2024年3月19日火曜日

【読書メモ】恩田陸『蜜蜂と遠雷 上・下』(幻冬舎文庫)

 残りページが少なくなるにつれ
「もう彼らの演奏を聴けないのか…」
と残念になる。「読めないのか」の書き間違いではない。
 控えめに言って、音楽小説の金字塔だ。

 コンテストに参加する4人のピアニストを描いた作品。コンテストでの演奏が、圧巻の迫力で描かれる。まるで本から音が湧いて出てくるようだ。
 クラシック音楽に疎い私にも、演奏の感動が伝わってくる。文字で音を伝えるという不可能に挑戦し、見事に成功した驚きの作品だ。本書より後に音楽小説を書く人は、この作品が一つの指標になるのだからたいへんだ。

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