2014年10月8日水曜日

書評 村上春樹『海辺のカフカ』(新潮文庫)

人生の全てが詰まった物語


 村上氏お得意の、二つの話が並行して進んでいく構成。一つは家出少年の物語。もう一つは文字の読み書きもできないおじいさんの冒険譚。この二人の人生が交錯するとき、全てが完結する。

 今回も村上ワールド全開だった。どこからが夢でどこからが現実か分からないような、奇想天外でいてリアルな小説である。
 親との決別、恋、死と、人生で大事なことが全て詰まっている。それぞれの読み手が、それぞれ違う意味を感じ取ることができるのが、村上小説の不思議なところだ。相変わらず、書評の書きにくい作家さんでもある。

 私の場合、村上氏の作品を通じて言えることなのだが、いまいち物語に入り込めないところがある。「村上小説だ」と思って構えて読んでしまうためなのか、「意味」を感じ取ろうとしすぎてしまうのかもしれない。
「どっぷり浸かった」
という感じがしないのだ。なんでなんやろう。





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