2014年12月8日月曜日

書評 宮部みゆき『ソロモンの偽証』(新潮文庫)

「こんな中学生たちがいるわけないやろ」と思いつつ、グイグイ引き込まれた。


「いつかは読まねば」と思っていた宮部氏の長編。積ん読が溜まっていたので買い控えていたのだが、妻が買ってきたので読み始めたところ…やめられない止まらない。かっぱえびせん状態である。

 ある一人の目立たない中学生の死の真相を、生徒たちが校内裁判で明らかにしようとするのだが「こんな中学生がいるわけないやろ」という生徒が次々に登場する。とはいえ決して荒唐無稽ではなく、圧倒的な推進力と、徐々に真相に近づいていく展開にページをめくる手が止まらない。

 宮部小説には必ず登場する「胸くその悪い連中」が本作にも出てくる。宮部氏はこういう連中を書くことにかけては、天下一品だ。あんないい人に、どうしてこんな連中が書けるのだろう。
 今回は、そういう連中が何人も独立に現れるものだから、いつにも増して「うへぇ」となってしまうのだが、それでも引き込まれてしまうのが宮部小説。一つ読み終えると、しばらく遠ざかってしまうのは、そのせいかもしれない。
 最後は全てが明らかになり、中学生たちのその後を描いたスピンアウト短編もオマケについている。ご馳走様でした、満腹です。
 やめられない止まらない、ついつい食べ過ぎてお腹いっぱい。かっぱえびせん小説だ。

【粗筋】
 ある中学生の死の真相が、外堀から埋められるように、少しずつ明らかになっていく。
 誰がどう見ても自殺と思われた事件の裏には何があったのか。少年が殺されるのを見たという告発文、その告発文がマスコミに漏れて濡れ衣を着せられる担任の教師、告発文で殺人者呼ばわりされた超悪ガキ中学生。何が本当で何が嘘なのか。
 大人たちは体面を保つのに精一杯で何も明らかにしてくれない。事件のあった中学校の生徒である涼子は、校内裁判を行うことを決意する。反対する大人たちを説き伏せて裁判の開催を取り付けたのだが、それは事の始まりに過ぎなかった。事件の真相は、どこにあるのか。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

2014年12月7日日曜日

【予想の回顧】チャンピオンズC、金鯱賞、ステイヤーズS、逆瀬川S(2014)

 チャンピオンズCの本命は◎コパノリッキー。1番人気になるだろうとは思っていたが、1頭だけ抜けた人気になるとは。
 スタートは普通に切ったのだが、道中は中団の後方。想定外だ。
「これはハイペースなのか?」
と思っていると、1000 mは1分2.3秒とむしろスロー。これはマズイ。しかも4コーナーでは大外へ。
「これで勝てば相当だな」
という期待(妄想?)は崩れ去り、12着に沈んだ。1番人気が本命でこの結果だと、ヘコみますなあ…。
 敗因は行けなかったことに尽きるのだろうが、それではなぜ行けなかったのだろうか…。馬に聞くしかないのか。
 前に行った馬が上位を占め、ホッコータルマエが見事に昨年の雪辱を果たした。ドバイで体調を崩したそうだが、よく立て直した。陣営の努力にも賛辞を送りたい。

 土曜は中京で金鯱賞。
 ◎エアソミュールは中団のやや前につけるが、かなり行きたがっている。これはマズイ。直線では前走と同じく馬群を割ってきたが、前走ほどの脚は使えず、3着まで。折り合いを欠いたのが響いた。
 勝ったラストインパクトはレコードで1馬身半の差をつけた。距離は保つだろうし、有馬記念でも勝負になるかもしれない。馬券は馬連をだったのでハズレ。

 中山ではステイヤーズS。
 ◎スズカデヴィアスは中団から脚を伸ばすが前に迫るところまではいかず、4着まで。上位とは決め手の差か。馬券はワイドで買っていたので、惜しかった。
 勝ったのは昨年に続いてデスペラード。横山典騎手はこのレース5勝目らしい。長距離線は騎手で買えということか。

 阪神は逆瀬川Sがメイン。
 ◎スズカヴァンガードは単独2番手に収まる。期待通りの展開だったが、最後は抵抗及ばず4着止まり。ここもワイドで買っていたので、あと少しだったのだが…。

 馬連で買えば軸馬が3着、ワイドで買えば4着と、絵に描いたような惜敗が続いた…。

にほんブログ村 競馬ブログ 競馬予想へ
にほんブログ村

2014年12月6日土曜日

【予想と与太話】チャンピオンズC(2014)~新王者へ~

 ジャパンカップダートが名前と場所を変えてチャンピオンズCとなった。招待レースをやめたため名前を変えたのだが、その初年度からアメリカから自費でインペラティヴが参戦してくれた。アメリカの馬にとって、左回りはやはり魅力なのだろう。
 中京にGIが増えたのはよいことだと思うが、他のローカル競馬場にもGIを作れないものだろうか。JBCのように持ち回りのGIを新設するのも面白いと思う。

 レースにいってみたい。
 フェブラリーSの勝ち馬に、上昇中の4歳勢と歴戦の古馬陣が挑むという構図。本命は◎コパノリッキー。フェブラリーSを最低人気で勝った後、GIを3戦して1着、2着、1着。フロックではなかったことを示した。ここも勝って、新王者の地位を確立させてほしい。スムーズに先行できれば。
 本命が1番人気なので相手を絞りたいのだが、これが難しい。4歳ではインカンテーション、古馬ではローマンレジェンドを厚めに押さえる。
 推奨穴馬はベストウォーリアワイドバッハ。前者は距離が保てば。後者は武蔵野S勝ち馬なのに人気がない。

にほんブログ村 競馬ブログ 競馬予想へ
にほんブログ村

2014年12月5日金曜日

【予想と与太話】金鯱賞、ステイヤーズS、逆瀬川S(2014)~スズカ祭り~

 師走に入り、今週から阪神・中山・中京開催が開幕。今年も残り一開催。なるべくマイナスを減らして一年を終えたいものだ。

 ところで、馬券道場が今年で終わってしまうらしい。馬券をたくさん買う人が有利ではない催しなのでけっこう好きだったのだが、残念だ。
 この馬券道場によって、私の馬券スタイルに変化があった。他のレースでも単勝を買うようになったのだ。お財布の事情により馬券代が少なくなっていくなか、単勝100円、200円の1点勝負でレースを楽しむことを覚えた。大レースに集中して投資するのもよいが、多くのレースに参加するのも面白い。下級条件馬や障害馬にも(そういうクラスにこそ)個性的な馬がたくさんいるものだ。こういう楽しみ方を教えてくれた馬券道場には感謝したい。

 そんな土曜は中京で金鯱賞が、中山でステイヤーズSが、阪神で逆瀬川Sが行われる。
 金鯱賞はこの時期に移ってから3回目。昨年はここをステップに、ウインバリアシオンが有馬記念で2着に入った。さて、今年はどうだろうか。

 レースにいってみたい。
 毎日王冠と京都大賞典の勝ち馬が参戦。普通なら、迷わず天皇賞・秋かJCに向かうと思うのだが、珍しいことだ。名門厩舎(角居厩舎と松田博厩舎)だけに余裕があるのか、それとも何か思惑があるのか。

 本命は、毎日王冠の勝ち馬◎エアソミュール。今年の毎日王冠のレベルは低かったのかもしれないが、決して恵まれた勝ち方ではなかった。狭いところを抜けてきた脚には見どころがあったように思う。折り合い一つ。
 推奨穴馬はカレンブラックヒル。穴というほどではないかもしれないが、開幕馬場ですんなり行ければ。

 ステイヤーズSは思い切って◎スズカデヴィアスが本命。長距離適性があれば、この相手なら。
 逆瀬川Sも穴っぽいところから◎スズカヴァンガードが本命。上昇度を買う。スズカ祭りを期待したい。

にほんブログ村 競馬ブログ 競馬予想へ
にほんブログ村

2014年12月3日水曜日

書評 森博嗣『科学的とはどういう意味か』(幻冬舎新書)

科学者が、科学的な思考法の重要性を、「非」科学的に書いた本。


『すべてがFになる』のドラマ化で再ブレイク中の森氏が
「科学的に物事を考えないと損する、というか危険だよ」
ということを述べた本。
「科学的思考法」というとちょっと大げさだが、「みんなが」とか「多くの方々が」とか「使用者の大多数が」とか、そういう形容詞に惑わされずに、物差し(数値)で考えれば騙されたりしないよ、という主旨の本だ。

 しかし、本書の主張は科学的ではない。これは、嘘が書いてあるという意味ではなく、森氏の個人的な見解・思いを元に述べられているという意味である。
 本書では「科学的に考えないと損しますよ」ということが統計的に示されているわけではないし、そもそもそういう統計を作ること自体がほとんど無理だろう。森氏の見解を「非」科学的に伝えた本なのである。
 科学の重要性を伝えるのに非科学的な主張にならざるを得ないのはちょっと皮肉な感じもするが、その分、科学に抵抗感のある人にとっても読みやすいものになっている。さすがは理系小説家だ。本書を書くのに、森氏よりも適した人は、少なくともいまの日本にはいないだろう。

 非科学的に書かれた科学啓蒙書。科学に抵抗のある人にこそ読んでほしい。




にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

2014年12月1日月曜日

書評 島田潤一郎『あしたから出版社』(晶文社)

本が好きな人にはぜひ読んでほしい。必ず夏葉社の本が読みたくなるはず。


 晶文社の「就職しないで生きるには21」シリーズの一冊。小説家を目指していたが、それに見切りをつけ、出版社を立ち上げることを決意したのが著者の島田氏。出版社「夏葉社」の唯一の社員である。
 島田氏は小説家を志していたが、それに見切りをつけて就職活動をはじめる。しかし、全くうまくいかない。そんなとき、親友とも言える従兄弟が亡くなった。それをきっかけに
「仕方がない、もういいや」
と思った島田氏は従兄弟の両親、すなわち叔父と叔母の喜ぶことをしようと決意した。そのとき念頭にあったのは一編の詩。それを出版し、叔父と叔母に捧げることを誓ったのだ。

 正直、甘い。「人生そんな甘いもんじゃないよ」と言いたくなる人も多いだろう。しかし島田氏は一人で出版社を立ち上げ、周囲にも支えられながら、上記の詩集を含む何冊かの本の出版を成し遂げた。
 島田氏の実行力、突撃力が成功(出版に至ったこと)の一因だが、驚いたのは本に対する愛情だ。一冊一冊に対する思い入れが桁違いなのである。この愛情と思い入れがなければ、島田氏の夏葉社は早々に潰れているだろう。
 私も出版にかかわる仕事をしているが、本に対する愛情は島田氏の足元にも及ばない。「見習わなければ」と感じるよりも、圧倒的な差を目の当たりにして
「オレにはこうはなれないな」
と白旗モードである。

 ここまで本を愛せるのか。



【楽天ブックスならいつでも送料無料】あしたから出版社 [ 島田潤一郎 ]
【楽天ブックスならいつでも送料無料】あしたから出版社 [ 島田潤一郎 ]
価格:1,620円(税込、送料込)(楽天ブックス)

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

2014年11月30日日曜日

【予想の回顧】ジャパンカップ、京阪杯、京都2歳S(2014)

 今週はジャパンカップ。
 本命は◎ジェンティルドンナ。好スタートから中団のインに収まる。道中は折り合いもつき、いい感じに見えた。直線では内を突いて前を行くエピファネイアを追いかけたが、ズバッとは切れず、後ろの馬にも差されて4着。全盛期の切れ味が見られなかった。少し衰えたのかもしれない。
 勝ったのはエピファネイア。かかり気味に2番手を追走しているのを見たときは
「こりゃないな」
と思っていたのだが、直線入り口で抜け出すと独走で4馬身差の圧勝。昨秋の強さが蘇った。今年の4歳はレベルが低いようなので軽視していたのだが、この馬とキズナは別と考えてよさそうだ。
 福永騎手には悪いが、今年はうまく御せていなかったのだろう。折り合いに難のある馬は苦手なのか。
 2、3着のジャスタウェイ、スピルバーグも強さを見せた。とくにスピルバーグは前走がフロックではなかったことを示した。
 外国馬を含め、9着までをGI馬が占めた。過去にこういうレースがあっただろうか。

 京都では京阪杯。
 ◎エピセアロームは逃げる馬を見る絶好の位置取り。直線で前が開いたときは「やった」と思ったのだが、意外に伸びず4着。物足りなかった。

 土曜は京都でラジオNIKKEI杯京都2歳S。
 本命◎ベルラップは3番手から。スローの展開のなか、4コーナー手前からゴーサイン。切れ味勝負は分が悪いので
「もう少し早く仕掛けても」
と思っていたのだが、大きなお世話だった。直線では外に進路をとり、グイグイ伸びて前の2頭をかわすと、最後はダノンメジャーの追撃を退けて見事に1着。審議が長くヒヤヒヤしたが、馬券は単勝と馬連を取り、久々の大当たりとなった。

 今週は3戦1勝。日曜は散々だったが、土曜にポンポンと当たり、収支はプラスを計上。残り一開催、この調子でいきたい。

にほんブログ村 競馬ブログ 競馬予想へ
にほんブログ村

【お父さんの週末料理】2024年5月11・12日<small>~母の日のスペシャルディナー~</small>

 わが家では土曜、日曜の晩ご飯は主に父(私のこと)が担当している、そのメニューを絶賛(?)公開中、  家族構成は父(アラフィフ)、母(年齢非公表)、娘(高2)、息子(中2)の4人、  娘はテスト前で部活は休み。息子は通常練習。  5月11日(土)   娘は午後から図書館...