2013年11月21日木曜日

書評 藤原正彦・小川洋子『世にも美しい数学入門』(ちくまプリマー新書)

 理系の極致である数学者の感性と、文系の極致である作家の感性が、こんなに似通っているとは。

 数学者である藤原正彦氏(本書を刊行した半年後に『国家の品格』で大ブレイクした)と、『博士の愛した数式』で著名な作家の小川洋子氏が、数学をテーマに対談したものをまとめた一冊。
 数学者と作家。厳密な論理でガチガチの数学の世界と、虚構の物語を紡いでいく小説の世界。一見、真逆の世界に見えるが、本書を読むとそうではないことが分かる。数学者と作家は、同じ感性を持っており、根本的には同じ人種なのではないかと思えてくる。

 その共通の感性とは、タイトルにもあるとおり「美」に対するものだ。本書は「数学入門」なので、おもに数学的な美について語られる。
 たとえば三角形の内角の和。三角形の内角の和は、必ず180°になる。これを藤原氏も小川氏も「美しい」と感じ、その美しさについて、あれやこれやと話を重ねていく。藤原氏の表現を借りると

百万年前も現在も、そして百万年後もそう(評者注:三角形の内角の和は180°)だと。地球が爆発してなくなってもそうなんです。こんな真理は、ほかにこの世の中にないんですよ。どんなことだって、その場限り、せいぜい時代の産物ですよね。こういう永遠の真理っていうのは数学以外には存在しませんから、そういう美しさがあるわけですね。どうもがいても180°ということから逃れられないんですね」

という具合だ。他にもさまざまな数学的美の例が出てきて、二人で
「すごいよね~」
「美しいですね~」
と語り合う。この二人が「美しい」と感じる感性が、驚くほど似ているのだ。

 本書を読むと、その会話の場に、自分もいたような気になり
「いやぁ、数学って本当にいいもんですね~(水野晴郎風)」
と、隣の人に語りかけたくなってしまう、
 ただし本書は、至るところに『博士の愛した数式』のネタバレが出てくるので、まずは小説を読んでからこちらを読むことを強くお薦めする。

 以下は、本書とはあまり関係ない、私の個人的な考えである。
 私が数学的美を感じるのは幾何だ。混沌としている問題が、補助線を一本引くことにより、一瞬にして明らかになる。このドラスティックな展開とパズル的な要素に美しさや楽しさを感じる。
 一方で私は、数学が絶対的な真理だとはなかなか信じられない。藤原氏は、宇宙のどこへ行っても1+1は2であり、数学は絶対的真理なのだという。
 本当にそうなのだろうか。私は、宇宙の果てには、1+1は2ではない世界があり、地球とは違う公理体系が存在するような気がしている。宇宙はそんなに狭くないと思うのだ。もしくは、この宇宙では1+1は2でも、違う宇宙に行けば(宇宙は一つではないという説が最近では有力らしい)1+1は2ではないのではないか。そんな風に考えている。

「もしそういう世界があるとして、そういう世界の生物と出会ったとしたら、分かりあえる方法があるのだろうか。なさそうやなあ…」
なんてことを、幼少の頃に考えていたのを思い出した。
 みなさんの意見はどうだろう。宇宙の果てまで行っても、別の宇宙へ行っても、1+1は2なのだろうか。



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2013年11月19日火曜日

書評 吉成真由美『知の逆転』(NHK出版新書)

 1000円以下でこんなビッグネームのインタビュー集が読めるのは日本だけではないだろうか。

 現代の世界的知識人の大御所6人にインタビューし、そのやりとりをまとめた一冊。その6人とは

ジャレド・ダイアモンド
ノーム・チョムスキー
オリバー・サックス
マービン・ミンスキー
トム・レイトン
ジェームズ・ワトソン

という「これでもかっ」という顔ぶれ。内容もさることながら、まずはこれだけのビッグネームを揃えたことに驚く。
 この6人のうち、本書に生年の書いていないトム・レイトンを除く5人は、1920~30年代の生まれ。年齢的にも、大御所と呼ぶにふさわしいメンツである。本書を読む限り、みんな頭脳はまだまだ明晰だ。少し前に
「行動や考えを自由に選択できるということが、長寿命につながる」
という本があったが、まさにその生き証人といえよう。みんな、とにかく発想や行動が自由なのだ。

 各人の専門分野は、歴史、言語、脳科学、人工知能、数学(IT)、分子生物学と、てんでバラバラである。しかし、多くの点で意見が一致しているところが、とても興味深い。たとえばインターネット。インタビュアーの吉成氏は
「インターネットが人のつながりを変えて世界を変える」
的な答えを期待しているフシがあるのだが、返ってくる答えは意外にそっけない。
「たしかに便利だし、人のつながりも変化するのだろうけれど、本質的なことではない」
という感じの反応なのだ。インターネットはあくまでもツール(手段)であるということなのだろう。
 もう一つの例は宗教。(おそらく)6人とも無宗教なのだ。
「へえ、それが?」
と思ってはいけない。彼らは欧米人なのだ。日本人のように、初詣に行ったり、クリスマスを楽しんだりしつつ「宗教は信じていません」などという、ヤワな立場ではないのである。科学は宗教に取って代われるものではないし、多くの人々にとって宗教は必要であるとしつつも、自らは無宗教であるという意見が多いのだ。彼らの年齢も考えると、驚くべき一致である。
 もう一つ、「がんは近々克服できる」という見解が複数見られたことにも驚いた。
 もちろん、意見が異なることもいろいろあるのだが、それは本書を読んで、各人の見解の違いを楽しんでもらいたい。

 最後に、インタビュアーであり、本書をまとめた吉成氏について触れておきたい。
 本書の端々から、吉成氏の博識ぶりとバイタリティがにじみ出てくる。吉成氏のことは本書で初めて知ったのだが、おそらく相当な勉強家で、キレる人なのだろう。吉成氏なくしては、本書の成功はなかったのだと思う。
 ただ、その溢れる情熱が、大御所たちの見解を読者に伝える際のフィルターになっている気がしないでもない。もちろんインタビュー集なのだから、われわれ読者は聞き手を通して情報を得るのであり、やむを得ない部分もある。しかし、吉成氏の色が少し濃く出過ぎているようにも感じてしまう(吉成氏の才気煥発ぶりへの嫉妬もあるのかなあ)。
 そうか。吉成氏も含めた、7名の知識人のコラボレーションと思って読めばよいのだ。



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2013年11月17日日曜日

予想の回顧 マイルCS、福島記念、東スポ杯2歳S 2013

 今週はマイルCS。
 本命は◎クラレント。好発を切り、逃げる馬を見る位置に収まる。ペースは予想通りスロー。持ったままで4コーナーを回り、先頭に並びかける。
「これは、圧勝もあるかも」
と「取らぬ狸の何とやら」をしていたら、直線ではまったく伸びを欠き、11着に惨敗。これ以上ない展開だったと思うのだが、どうしたのだろうか。やはり、サウスポーということなのかもしれない。
 勝ったのはトーセンラー。前残りの展開の中、後方から矢のように伸びて差しきった。マイルの距離がよかったのだろう。「なぜいままでこの距離を使わなかったのか」と思わせる強さだった。
 鞍上の武豊騎手がGI 100勝を達成。めでたいことだ。次は、JRAのみでのGI 100勝が目標となるのだろうか。

 福島では福島記念。
 ◎ラブイズブーシェは中団のやや後ろを追走。もう少し前につけると思っていたので、少し不安がよぎる。3コーナー辺りから内を突いて徐々にポジションを上げ、4コーナーでは内を狙う。直線では馬群を縫うようにして伸びてきたが、1、2着馬には切れ負けして3着争い。馬券はワイドを買っていたので、3着と4着ではえらい違いだ。
「差せ~。いや、そのまま~」
と、大混乱の接戦。テレビの映像では、最後にディサイファにかわされたように見えたのだが、ハナ差でしのいでくれた。お馬さんも古川騎手もよく頑張ってくれました。お陰様で1-3着と2-3着のワイドをとった。

 土曜は東京で東スポ杯2歳S。
 ◎イスラボニータは3番手のインを進む。直線で最内を突いたところを、外からプレイアンドリアルが襲いかかってくる。ズルズルと後退しそうな雰囲気だったが、素晴らしい勝負根性を見せて差しかえして、見事にレコードで優勝。うまく乗られたにしても、強かった。血統的にも、ダービーよりも皐月賞向きの印象。
 しかし馬券はプレイアンドリアルを押さえておらず、ハズレ。この日は福島のメインも、本命が1着なのに2着を押さえておらず、2レース連続のヒモ抜けとなってしまった。精神的ダメージの大きいハズレ方だった。

 今週は、修学院Sも含めると4戦1勝だったが、新馬戦でそこそこついた単勝を当てたお陰で、ほぼトントン(少しマイナス)の結果に収まった。

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2013年11月16日土曜日

2013 マイルCS、福島記念 オレの予想を聞いてくれよ

 京都の日曜メインはマイルCS。かつては最も堅いGIとも言われ、創設以来10年以上連続で1番人気が連対していた。そして、それが初めて途切れたのが、16番人気のメイショウテゾロが2着に突っ込んできたときだ。これには驚いたが、さらに驚いたのが、この馬に◎を打っていた予想記者がいたこと。報知新聞の和田記者が名を上げたレースだった。

 レースにいってみたい。
 これといった軸がおらず、混戦模様。その中から本命は◎クラレント。前走は天皇賞・秋の1、3着馬に続く3着で、距離短縮もよい。サウスポーのイメージがあるが、京都は2歳時とはいえ重賞勝ちがあるし、心配なかろう。前につけての抜け出しを期待したい。
 推奨穴馬は、いろいろいて目移りするが、牝馬2頭を挙げたい。一頭目はドナウブルー。昨年の3着馬の人気がない。もう一頭はレッドオーヴァル。桜花賞の豪脚が忘れられない。

 福島記念は思い切って◎ラブイズブーシェ。今年に入ってからの充実ぶりは目を見張るものがある。小回りも向きそう。

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2013年11月15日金曜日

2013 東京スポーツ杯、修学院S オレの予想を聞いてくれよ

 11月も半ばになり、急に冷え込んできた。風邪を引かないように気をつけよう。財布だけでも暖かくしたいところだ。

 そんな土曜の東京メインは東京スポーツ杯。新聞の名前が重賞のレース名になっているパターンだ。夕刊紙では、フジやゲンダイを差しおいて、東スポだけがレース名に抜擢されていて、しかも重賞。大スポや九スポも、重賞でこそないものの、レース名になっている。JRAとこの系列の新聞は仲がよいようだ。
 東京1800 mといういかにもクラシックに結びつきそうなコースだが、かつては出世馬がほとんど出なかった。ところがここ数年はその流れが逆転し、大出世レースとなり、一昨年はついにダービー馬を輩出した。今年はそれに続く馬が出るだろうか。

 レースにいってみたい。
 1勝馬も多く、難しい。本命は◎イスラボニータ。数少ない2勝馬で、重賞2着の実績もある。今年の新潟2歳Sはかなりハイレベルだった可能性が高く、そこでの2着はおおいに評価したい。好枠も引いたし、期待に応えてほしい。

 推奨穴馬はワンアンドオンリー。オープン特別2着があるわりには人気がない。あと、1戦1勝の馬はすべて押さえておきたい。

 京都のメインは修学院ステークス。私は京都にいながら修学院離宮を訪ねたことがないが、よいところらしい。一度行ってみたいものだ。ちなみに、参観は無料だが、事前予約が必要である。
 レースの本命は◎インパラトール。前走の菊花賞は歯が立たなかったが、準オープンなら。

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2013年11月13日水曜日

子どもたちの七五三:娘7歳、息子3歳

 わが家には二人の子どもがいる。上のお姉ちゃんは数えで7歳(年長さん)、下の弟くんは満3歳(年少の一つ下)だ。というわけで、二人まとめて七五三をやってしまうことにした。
 息子は本来なら昨年が七五三なのだが、満2歳の子どもに着物を着せたり神社に連れていったりするのはたいへんなので、今年に回した。娘のときも、満3歳のときに七五三をした。

 娘は、3歳のときにも着た着物で今回も済まそうと思っていたのだが、写真屋さんのオバチャンに見せると
「こりゃ着られまへん」
とアッサリ却下。丈はともかく、前が合わせられないのだという。仕方なく、レンタルすることにした。
 一方、息子は私が3歳のときに着た羽織を、おばあちゃん(私の母)が出してきてくれた。桔梗の家紋つきである。偶然だが、写真屋さんのオッチャンの家紋も桔梗とのこと。私と同じく、家のルーツは山陰地方だそうだ。山陰地方では桔梗が定番なのだろうか。

 まずは写真屋さんで着付けをしてもらい、写真撮影。近所にある個人経営の写真屋さんで、値段は少し高いのかもしれないが、対応がフレキシブルなのがよい。またプリントした写真の他に、「スナップ」として写真のデータを何枚かくれるサービスがありがたい。
 こちらは私のデジカメで撮った写真。あら、可愛らしい(←親バカ)。



 続いて神社に移動して祈祷してもらった。こちらも近所の神社である。京都まで出れば有名な神社はいくらでもあるが、慣れない着物で移動するのはたいへんだ。それに、地元の経済に少しでも貢献するのも悪くないだろう(地産地消?)。


 二人とも、グズったりせず、上手にできました。このまま、仲良く育っていってください。

 娘は、今回で七五三は卒業だ。本人はそのことを知らず
「え、もうないの?」
とガッカリしていた(笑)。でも、楽しいイベントはこれからもいくつもあるし、楽しみにしてくだされ。
 私は、こういうイベントは子どもの頃からあまり好きではなかったのだが、女の子は違うのかなあ。

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2013年11月10日日曜日

予想の回顧 エリザベス女王杯、武蔵野S、ファンタジーS、京王杯2歳S、京都ジャンプS 2013

 日曜は京都でエリザベス女王杯。
 ◎ヴィルシーナは好スタートを切ったが、下げて中団へ。目の前にメイショウマンボがいる。3コーナーから徐々にウチ目を上がっていくが、4コーナーでメイショウマンボにフタをされて窮屈になった。その後は前も開いたのだが、大して伸びず10着。揉まれたのが応えたにしても、不甲斐なかった。距離なのか馬場なのか。
 勝ったのはヴィルシーナの外を抜けていったメイショウマンボ。秋華賞時よりもデキが落ちているように見えたし、事実そうだったと思うのだが、古馬をねじ伏せた。年度代表馬もあるかもしれない。

 東京では武蔵野S。
 ◎ベルシャザールは直線入り口で行き場を失うが、前が開くと抜群のキレを見せて完勝。強かった。JCDが楽しみだ。
 2着のアドマイヤロイヤルを押さえており、馬連を取った。

 土曜の京都メインはファンタジーS。
 ◎エルノルテは懸念されたスタートを無難に決め、中団の後ろから。しかし直線ではほとんど伸びず9着。確かに少し窮屈になる場面もあったし、逃げた馬が残る展開では厳しかっただろうが、物足りない内容だった。

 東京では京王杯2歳S。
 ◎トーセンシルエットは、第一集団から少し離れた5番手の位置をキープ。いい位置取りだったのだが、直線はジリジリとしか伸びず5着。

 京都ジャンプSは◎デンコウオクトパスが逃げて快勝したが、単勝140円。

 今週は5戦2勝だが、取った二つとも断然人気の馬。他のレースもチョロチョロで、トータルの収支もマイナスだった。
 しかしハズれるよりは当たるほうがよいと、前向きに捉えたい。

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【お父さんの週末料理】2024年4月26~29日<small>~GWのから揚げ大会~</small>

 わが家では土曜、日曜の晩ご飯は主に父(私のこと)が担当している、そのメニューを絶賛(?)公開中、  家族構成は父(アラフィフ)、母(年齢非公表)、娘(高2)、息子(中2)の4人、  GW前半の3連休。金曜に休みを取ったので4日分の料理記録。  4月26日(金)   昼...