラス運営をしてくれそうだ。
 参観の授業は、3年生から始まった社会。事前に校外を探検し、お店の場所などをメモしておき、それを元に授業をする。大きな地図に
「ここには何がありましたか?」
てな感じでお店などを書き込んでいくのだ。「地図を読む」ことと「地域を知る」ことの二つの意味があるのだろう。
 娘は方向オンチなので大丈夫なのかと心配したが、そつなくやっていた。張り切り屋さんで、授業にも積極的に参加している。張り切りすぎて「出しゃばり」にならないか少し心配だが、積極的に取り組むのはよいことだ。今年度もこの調子で頑張ってほしい。

《息子(年長組)の参観》
 息子の土曜参観もあった。息子の保育園では今年から年長組が2クラスに増えた。だが新入生はほとんどいないので、結果的に昨年の年中組が二つに分かれた形になった。増設した新しい教室で、少人数での保育。ラッキーな環境だ。
 参観では牛乳パックを使ってびっくり箱を作った。張り切って絵を描いて、牛乳パックに貼り付けて完成。

書き書き

 息子は4月生まれなので、背も高く、運動やお絵かきも上手なほうなのだが、以前と比べるとその差は確実に縮まっている(笑)。これからは努力も必要になってくるだろう。頑張れ。

《スライム作り体験》
 娘の通っている個人指導塾でスライム作り体験があった。娘が「行きたい~」と言ってきたので息子も参加できるか聞いたところ、OKという返事。私は塾まで連れて行っただけで、二人でスライムを作って帰ってきた。親がついていなくても、姉弟二人で楽しんできたようだ。親としては楽だし頼もしいのだが、少し寂しいような気がしないでもない(苦笑)。
 スライムは、洗濯糊をベースに作るらしい。ゼリー状だが、分離してもまたくっつけることができる。確かにスライムだ。

スライム。いろいろな色が混ざると黒になっていく

 子どもたちも、感触が面白いらしくネチョネチョと遊んでいるのだが、けっこう汚れてしまうのが親としては面倒だ…。まあ、楽しかったようなのでよしとしておきましょう。漏れ出さないようにちゃんと片付けてね。

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...