2016年2月17日水曜日

【書評】エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる─日本人への警告─』(文春新書)

どこの国でも、お隣の国との関係は難しいようで…


 著者のトッド氏は、古くはソ連の解体を予期し、その後も金融バブルの崩壊やアラブの春を予言するなど、たぐいまれな分析力を持つ歴史学者である。そのトッド氏が、現在のEUでドイツが力を持ちすぎていることに警鐘を鳴らす。
 簡単に言うと、ドイツは旧東欧圏の安価な労働力を使って物を作り、それを売ることによって莫大な利益を得て、まさに一人勝ちの状態である。またその結果、富める国とそうでない国の格差はますます拡大しており、その犠牲者がたとえばギリシャだというのだ。

 そういう目で見ると、ウクライナ問題も、ロシアが一方的に悪いと片付けてはよくないことが分かる。またアメリカの凋落とドイツの台頭が同時に生じていることは偶然ではなく、このままではアメリカとドイツが(第二次大戦以来)再び衝突しかねないとまで論じる。
 そこで鍵を握る国の一つはフランスであり(これは納得)、もう一つはロシア(これは意外)なのだそうだ。また、中国は近いうちに経済が破綻するので、それほど重きをおかなくてもよいという主張も斬新だ。
 などなど、説得力のある主張が繰り広げられる。

 日本についても言及されている。世界におけるいまの日本の立場、またこれからの日本の立場を考えるうえで、日本内部(中の人)からはなかなかでてこない発想が見られた。
 たいへん勉強になりました。

 ただし、断っておかねばならないのは、トッド氏はフランス人だということだ。フランスとドイツの関係は、言わずもがな。対立と融和を繰り返してきた隣国であり、その関係は微妙な緊張関係のうえに成り立っている。地続きである分、日本と韓国の関係よりも、さらに複雑だろう。
 そのフランス人がドイツをこき下ろした本、という見方もできるのかもしれない。

 さすがのトッド氏も、ドイツに対しては見方を誤ってしまったのか、それともトッド氏のいう通り、ドイツの台頭が世界を揺るがすことになるのか。
 歴史が証明してくれるのを待つしかなさそうだ。




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2016年2月15日月曜日

【書評】佐藤多佳子『夏から夏へ』(集英社文庫)

小説家がノンフィクションを書いたら、極上のルポになった


『一瞬の風になれ』(←名作です)を書いた佐藤氏が、07年の世界陸上大阪大会、そして08年の北京オリンピックの4×100 m(4継)リレーを走った4人のアスリートを追ったノンフィクション。「人」にフィーチャーして話を進めていくところが佐藤氏らしい。

 上記の二つの大会は、同じメンバーだった。
 一走は塚原直貴。つねに前向きな、トップバッター向きの選手だ。
 二走は末續慎吾。世界陸上パリ大会の200 mで銅メダル獲得という快挙を成し遂げた、歴史に残るスプリンターである。
 三走は高平慎士。短距離走者にしては異例の細身の体つき。北京後も日本代表の三走をつとめる、三走のスペシャリスト。
 そしてアンカーは朝原宣治。高野進、伊東浩司が切り拓いてきた日本短距離界を、大きく世界に近づけた名スプリンターだ。


 これにリザーブの小島を加えた5人の選手を佐藤氏が丹念に取材し、その人物像やお互いの関係などをルポしていく。そしてその筆致が、いい意味で小説風なのだ。通常のルポでは味わえない読後感だった。よい小説を読んだときのように、心が揺さぶられた。さすがは小説家である。

 まさに『一瞬の風になれ』のノンフィクションバージョン。『一瞬の風になれ』を読んだ人にはもちろんお勧めだ。読んでない人には、二つまとめてお勧めしたい。どちらを先に読むかで、違った感動が得られるだろう。しいて言うなら、先にこちら(ノンフィクション)を読むほうが、小説の感動が倍増するかも。私も、『一瞬の風になれ』を再読したくなった。

 ただ、本書は北京オリンピックの前に書かれたものであり、北京オリンピックでの銅メダルという快挙は書かれていない。続編の北京オリンピック版がないのが非常に残念だ。




夏から夏へ [ 佐藤多佳子 ]
価格:555円(税込、送料込)


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2016年2月14日日曜日

【お父さんの週末料理】2016年2月13・14日~お母さん特製、バレンタインデースペシャルガトーショコラ~

 わが家では土曜、日曜の料理は主に父(私のこと)が担当している。そのメニューを絶賛(?)公開中。
 家族構成は父(40代前半)、母(年齢非公表)、娘(小2)、息子(年中組)の4人である。なお、朝ご飯は妻が早起きして作ってくれている。


 2月13日(土) 
息子が風邪気味。心配されたおたふく風邪ではなかったが、咳が出る。

◆昼ご飯◆
 息子を病院に連れて行った後、元気そうだったのでそのまま買い物に。息子が選んだ今日の魚はイワシ。4匹を開いてもらって、フライにした。バローの魚屋さんは、いつも上手に調理してくれる。息子も、風邪をもろともせず、モリモリ食べた。
 他はコンソメスープ、サラダ、和風ベーコンパスタ、切り干し大根の煮物。それに加えて、マクドナルドの名前募集バーガーも食べた。賞金につられて名前を考えようということになり、試しに食べてみることに。一つを4人で分けた。マッシュポテトの存在感が前面に出ていて、いままでにはない感じのハンバーガーだ。

イワシフライ

和風ベーコンパスタ

◆晩ご飯◆
 メインはささみと大根の煮物。(昼に揚げ物を食べておいて何だが)風邪気味の息子のための、油控えめのメニュー。ささみを水から茹でて沸騰直前に火を落としてゆらゆらにして、20分ほど旨味を出す。そこに下茹でした大根を入れて、とろ火で煮込む。大根にささみの出汁がしみる、あったかメニューだ。息子は風邪気味なのに食欲はあるらしく、美味しく食べた。大根が苦手の娘も、ちゃんと完食。偉い。
 他はコンソメスープ、サラダ、白ご飯。

 2月14日(日) 
昼は焼き鳥、夜は麺類。

◆昼ご飯◆
 メインは焼き鳥。息子にはスペシャルネギ串をサービスした。ネギが大好きなのだ。息子は、ここでも風邪を感じさせない食欲を見せて、パクパクと完食。砂ずり好きの娘もぱくついた。
 他はコンソメスープ、サラダ、白ご飯。
 デザートは、お母さん特製のバレンタインデースペシャルガトーショコラ。外はサクッと、中はふんわりと仕上がり、上々の出来栄え。美味しすぎて、1ホールを食べきってしまった。

スペシャルガトーショコラ

◆晩ご飯◆
 風邪には麺類がよかろうと、酸辣湯(サンラータン)麺をメインに。干しエビが残っていたので、それを使うレシピを見本にした。調子に乗って風邪が悪化した息子も
「これ、美味しい」
とパクついた。ただ酢の味は控えめで、酸辣湯という感じではなかったかな。子どもたちは、ラー油は抜き。
 他はサラダ、切り干し大根の煮物、豚ブロックの焼き浸し。焼き浸しは、豚肉のブロックに塩コショウをすり込み、冷蔵庫で一晩寝かせる。それを弱火でじっくりと焼いてスライスし、ニンニクをきかせた醤油だれに漬け込む。弁当用に多めに作った。

みんなのきょうの料理 白菜と干しえびの辛みスープ

豚ブロックの焼き浸し

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【予想の回顧】京都記念、共同通信杯、洛陽S、クイーンC(2016)

 今週は京都記念。
 ◎ヤマカツエースは中団から。4コーナーでは大外へ持ち出し、いったんは2番手に抜け出したが、最後は内外から差されて5着。勝ち馬を負かしにいって早めに動いた分、後ろの馬に捉まった。
 勝ったのはサトノクラウン。昨秋の天皇賞が惨敗だったし、デキが戻るのはまだ先だろうと思っていたが、一枚も二枚も力が上の勝ちっぷりだった。今後が楽しみだ。個人的には天皇賞・春に向かってほしいが、中距離路線を行くのかなあ。
 馬券はボックスで選んだ5頭が、1頭も馬券圏内に入らず、大ハズレ。

 東京では共同通信杯。
 ◎ハートレーは中団につけるが、あまりいい手応えに見えない。4コーナーでは外に持ち出して差を詰めたが、直線では完全に失速。ブービーの9着に惨敗した。アクシデントがあったか。さもなければ、昨年のホープフルSはレベルが低かったのかもしれない。
 勝ったのはディーマジェスティ。先に抜け出したイモータルを、残り100 mで豪快にかわした。東京が合うのだろう。皐月賞よりも、ダービーで狙ってみたい馬だ。
 馬券は1、2着をともに買っておらず、ハズレ。

 土曜は東京でクイーンC。
 ◎メジャーエンブレムは好スタートからそのままハナにたった。控える競馬をしたかったが、スタートがよすぎてそうできなかったのだろう。4コーナーを回り、こちらは持ったままなのに、周囲の馬はどんどん脱落していく。ラスト200 m手前から軽く追って、5馬身差の独走。力の違いを見せつけた。桜花賞では断然の人気を集めそうだ。
 2着争いはロッテンマイヤー(買ってない)が抜け出したところに、推奨穴馬のフロンテアクイーンが迫ってくる。
「差せ~」
という声に応えて半馬身かわしたところがゴール。
 馬券は馬連をとったが、ほぼトントン。

 京都では洛陽S。
 ◎ケントオーは中団から。ラングレーよりも後ろなのは想定外だ。それなりにいい脚を使ったのだが、前2頭を捉えられず3着。位置取りの差か。前につけたかった。
 勝ったのはラングレー。3番手から抜け出した。こういう競馬ができるのなら、重賞でも通用するだろう。

 今週は4戦1勝だったが、京都の最終レースが土・日ともにいい感じで的中し、トータルはプラスを達成。この調子で来週のGIに向かいたい。

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2016年2月13日土曜日

【予想と与太話】京都記念、共同通信杯(2016)~時代で変わる王道ローテーション~

 今週は京都で京都記念が、東京で共同通信杯が行われる。
 共同通信杯は次々とクラシックホースを輩出する、出世レース。特にここ4年はゴールドシップ、ディープブリランテ、イスラボニータ、ドゥラメンテがこのレースで連対しており、春の二冠に直結するレースとなっている。
 特筆すべきは、ここから皐月賞へ直行する馬が増えていることだ。かつてはナリタブライアンやメジロブライトがここを勝ってクラシックへ向かったが、この後、皐月賞までにトライアルを使うのが当たり前だった。しかし上記の4頭のうち、ディープブリランテを除く3頭がトライアルをパスして直行している。調教技術の進歩によって、レースを使わなくても十分に仕上げられるようになってきたことが、その理由の一つだろう。時代によって、主流のローテーションも変わっていくものだ。

 レースにいってみたい。
 今年も楽しみなメンバーが揃った。本命は◎ハートレー。無敗で皐月賞に向かってほしいという期待を込めての二重丸だ。新馬勝ち直後の前走で、ロードクエスト、バティスティーニの素質馬を完封。素質を見せつけた。ここも通過点にしてほしい。
 推奨穴馬はリスペクトアース。今回もすんなり行けそう。

 京都記念は◎ヤマカツエースが本命。重馬場も対応可能。

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2016年2月12日金曜日

【予想と与太話】洛陽S、クイーンC(2016)~洛陽Sが京都で行われる理由~

 今週末は気温が上がり、春一番が吹くという。徐々に春が近づいてきているようだ。ただし天気は雨模様。馬場状態には気をつけたい。

 そんな土曜は京都で洛陽S、東京でクイーンCが組まれている。そして、小倉競馬も開幕。京都・東京開催の3週目から開幕とは、なんとも中途半端である。なんて細かいことを気にしているのは私だけだろうか…。

 洛陽とは中国の古都である。三国志の時代は魏の国の首都であり、関羽の首塚もあるのだそうだ。曹操が自らの首都に関羽を埋葬したということなのかもしれない。
「その洛陽を冠したレースが、なぜ京都で?」
その理由は「平安時代の日本においては、文学上の雅称として京都を洛陽と呼ぶことがあった。やがてこれが平安京の別名となり、その一字「洛」をもって京都を表すこととなり、京洛・洛中・洛外・上洛などの言葉が生まれた」(wikipediaより)ためである。京都には「洛」のつく地名や固有名詞が多いが、そのルーツは洛陽にあったのだ。

 レースにいってみたい。
 洛陽Sはここ数年、この時期の土曜メインに定着しているオープン特別。3年前からなぜか別定戦になった。
 今年は10頭の少頭数。オープンで実績のある馬も少なく、ぶっちゃけ低レベルのように感じる。本命は◎ケントオー。昨年の秋に突如覚醒し、4戦して3-1-0-0の成績でオープンまで昇級した。4走前に格上挑戦の1000万条件戦を使って勝利したことで、何かが目覚めたのかもしれない。前走は追い込んだが、元々は先行脚質の馬。前につけたい。
 推奨穴馬はバッドボーイ。ここ3走が2桁着順と全く精彩を欠いているが、得意の雨馬場と相手弱化のここ、すんなり先手がとれれば。

 クイーンCは◎メジャーエンブレムで仕方なかろう。推奨穴馬はフロンテアクイーンコパノマリーン

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2016年2月7日日曜日

【お父さんの週末料理】2016年2月6・7日~自家製フランスパンを焼いた~

 わが家では土曜、日曜の料理は主に父(私のこと)が担当している。そのメニューを絶賛(?)公開中。
 家族構成は父(40代前半)、母(年齢非公表)、娘(小2)、息子(年中組)の4人である。なお、朝ご飯は妻が早起きして作ってくれている。


 2月6日(土) 
初めて自家製フランスパンを作った。

◆昼ご飯◆
 この日は娘、息子と3人で買い物に。娘が選んだ本日の魚はサバ。3枚に下ろしてもらって味噌煮にした。「みんなのきょうの料理」でちょうどサバ1匹分のレシピを見つけたので、これを参考に。味噌が多かったのか、ちょっと辛かった。
 他は、サバのアラで作った潮汁、サラダ、焼き芋。潮汁はいい出汁が出て美味。焼き芋は、初めて安納芋(あんのういも)を食べた。ねっとりと甘く、人気があるのもうなずける。

みんなのきょうの料理 さばのみそ煮

サバのみそ煮。左にちょろっと見えているのが焼き芋

◆晩ご飯◆
 昼に、息子と二人でフランスパンを作った。オーブンレンジの取説に書いてあるとおりに作ったら、外はカリッと、中はフワッと、とても美味しくできた。最近の調理機器はよくできている。息子はこねたり膨らんだりするのが楽しかったらしく「また作りたい」とのこと。また作ろう。
 メインのおかずは日経新聞の「かんたんレシピ」からハクサイと豚肉の油揚げ巻き。白菜と豚肉の組み合わせがグーだ。息子は油揚げが苦手なのだが、黙って完食した。偉い。
 他は潮汁、サラダ、ポテサラ(息子)。

かんたんレシピ ハクサイと豚肉の油揚げ巻き

フランスパン

ハクサイと豚肉の油揚げ巻き

 2月7日(日) 
昼のラーメンにKOされた。

◆昼ご飯◆
 実家からもらったラーメンを食べたのだが、予想外に量が多く、みんなお腹がはち切れた。2回に分けて食べたらよかったね。すみません。
 他は、サラダと焼き大根。

◆晩ご飯◆
 またまたみんなのきょうの料理から、セロリつくね。翌日のお弁当用に多めに作った。今日は息子がつくねをこねて成形してくれた。セロリが多かったのか、まとめるのに苦労したが、味はグー。セロリの食感がいいアクセントになっている。お弁当にもよさそう。
 オニオングラタンスープも作った。子どもたちに大好評間違いなしと思っていたのだが、案外うけなかった。タマネギもダメなら、スープに浸したフランスパンも不評。残念な結果に終わった。
 他はサラダと昨日作ったフランスパン。

みんなのきょうの料理 セロリつくね

みんなのきょうの料理 オニオングラタンスープ

セロリつくねとオニオングラタンスープ

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...