というのはウソではないが、この本を読んだからといって必ず120歳まで生きられるわけではない(当たり前やけど)。
本書では、人が120歳まで生きられること、逆にいうとどれだけ頑張っても120歳までしか生きられないことが、さまざまな科学的知見から示される。著者の杉本さんの専門分野のためだろうが、おもに分子生物学的な視点からの話が多い。そのため副題が「寿命の分子生物学」となっている。
たとえば第2章では、テロメアがテーマである。細胞の分裂回数という観点から、ヒトの寿命が120歳であることが示される。細胞は際限なく分裂できるわけではなく、分裂回数の上限が決まっているのだ。その上限に達するのが、だいたい120歳だというわけだ。
そして、細胞の能力を最大限に発揮して120歳に近づくためには、日常生活でどのような点に気を配ればよいかも書かれている。すなわち「長生きの秘訣」が示されている。
その他には代謝系、免疫系、DNA、がんをテーマにした章が設けられ、それぞれの観点からヒトの寿命を分子生物学的に探っていく。どの観点から見てもだいたい寿命が120歳となっているのは、偶然の一致なのか、それとも何かの必然なのか。興味深い。
120歳とまでは言わなくても、なるべく長生きしたいと思っている人は本書を読んで損はない。長寿の仕組みが科学的に書かれているので、本書を読んでおけば、変な高額健康食品に手を出して損することもなくなるだとう。
ただし、本書はけっこう難しい。細胞や遺伝について、少なくとも中学校程度の知識は必要である。
本書に書かれているように、どれだけ頑張ってもヒトは120歳までしか生きられないのか、それともiPS細胞に代表される新発見が新しい医療を切りひらき、遺伝子の壁を乗り越えてどんどん寿命を伸ばしていくのか。
私が生きている間は難しいかもしれないが、このまま科学や医学が進歩していけば、私はヒトの寿命は120歳を超えていくと思う。
そんな未来を夢見ながら、毎晩ビールを飲んで寿命を縮めている私であった…。
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