2013年2月19日火曜日

書評 高橋秀実『弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー』(新潮社)

 超進学校である開成高校野球部の、常識を覆す、驚愕のトンデモセオリーとは。

 開成高校はみなさんご存じだろう。そう、最もたくさんの東大合格者を送り出す、超進学校だ。その開成高校の硬式野球部がけっこう強い。2005年には、夏の甲子園の予選でベスト16(5回戦)まで進出し、その年の優勝校である国士舘高校に敗れた。

 その超進学校野球部の方法論は、野球の常識を覆す、とんでもないものなのだ。進学校が強豪校に勝とうとすると、まず考えるセオリーは
「守備を鍛えて何とか最少失点で切り抜け、バントやスクイズで得点し、接戦をものにする」
というものだろう。ところが開成高校の方法論は、この真逆なのだ。そのトンデモセオリーとは

「どさくさに紛れて大量点を奪い、コールドゲームで勝つ」

というものなのだ。進学校が強豪校相手にコールドを目指すとは、いったいどういうことなのか?… 半信半疑で読み始めたのだが、読んでいくうちに
「なるほど、スポーツエリートに勝つには、こういう方法しかないのかも」
と思えてくるから不思議だ。
 なぜ強豪校にコールドで勝てる(勝とうとする)のか、なぜ練習時間(グラウンドでの練習は週1回のみ)のほとんどをバッティングに使うのか。そのトンデモセオリーの詳細を知りたい方は本書をご覧いただきたい。

 このセオリーの考案者は、開成高校野球部の指導者である青木監督である。この人物がなかなか興味深い。その言葉をいくつか紹介しておこう。

「ギャンブルを仕掛けなければ勝つ確率は0%なんです」

 バッティングの指導では
「打つのは球じゃない、物体なんだよ」

 練習試合に10-5で勝ったときのこと
「これじゃまるで強いチームじゃないか」
と激怒。

 このように青木監督も面白いのだが、選手たちも特徴的だ。とにかくみんな理屈っぽい。さすが開成高校である。たとえばこんな感じ。

「何も考えずにやれば捕れるんです。でも、何も考えずにやれば捕れる、と考えちゃうと捕れなくなる」

まるで禅問答だ。

 実は私も元高校球児なのだが、本書を読んで
「高校時代に、こんな野球もしてみたかったなあ」
と思った。開成高校のドサクサ野球、なかなか魅力的である。




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2013年2月17日日曜日

2013フェブラリーS、小倉大賞典、ダイヤモンドS、山城S 予想の回顧

 土曜は東京でダイヤモンドS。◎アドマイヤラクティは中団でピタッと折り合う。3、4コーナーでスーッと上がっていくと、直線もしっかり伸びて2馬身半差の完勝。見事に期待に応えてくれた。ところが、2着のジャガーメイルを押さえておらず、馬券はハズレ…。

 京都の山城Sは◎ビキニブロンドが直線で伸びを欠き、8着に惨敗。流れが向かなかったにしろ、不甲斐なかった。

 日曜はGIのフェブラリーS。◎ガンジスは予想外の先行策。直線では前も開きいったんは伸びかけたが、最後はジリジリになり10着。もっと脚を溜めたかった。GIの流れでは、1600 mも長いのかもしれない。

 小倉大賞典は、◎ゲシュタルトが4コーナーを先頭で回る。寸前まで粘ったのだが、最後の最後にドドッとかわされ、6着。3着とはハナ、ハナ、クビ差の接戦だっただけに惜しかった。残念。

 今週は4戦4敗。また惨敗モードに入ってしまった。どうもいかん。

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2013年2月16日土曜日

2013フェブラリーS、小倉大賞典 オレの予想を聞いてくれよ

 今週は、今年最初のGI、フェブラリーステークス。この極寒の時期にGIというのがいまだにピンとこないが、行われる以上は馬券を買わないと仕方がない。いい加減に慣れろ、という話なのだろうが…。

 さて今年のレース。
 例年なら、前走JCDか東京大賞典で勝った馬が人気を集めるのだが、今年は両馬ともに欠席。両レースで3着以内に入った馬もワンダーアキュート一頭のみと、荒れそうな雰囲気が漂っている。堅く収まる傾向の強いレースだが、今年は例外と見たい。
 本命は◎ガンジス。昨夏にダート路線に再転向してからは3-2-1-0と安定した成績を残している。前走は出し抜けを食らったが勝ちに等しい内容。ここも、鋭い末脚で突き抜けてほしい。現在5番人気だが、もう少し人気は上がりそうに思う。
 カレンブラックヒルは何度も馬券を獲らせてもらって、応援しなければならない馬なのだが、実績馬の欠席により、ダート初挑戦のこの馬が押し出されて1番人気になっている。あまり買いたくないパターンだ。気は引けるが評価を下げる。
 推奨穴馬はダノンカモン、エーシンウェズン、テスタマッタの3頭。実績馬に要注意。

 小倉大賞典は◎ゲシュタルトを狙う。小倉大好きホースの一発に期待。調教も動いた。

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2013ダイヤモンドS、山城S オレの予想を聞いてくれよ

 京都・東京開催が今週で終了し、来週からはクラシックのトライアルが始まる。いよいよ真冬も終わりのようだ。競馬カレンダーで季節の移り変わりを感じるのもよいものである。

 そんな土曜の東京メインはダイヤモンドステークス。府中で一番長い距離のレースであり、3000 mを超える重賞はこのレースだけだそうだ(重賞以外には、3000 m超のレースはあるのだろうか)。長距離のレースは近年、その存在感がめっきりと低下しているが、私はけっこう好きだ。騎手の駆け引きが見える(ような気がする)のがいい。
 たしかこのレースだったと思うが、後藤騎手が3コーナー手前から仕掛けてそのまま押し切ったことがあった。調べてみると、2000年のことで、ユーセイトップランという馬に乗って見事に勝利したのだった。印象に残るレースの一つである。

 さて今年のレース。条件戦を勝ち上がったばかりの馬も多く、混戦模様だ。
 そんな中から、本命は◎アドマイヤラクティ。昨秋にオープンに昇級してから三走連続で3着と歯がゆいレースが続くが、距離延長を味方に突き抜けてほしい。内が伸びる馬場で外枠を引いたのは誤算だが、ウチパク騎手の手腕に期待。
 推奨穴馬は準オープンを勝ったばかりの4頭、サクセスパシュート、ノーステア、エーシンミラージュ、メイショウカドマツ。穴ではない馬も混じっているが、押さえておきたい。

 山城Sは◎アグネスウイッシュ。差しの決まる馬場で、切れ味発揮。

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2013年2月14日木曜日

書評 新田次郎『アラスカ物語』(新潮文庫)

 1900年代の初め、ゴールドラッシュに湧くアラスカで、エスキモーの民を率いて安住の地に導いた男がいた。「エスキモーのモーゼ」と言われたその男は、フランク安田という日本人だった。その数奇な運命を描いたノンフィクション。

 安田恭輔は医者の家に生まれたが、三男だったこともあり医者にはなれず、アメリカへ渡る。その後、フランク安田と名前を変え、アラスカのエスキモーたちとともに暮らすことになった。そしてエスキモーの伴侶も得て、次第にエスキモーの一族のリーダーになっていく。
 そんなとき、アラスカで金が出た。ゴールドラッシュに湧くアラスカ。エスキモーたちの主食であるクジラやカリブーは乱獲により獲れなくなり、アラスカの民たちは飢えていく。
 そのエスキモーたちを救うため、内陸の地へと移住を試みた日本人の物語だ。

 本当に実在の人物なのか。数奇な運命もさることながら、その献身ぶりに心を打たれる。
「おれは日本という国から来たエスキモーだ」
と、自らを日本人ではなくエスキモーと名乗るのがかっこいい。
 極北の地で、さまざまな人物たちの協力を得てエスキモーの一族を導いた男の生き様を読むと、自分の小ささを感じてしまう。

 それまでは平和な村だったエスキモーの集落が、船の発達やゴールドラッシュにより、急速な近代化を迫られる。現代の「グローバリゼーション」と同様のことが、約一世紀前にもあったということなのだろう。
 変化する時代の中で、信念を持ち、実行する人物の生き方は、現代のわれわれにも道しるべとなる。時代や環境のせいにしていては、何もできないのだ。

 ただ、ちょっと読む時期を間違えた。2月初旬という真冬の時期に読むには、あまりにも寒い作品だった…。夏に読めば節電になったのになあ(そんなアホな)。




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2013年2月10日日曜日

2013京都記念、共同通信杯、クイーンS、アルデバランS 予想の回顧

 土曜は東京でクイーンS。◎オーキッドレイは後方から進め、4コーナーでは大外に持ち出すが、内が伸びる馬場では8着まで。馬場を考慮に入れて予想しなければならなかった。
 レースは、内を通った先行馬が上位を占めた中で、唯一スイートサルサだけが後ろからいい足で差してきて2着に入った。今後に注目したい。

 京都ではアルデバランS。◎ナイスミーチューは予定通り中団からレースを進めたが、切れる脚は使えず、8着に惨敗。同じような位置にいた馬が2着に来たのだから、展開の問題ではないだろう。休み明けとはいえ、物足りない走りだった。

 日曜の京都は京都記念。◎ショウナンマイティは後方からレースを進めていたのだが、私が少し目を離したスキに、何と向こう正面で先頭に立った。VTRで見ると、かかって我慢できずに行ってしまったようだ。4コーナーを先頭で回り、トーセンラーにはかわされたものの2着は死守、という体勢だったのだが、最後にベールドインパクトに差されて3着。馬券は惜しくもハズれた。
 ショウナンマイティは、かかりながらも3着に粘ったように、力は見せたというところか。

 東京では共同通信杯。◎ゴットフリートは5、6番手から。3、4コーナーで先頭との差を詰めると、直線では先頭に躍り出る。メイケイペガスターにはかわされたが、2着をキープしてゴール。先行できたのが結果につながった。馬券は馬連をゲット。

 今週は、最後のレースが的中してようやく連敗ストップ。上り調子で来週のGIへ向かいたい。

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2013年2月9日土曜日

2013京都記念、共同通信杯 オレの予想を聞いてくれよ

 今週は西で京都記念、東で共同通信杯が行われる。ともに、この時期に定着している伝統の重賞だ。いろいろなレースの条件が頻繁に変更される中で、こういうレースはホッとする。
 京都記念は今回が106回目。といっても106年前からあるレースではなく、年に2回行われていた時期があったらしい。いつものようにグーグル先生に聞いてみると、1983年までは春と秋の2回だったそうだ。思ったよりも最近まで、春秋の2回制だったのだなあ。いまは春と秋の2回あるレースというと、天皇賞だけなのだろうか。

 さて、今年の京都記念。手薄なメンバーといえる。かつてはアドマイヤムーンやブエナビスタがここをステップにドバイへ向かったが、今年はそのクラスの馬がいない。また、有力馬に休み明けも多く、混戦模様だ。
 本命は◎ショウナンマイティ。昨春に大阪杯を勝ち、本格化。その勢いで宝塚記念で3着に突っ込んだ実績は、このメンバーなら一枚上だ。このレース、休み明けの馬の成績が悪いのは気がかりだが、ある程度仕上がっていれば勝負になる。
 推奨穴馬はヤマニンファラオカポーティスター。明け4歳馬が怖い。

 共同通信杯はゴットフリート。東京は向きそう。

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...