おおいに共感した。でも書評には困った
本書は「書き方」というよりも「文章の推敲の仕方」を語った本だと言える。一度書いた文章をどのように修正していけば上手な文章になるのか。そのコツやポイントが分かりやすく述べられている。
私も職業柄、他人の書いた文章を推敲することが多く
「あるある、こういうこと」
と、本書の主張にはおおいに共感した。
推敲の際に私が意識しているのは「主語と述語をしっかり対応させる」こと。日本語は主語と述語が英語ほど明確ではないとよく言われる。しかしこれは文法上の話であり、「日本語だから主語と述語が曖昧でよい」という意味ではないのだ。
もう一つは「一つの文は短く」「修飾語は少なく」「長い分は分ける」など、なるべく文章を短縮することである。同じ内容を表現できるなら、文字は少ないほうが頭に入りやすいというのが私の考え方だ。
ただ「じゃあ、どうすればいいのか具体的に教えてよ」と聞かれてもなかなか困る。自分が普段やっていることを説明するのは難しいものだ。でも、これからは楽ちんだ。「この本に分かりやすく書いてあるよ」と言えばよいのだから。
その他にも「語尾に変化をつける」「長い修飾語は先に、短い修飾語は後ろに」「接続詞の上手な使い方」などなど、さまざまなコツが掲載されている。私も文章術を再確認するとともに、新たに学んだことがたくさんあった。
ただし50以上のコツを一気に習得するのは難しい。「なるほど、これは」と思ったものから、少しずつ確実に実行していくのがよいだろう。
しかし書評には困った。「上手な文章の書き方」の本の書評の文章が下手だったら、目も当てられない。この本の価値が疑われてしまうではないか…。というわけで、いつもより念入りに推敲したのだが、果たして上手に書けているだろうか。