2013年2月5日火曜日

書評 道尾秀介『ソロモンの犬』(文春文庫)

 男二人、女二人の大学生4人組が、知り合いの少年の交通事故死を目撃。一見、偶発的な事故のようだが、何かおかしい…。疑問を持った秋山は事故を掘り下げる。
 一方、事件後にこの4人組が喫茶店で出会い、話をする場面が間に挟まれる。この二つのストーリーが並行して進んでいく。そして、この二つの時間が重なったとき、すべてが明らかになる。

 いやはや、よく組み立てられたストーリーだ。あちこちに伏線が張り巡らされており、最終的にそれがどのようなかたちで解決されるのか、気になって仕方がない。思わずページをめくる手が早くなる。
 ところがこれらの伏線の中には、数ページ後に「伏線ではありませんでした~」とタネが明かされるものがあるところも憎い。
「伏線と思ってたでしょ。フフフ」
という道尾氏の声が聞こえてきそうだ。うーん、腹が立つ。
 さらに、道尾氏の読者を欺くトリックにもしてやられた。映像では実現不可能な、小説ならではのトリックには脱帽だ。




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2013年2月3日日曜日

2013きさらぎ賞、東京新聞杯、すばるS、白嶺S 予想の回顧

 土曜の京都メインはすばるS。◎エアウルフは3番手で直線を向く。いい手応えのように見えたのだが、失速し7着。ハナを切らないとダメなのか、それとも力不足か。
 勝ったのは推奨穴馬のアドバンスウェイ。まんまと逃げ切った。

 白嶺Sは、◎ヴィンテージイヤーが何と最下位に惨敗。後方をついて回っただけと、見せ場も何もなかった。なぜこの馬を本命にしたのかと、悲しくなる結果に終わった。

 日曜は京都できさらぎ賞。◎ラストインパクトは最後方から。結果的にはこれが痛かった。ペースはかなりのスローで、1、2番手の馬が直線で外に持ち出して、結局その2頭で決まるというレース。後ろからインをついたのでは届ず、6着まで。ヨーイドンの切れ味勝負も向いていないようだ。

 東では東京新聞杯。◎ドナウブルーは好位につけて直線を向くが、さっぱり伸びず10着に惨敗。休み明けの分か、揉まれたのが応えたか。もう一頭の軸○マウントシャスタは大外に持ち出すが、インをついた馬が伸びる展開では9着まで。
 ◎と○が9着と10着で並ぶという、惜しくも何ともないレースだった。

 今週は4戦4敗。しかも、◎が一頭も掲示板にすら載らないという惨敗ぶり。お祓いでもしたほうがよいのか…。

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2013年2月2日土曜日

2013きさらぎ賞、東京新聞杯 オレの予想を聞いてくれよ

 もう今年も1カ月が終わった。早いものだ。今週は西できさらぎ賞、東で東京新聞杯が行われる。

 きさらぎ賞といえば、素質は評価されているのになかなか2勝目があげられない馬が、ここで真価を発揮してクラシックへ駒を進める、という印象。昨年のワールドエースなどがその例だ。
 そのパターンで思い出すのがスペシャルウィーク。新馬を勝ったあと、2戦目の白梅賞を圧倒的人気(単勝1.3倍)にもかかわらず取りこぼした。その次戦がきさらぎ賞。ここを人気に応えて圧勝したスペシャルウィークは、余裕を持ったローテーションでクラシックを戦えることになり、武豊に初のダービー制覇をプレゼントした。

 昔話はこれくらいにして、レースにいってみたい。
 今年も、素質馬っぽいのが揃った。今年、上記のパターンに当てはまるのは◎ラストインパクト。新馬を勝って、2戦目の500万条件戦で惜しい2着。きさらぎ賞を制するにふさわしい戦績だ。2戦とも時計が遅いのが気がかりだが、外差しの決まる馬場で、いい枠を引いた。
 小頭数で人気も割れているので、推奨穴馬はナシ。相手は○タマモベストプレイを厚めに押さえる。前日売りのオッズを見たところ、何と9頭中8頭が単勝10倍以下。大混戦だ。手広く流しても、そこそこつきそうだ。

 東京新聞杯はドナウブルーマウントシャスタ。どちらを中心にするかは、当日に決めたい。

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書評 梨木香歩『りかさん』(新潮文庫)

 少女と人形の、心暖まる交流を描いた小説。

 ようこがおばあちゃんにお願いしたのは、リカちゃん人形。おばあちゃんが「よっしゃ、よっしゃ」と、ようこにくれたのは「りかさん」という名の市松人形…。
「りかちゃん違いやろっ」
とツッコみたくなるが、このりかさんには、人と心を通じることができるという力があったのだ。おばあちゃんのアドバイスを元に、りかさんと心を通じていくようこ。少女と人形が信頼関係を築いていく過程が心地よい。
 ようこは、人形人生豊富なりかさんに導かれて、さまざまな人形たちの心を知っていく。そこから見えてくるのは、現実世界の人間の心の動きだ。ちょっと切なくほろ苦いが、ほのぼのと心が温まるストーリーが3編収められている。

「人と心を通じる人形」という一見オカルト風の設定も何の違和感もなく受け入れられるところが、梨木ワールドの真骨頂だ。
「そういえば、子どもの頃には友達だったあの人形はどこへいったのだろう…」
読んだあとは、こんなことが気になるかもしれない。




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2013年2月1日金曜日

2013すばるステークス、白嶺ステークス オレの予想を聞いてくれよ

 真冬の京都開催も3日目。そのメインレースはすばるS。シリウスSやリゲルSと同じ、星の名前レースシリーズの一つだが、星の名前が“ひらがな”なのが珍しい。
「すばるといえば、レガシーや谷村新司だが、そういえばどんな星なのか知らないなあ」
と思って、今日もグーグル先生に尋ねてみると…なんと1個の星ではなく星団なのだそうだ。カタカナではプレアデス星団といい、その和名が“すばる”だとのこと。また、メシエ天体というカテゴリーではM45となるらしい。ウルトラマンの故郷(M78)とは少し離れているようだ(だからどうした)。
 今週も勉強になりました。

 さて、レース。
 ダート1400 mのオープン特別。フェブラリーSを目指す馬はほとんどが重賞に回り、その次のクラスの馬が勢揃いした印象。「オープン特別や重賞でときどき入賞してます」という成績の馬ばかりで狙いが絞りづらい。
 そんな中から本命は◎エアウルフ。前走は、休み明けの昇級初戦で0.1秒差の2着。その前走と同じような展開が望めそうなここは再現を期待したい。
 推奨穴馬はアドバンスウェイ。走る気さえ戻れば。

 白嶺Sはヴィンテージイヤー

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2013年1月30日水曜日

書評 パウロ・コエーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』(角川文庫)

 自らの心の声に耳を澄ませ、夢を信じ続ければ、その夢は必ず実現する。

 これが本書のテーマだ。
「また、そんな青臭いこと言っちゃって」
私と同世代(アラフォーです)の人たちの声が聞こえてきそうだ。
 でも「青臭い」のひと言で切り捨ててしまってよいのだろうか? そこには私が、そしてあなたが、置き忘れてきたものがあるのではないだろうか。

 自らの心の声に耳を澄ませることがいかに大事で、いかに難しいか。そして、いかに忘れ去られやすいか。そのことが染みわたってくる。

 夢を持つ若者には勇気を、夢を忘れたオジサンには活力を、与えてくれる作品だ。ちょっと疲れている人は、この本を読んで元気になろう。栄養ドリンクを飲む代わりに、本書を読んではいかがだろうか。




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2013年1月29日火曜日

書評 渡辺美紀『言いたいことは1分で! 10倍伝わる話し方』(幻冬舎)

 なるほど勉強になった。仕事の報告から披露宴でのスピーチまで、「話」をするときのコツを28のルールにまとめた本。この本の主張は、次の三つに還元できる。

(1)言いたいことだけを短く話す
(2)ポジティブに話を展開する
(3)相手の気持ちを思いやって話をする

「そんなの当たり前。自分はすでに実行しているよ」
という方も多いかもしれないが、本当だろうか。たとえば本書でNGとされている話し方には次のようなものがある。

・「十分な準備ができませんでしたが」など、言い訳から話が始まる。言い訳と謙遜は別なのだ。
・自分の熱い思いを、何度も繰り返し伝える。
・経験上、よい方法は分かっているので、その方法のよさを理路整然と説明する。
・しんどいことをお願いしたり、謝罪をするのに、メールで連絡する。

いざ指摘されてみると、当てはまる人も多いのではないだろうか。私など、ついつい話が回りくどくなってしまいがちだと自覚しているほどだから、たくさん当てはまる指摘があった。
 中でも特に勉強になったのは、次の二つのルールだ。

・ルール5 気持ちを伝える用件は「電話向き」、詳細を伝える用件は「メール向き」
・ルール11 相手の話を引き出すには、相手の「最新ネタ」を収集しておいて、第一声で伝える

 詳細は本書を読んでほしいが、ルールを一読しただけでも、おおよその内容は想像がつくだろう。たとえばルール5。確かにメールで気持ちを伝えるのは難しく、きちんと伝えようとするとどうしても長くなってしまう。謝罪やお願いは、特にそうだ。いままでは必要がない限りメールで済ませてきたが、これからは臨機応変に電話も使おうと思う(でも、電話って、周囲の同僚に話を聞かれるのがイヤなんだよね…)。

 本書はたいへんコンパクトにまとまっていて、あっという間に読めてしまう。とはいえ、一読しただけで28のルールをすべて頭に入れるのは無理というもの。まずは自分に必要なルールをいくつかピックアップし、実行するのがよいだろう。
 ただ本書は、実はもっと短くできたのではないかと思わずにいられない。著者の渡辺氏は、短く、簡潔に話をするプロなのだから、本書もさらにコンパクトにルールを凝縮できたに違いない。
 でも、こればかりは仕方がない。私も職業柄よく分かるのだが、100ページやそこらでは、商売として成り立たないのだ。
「渡辺さん、せめて200ページは…」
という編集者の声が聞こえてきそうだ。




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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...