燦々と降り注ぐのではなく、柔らかくほんのりと部屋を照らすのがノースライトだ。小説の雰囲気と、よくマッチしている。ノースライトのように、静かに、粛々と話が進んでいく。
主人公は青瀬という建築家。
ノースライトを取り入れた、青瀬の渾身の力作の家に住んでいるはずの依頼主が蒸発した。依頼主はいったいどこへ行ったのか。それとも、この家の建築依頼そのものが茶番だったのか。
依頼主の行方に加え、家に残された椅子の謎、青瀬の属する建築事務所の挑戦、離婚した家族との関係などが渾然となり、まるでノースライトのようにほんのりと青瀬の人生を照らし出す。
静かだが、しかし熱いストーリーだ。読み応えたっぷり。
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