2012年2月2日木曜日

書評 東野圭吾『ウインクで乾杯』(祥伝社文庫)

 またまた例によって、母から借りた東野小説。
 ひと言でいうなら、オシャレな作品。一昔前に流行したトレンディドラマ(いや、二昔前やな…)の雰囲気が漂ってくる。(当時よく読んでいた)「三毛猫ホームズ」シリーズのノリとも重なるところがあるように思う。

 主人公は小田香子というコンパニオン。玉の輿に乗って、高級宝飾店で金を気にせず買い物をするのが夢という、いかにもトレンディドラマに出てきそうな女性だ。
 香子の同僚が、あるパーティの後に殺され、香子もその事件に巻き込まれる。そして、その事件の担当刑事である芝田が、香子の隣の部屋にたまたま引っ越してくる。
「そんなうまい話、あるわけないやろ」
というツッコミはしてはいけない。なぜならトレンディドラマ(しつこい)だからである。
 そして二人はときには協同して、ときには離れて、事件を追う。密室の謎、残されたメッセージなど、さまざまな謎が立ちはだかる。それを一つずつ解き明かし、事件の全貌が明らかになる。そして、最後にはお得意のどんでん返し。東野さんの構想力、筆力に、今回も引きずり込まれた。

 何がオシャレって、香子と芝田の会話や距離感が絶妙かつトレンディ(もういいって)なのだ。私のつたない表現力では何のこっちゃ分からないだろうが、トレンディという言葉に惹かれる方は、是非読んでみてほしい。トレンディを満喫できるだろう(意味不明)。

 本作品の初出は1988年である。まさに、トレンディドラマという言葉が出始めた時期ではないか。東野さんが
「俺も、いっちょトレンディドラマなるものを書いてみるか」(土佐日記風)
と思って書いたのが本作品なのかもしれない。



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