キャラのたった登場人物たちが琵琶湖を舞台に繰り広げる超能力合戦.
今度の万城目ワールドの舞台は琵琶湖.万城目氏が京都,大阪などに続き,わが家のある滋賀を舞台にした小説を書いたというではないか.
「これは読まねば」
と思っていた本書が文庫化されたのを機に購入.今回も万城目ワールド全開だ.
現代の日本(関西)を舞台に,そこにトンデモハップンな架空の世界を構築し,キャラのたった人物たちを散りばめる.ワンパターンと言えなくもないが,面白いから許す(←偉そう).
今回のトンデモハップンは
「琵琶湖の力を借りて他人の心を操る一族がいる」
というもの.
「そんなアホな」
なのだが,読んでいるうちにこんな一族がいそうな気がしてくれば,万城目ワールドへの入国完了だ.
冒頭にも書いたようにわが家は滋賀県にあり,毎日琵琶湖を見ながら生活していることもあり,さらにハマってしまった.よく知っている場所が舞台の小説には親近感を感じる.
「琵琶湖って何県にあるんだっけ?」
「滋賀県って北陸だよね?」
と知名度の低い滋賀県だが,本書でその魅力の一端を感じてほしい.
冬はスキー,夏はマリンレジャーを楽しめ,温泉やバーベキュー場も各地にある.もちろん京都よりも安く泊まれるし,子どもフレンドリーな宿や施設も多い.大津なら京都にも近く,京都市内の変なところに泊まるよりも,京都観光には便利だ.
本書を読んだ後は,ぜひ一度,滋賀県においでやす.
<粗筋>
琵琶湖の力を借りて人の心を操る日出家という一族がいるという.その日出家の分家に生まれた涼介は,本家に修行に出る.本家には跡継ぎの淡十郎がおり,涼介とは従兄弟で同級生にあたる.二人はともに高校に入学する.
そこでクラスメートになったのは,ライバルの棗家の跡継ぎである広海.千年以上争い続けてきた両家の人間が同じ教室にいるなんて,どんな争いが巻き起こるのか….そんなところに校長が登場し,意外な方向へと話は進む.