浅田流の競馬哲学
いまはなき「おもしろ競馬塾」という競馬月刊誌に連載された浅田次郎氏のインタビューをまとめた本。1999年に出版された当時、浅田氏の競馬歴はほぼ30年だったそうだ。
その30年間の経験に基づいた、浅田流の「競馬とは何か」が語られる。ただし本書で述べられるのは浅田流「馬券術」ではない。「How to」ではなく、競馬に対する態度や考え方が書かれているのだ。そのため、20年前の本だが全く古くない。
浅田流の考えの基本は「競馬はバクチだ」ということだ。バクチ・ギャンブルとしての競馬を突き詰め、競馬を楽しむ、すなわち馬券を当てるために邁進する。競馬は当ててナンボ、もうけてナンボ。これが浅田流の競馬哲学だ。
浅田氏の競馬にかける情熱と労力は半端ではない。馬券を取るために、並々ならぬエネエルギーを費やしているのだ。私も競馬歴が約25年になり、当時の浅田氏に近いのだが、競馬にかける労力のレベルがはっきり違う。負けました。
同じ馬券オヤジとして、非常に共感するところの多い本だった。特に「そうそう!」と思ったのは以下のような点だ。
1.買える範囲で買う
これは長く続けるための基本中の基本だろう。購入金額を減らしても同じように楽しめるのが競馬のよいところの一つだ。
2.予想の基本は馬柱
全く同感。自分の物差しで予想できるようにならないと、競馬記者のつけた印に引っぱられてしまうだけだ。
3.レース前よりもレース後のコメントが重要
調教師も騎手も、レース前はよいことしか言わないくせに、レース後には「状態が本物じゃなかった」何てコメントが出たりする。
4.競馬場で馬券を買うのは健康によい
競馬場で一日馬券勝負をするには、実はかなり体力がいる。パドックと観覧席を行き来するだけでもかなりの距離なのに、馬券窓口にも並ばねばならない。競馬には不健康なイメージがあるかもしれないが、意外にもかなり運動になるのだ。
他にも「その通り!」と思うところがたくさんあった。また勝負レースの選び方やお手馬をもつことなど、新たに勉強になることもあった。さっそく取り入れてみようと思う。
競馬を始めたばかりの人には、ぜひ読んでもらいたい本である。競馬を長く、深く楽しむためのヒントが満載だ。逆に言うと、競馬に興味のない人が読んでも、何の足しにもならないかも…。
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