(1)言いたいことだけを短く話す
(2)ポジティブに話を展開する
(3)相手の気持ちを思いやって話をする
「そんなの当たり前。自分はすでに実行しているよ」
という方も多いかもしれないが、本当だろうか。たとえば本書でNGとされている話し方には次のようなものがある。
・「十分な準備ができませんでしたが」など、言い訳から話が始まる。言い訳と謙遜は別なのだ。
・自分の熱い思いを、何度も繰り返し伝える。
・経験上、よい方法は分かっているので、その方法のよさを理路整然と説明する。
・しんどいことをお願いしたり、謝罪をするのに、メールで連絡する。
いざ指摘されてみると、当てはまる人も多いのではないだろうか。私など、ついつい話が回りくどくなってしまいがちだと自覚しているほどだから、たくさん当てはまる指摘があった。
中でも特に勉強になったのは、次の二つのルールだ。
・ルール5 気持ちを伝える用件は「電話向き」、詳細を伝える用件は「メール向き」
・ルール11 相手の話を引き出すには、相手の「最新ネタ」を収集しておいて、第一声で伝える
詳細は本書を読んでほしいが、ルールを一読しただけでも、おおよその内容は想像がつくだろう。たとえばルール5。確かにメールで気持ちを伝えるのは難しく、きちんと伝えようとするとどうしても長くなってしまう。謝罪やお願いは、特にそうだ。いままでは必要がない限りメールで済ませてきたが、これからは臨機応変に電話も使おうと思う(でも、電話って、周囲の同僚に話を聞かれるのがイヤなんだよね…)。
本書はたいへんコンパクトにまとまっていて、あっという間に読めてしまう。とはいえ、一読しただけで28のルールをすべて頭に入れるのは無理というもの。まずは自分に必要なルールをいくつかピックアップし、実行するのがよいだろう。
ただ本書は、実はもっと短くできたのではないかと思わずにいられない。著者の渡辺氏は、短く、簡潔に話をするプロなのだから、本書もさらにコンパクトにルールを凝縮できたに違いない。
でも、こればかりは仕方がない。私も職業柄よく分かるのだが、100ページやそこらでは、商売として成り立たないのだ。
「渡辺さん、せめて200ページは…」
という編集者の声が聞こえてきそうだ。
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