2013年12月5日木曜日

書評 NHKスペシャル深海プロジェクト取材班、坂元志歩『ドキュメント 深海の超巨大イカを追え!』(光文社新書)

 4人の男(オッサン)の執念が、ムンムンと臭って、いや匂ってくる。

 みなさん、見ましたか?「NHKスペシャル 世界初撮影! 深海の超巨大イカ」。2013年1月に放送され、生物ドキュメントとしては異例の高視聴率(16.8%)を記録した番組である。宇宙よりも遠いといわれる深海に住むダイオウイカの動く姿を、世界で初めて捉えた映像は迫力満点だった。
 その番組の制作過程の裏側を書いたのが本書である。まだ番組を見ていない人は、まずそちらをご覧になることを強くお薦めする。

 中心人物は4名。NHKの岩崎と小山、カメラマンの河野、そして国立科学博物館の窪寺である。この4人の
「ダイオウイカの映像を撮るんじゃ~」
という執念が、あの1時間余りの番組として結実した。その過程が、時間の経過とともに記されている。部長職を辞してプロデューサーとして現場に戻った岩崎。仕事の合間を縫っては小笠原に行き、ダイオウイカを追う小山と河野。研究者として、その半生をダイオウイカに捧げてきた窪寺。彼らの執念が、小笠原の漁師たちを、NHKの上層部を、海外のメディアを動かした。
 この、一歩間違えばストーカーと言われてしまいそうな、彼らの執念を読むための本であるといえよう。天才と変態は紙一重だということがよく分かる(?)。
「彼らの執念の数百分の一でも私にあれば、もっと出世できるのに…」
と妄想せずにはいられない。

 クライマックスは、やはりダイオウイカとの遭遇の場面。番組にもなった、潜水艇を使っての撮影のシーンだ。ここに至るまでの思いがすべて凝縮したかのような、奇跡のシーンが撮影される様子は圧巻である。もう一度番組を見たくなる。

 残念だったのは、この撮影の直接のMVPは、上記の4人ではなかったことだ。アメリカのエディス・ウィダーの開発したエレクトリック・ジェリー(電子クラゲ)という機器が、ダイオウイカをおびき寄せた。この、ごく弱い青い光がクルクルと回る機器をエサと思い込み、ダイオウイカがアタックを仕掛けてきたのだ。恐るべし、欧米の底力。
 とはいえ、ダイオウイカがアタックしてきたのは、他の研究者たちではなく、窪寺が潜水艇に乗っているときだった。窪寺を含む4名の執念がなければ、ダイオウイカは来なかったのかもしれない。




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2013年12月1日日曜日

予想の回顧 ジャパンカップダート、金鯱賞、ステイヤーズS、GブライドルT 2013

 今週はジャパンカップダート。ホッコータルマエが1番人気になるだろうとは思っていたが、1倍台はちょっと人気しすぎのような気がした。そこまでの差はなかろう。
 レーススタート。逃げが予想されたパンツオンファイア(「尻に火がつく」という意味らしい)は馬場の違いに戸惑ったのか、行けず。その結果、エスポワールシチーがすんなりハナを切る。レースは予想外のスロー。これは前有利か。
 ◎ベルシャザールは3コーナーからマクリ気味に上がっていく。この流れで外を回しては厳しい…と思っていたのだが、外をグイグイと伸びると、先に抜け出したホッコータルマエをかわして見事に1着。これは強かった。
 2着にはその後ろを追うように伸びてきたワンダーアキュート。またしてもあと一歩届かなかったが、確実に差してくる。6番人気とは、人気の盲点だったか。
 馬券は厚めに買っていた馬連をとった。5000円近くついたのは美味しかった。

 土曜の中京メインは金鯱賞。
 逃げ馬不在でスローペースのはずが、意外に縦長の展開に。ハナを切ったのは、何とメイショウナルト。「サイレンススズカメモリアル」だったので、武豊は何としてもハナを切りたかったのだろうか(そんなことはないと思うが)。
 ◎カレンミロティックはそのメイショウナルトから離れた2番手。直線入り口で、早くもメイショウナルトが失速。押し出されるようにカレンミロティックが先頭に立つ。
「これはちょっと早いのでは?」
という心配をよそに後続との差を広げ、2馬身半差の完勝。有馬記念での伏兵の一頭になりそうだ。
 2着は道中3番手につけていたラブリーデイ。馬連をとった。
 2、3番手の馬が1、2着に残ったことを考えると、ハナを切ったメイショウナルトは不甲斐なかった(しんがり負け)。そうとう引っかかったのだろうか。
 3着にウインバリアシオンが突っ込んできたのには驚いた。長期休養あけで+30kgなのに格好をつけた。次走は有馬記念か。印がいりそうだ。

 中山メインはステイヤーズS。
 ◎ユニバーサルバンクはぽつんと一頭で中団を進む。勝ち馬の切れ味には完敗だったが、しぶとく伸びて2着を確保。よく頑張ってくれました。馬連をとった。

 阪神メインはGブライドルT。
 ◎アメリカンウィナーはいい手応えで直線を向くが、閉じこめられて行き場を失う。さすがWSJSといったところか。最後は進路を確保するが2着までが精一杯。馬券は、相手を絞っていたため1着のクリノスターオーが抜けており、ハズレ。

 今週は4戦3勝で、外れたレースも◎は2着。トータルの収支もプラスになった。この勢いを有馬記念まで続けていきたい。

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2013年11月30日土曜日

2013 ジャパンカップダート オレの予想を聞いてくれよ

 今週は阪神でジャパンカップダート。来年から中京に移るため、阪神では最後のレースとなる。中京にGIが増えるのはよいことだし、左回りにするとアメリカから馬が来てくれるかもしれない。JRAの番組変更には批判的なことが多い私だが、今回は妥当な判断だと思う。代わりに阪神には2歳のGIができるそうだし、快く送り出したい(?)。

 さてレースにいってみたい。
 GI馬が9頭という豪華メンバーが揃った。また、招待レースとしては最後のレースにアメリカから一頭参戦してくれたのもありがたい話だ。
 本命は、そうそうたるメンツを差し置いて、ベルシャザール。ダービーでオルフェーヴルの3着した素質馬が、ダートに路線を変更して能力開花。前走は着差以上の勝ちっぷりで重賞初制覇を飾った。その前走直後は、ここ(JCD)はパスしてフェブラリーSを目指すという話だったのだが、予定を変えてここを使ってきた。調子がよいからこその予定変更だと解釈したい。
 松田国厩舎で芝からダートに変わって活躍した馬と言えばクロフネだ。そこまでの活躍を期待するのは酷だが、似たような雰囲気は感じる。
 推奨穴馬は、こちらも芝の実績があるブライトライン。もう一頭はグレープブランデー。前走の負けで人気を落としているが、馬体が絞れれば怖い。

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2013年11月29日金曜日

2013 金鯱賞、ステイヤーズS、ゴールデンブライドルT オレの予想を聞いてくれ

 今週から阪神・中山・中京開催が開幕。今年の競馬もあと4週間だ。今年の馬券成績は散々だったが、秋以降は少し持ち直してきた。最後の開催で一稼ぎして、例年並みの水準に戻して一年を終わりたい。

 そんな開幕週の土曜日は、中京で金鯱賞、中山でステイヤーズS、阪神でWSJSのゴールデンブライドルTが行われる。
「この時期に金鯱賞ですか…」
とさっそく文句をつけたのが昨年のこと。今回が、冬に移ってから2回目である。
 さい先よく、昨年の勝ち馬オーシャンブルーは、次走の有馬記念で2着に入った。今年も有馬記念で好走する馬が出るだろうか。

 さてレースにいってみたい。
 かなり手薄なメンバーだ。実績馬の多くは休み明けや不調。GIIなのに、各上挑戦の馬もチラホラ見える。
 それなら本命は◎カレンミロティック。前々走で準オープンを勝ち上がった馬だ。前走は初のオープンで人気を裏切って惨敗したが、初の洋芝、距離、展開、馬場など悪条件が重なった。左回りも得意だし、リフレッシュされた今回は本領発揮。
 相手は、メイショウナルトをは厚めに抑える。
 推奨穴馬はシャドウバンガード。各上挑戦だが、この相手なら。

 ステイヤーズSはアルゼンチン共和国杯の再戦といった様相。本命は別路線組から◎ユニバーサルバンク

 阪神メインはゴールデンブライドルT。
「WSJSにこんなレースあったかな…、そもそもブライドルって何やねん?」
と思ったので調べてみた。
 まずブライドルとは「頭絡・ハミ・手綱などを総称する英語」のことだそうだ(JRA特別レース名解説)。以前にあったゴールデンスパー(拍車)Tがなくなって、ブライドルTになった。拍車の使用が禁止されたことが理由らしいが、そもそも拍車って何やねん…。これは、来年までの宿題にしておきたい。
 前置きが長くなったが、本命は◎アメリカンウィナー。鞍上はイギリスのベテラン、ヒューズ騎手。WSJSは初出場だ。どんな騎乗を見せてくれるのか楽しみにしたい。

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2013年11月28日木曜日

書評 伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫)

 何を書いてもネタバレになりそうで、書評を書くのを躊躇していたのだが、ある事実を知り、書くことにした。

 映像化不可能。小説の醍醐味を堪能した。

 二つの話が並行して進んでいく。
 一つは「現在」。大学に入学するために一人暮らしを始めた「僕」の話だ。「僕」は引っ越し先のアパートで、河崎という隣人から書店を襲うこと(書店強盗)を持ちかけられる。
「そんな馬鹿な…」
と思いつつ、なぜか参加してしまう僕。
 もう一つはその「二年前」の話。河崎のモトカノである「わたし」と、そのイマカレのドルジ、そして河崎。この3人の物語だ。
 この「現在」と「二年前」を行ったり来たりしつつ、ストーリーは進んでいく。そして二つの話が交わるとき、すべてが明らかになる。

 という、ミステリーにありがちなパターンの構成なのだが、ありがちなのは構成だけである。アッと驚く大逆転で、話はストンと落ちる。お見事としか言いようがない。
 また至る所に伏線が張ってあり、ラストにはそれが見事に回収されるところも気持ちがよい。読み終えて
「なるほどねぇ」
と唸ってしまった。感心のあまり、読後に唸ってしまう本も珍しい。

 で、急に書評を書こうと思った理由。それは、冒頭の
「映像化不可能。小説の醍醐味を堪能した」
にある。映像化不可能のトリックがこの小説のキモなのだ。
 だがしかし、何と、本書は映画化されているというではないか…。マジっすか。いったいどうやって映画にしたのだろうか、気になって仕方がない。
 映画を見たら、報告したい。

 追記:映画見ました。



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2013年11月27日水曜日

書評 森見登美彦『有頂天家族』(幻冬舎文庫)

 京都好きは必読。人間界で暮らす狸一家のハチャメチャ、ほんわかストーリー。

 古来、桓武天皇の時代から、京都には狸と天狗がおり、人間に混じって生活しているのだという。そのうち、下鴨の糺の森に暮らす狸一家の物語だ。
 主人公は下鴨矢三郎という狸。亡き父の残した四兄弟の三男坊である。そこに、個性豊かな天狗や人間が絡み合い、チャンチャンバラバラの大活劇を繰り広げる。
 下鴨一家の師匠である赤玉先生は、かつての大天狗の面影もなく、プライドばかり高い偏屈な天狗となっている。その赤玉先生にさらわれて、人間から天狗に育てられたのが、弁天という超絶妖艶天狗。このクールなエロティックさには、私もKOされた(おいおい)。さらに、下鴨家のライバルである夷川家が、京都の狸界を牛耳ろうと策を巡らす。
 これらの主要登場人物(狸?)が、みなキャラが立っている。マジメな狸もいれば、阿呆な狸、腹黒い狸もいる。でも、よく考えてみれば、これって人間界も同じかも?…

 弱い立場の者たちが、強者からの圧力など意に介さず、生きたいように生き、大暴れするという構図が、夏目漱石の『坊ちゃん』を連想させた。「狸」という言葉がそうさせたのかもしれない。

 森見氏は京大農学部出身の小説家ということは知っていたのだが、初めて著書を読んでそれも納得。京都のちょっと隠れた魅力が伝わってくる作品だった。外部から京都を見る、ガイドブック的視点では作れない作風だろう。長年、実際に京都に接してきたからこそ書ける、ディープな京都を垣間見させてくれる。またそれが
「これが本当の京都なんどす」
と、押しつけがましく語られるわけではない。東華菜館や出町柳商店街など、京都に暮らす人には「!」と来る場所が絶妙のタイミングで登場するのがニクい。
 京都好きの人はもちろんだが、京都に住む人にもぜひ読んでもらいたい。

 ちなみに私の上司は、大学入学時に東北地方から京都に出てきて以来、40年以上京都で生活している。その上司が
「森見登美彦はええぞ~。お前らも読め」
と、飲む度に勧めてくるワケがよく分かった。



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2013年11月24日日曜日

予想の回顧 ジャパンカップ、京阪杯 2013

 今週はジャパンカップ。
 ◎ジェンティルドンナは好発を切り、3、4番手でガッチリ押さえ込む。直線では内を突き、残り200 m手前で先頭に立つ。「ちょっと早いか」とも思ったが、そのまま押し切って見事に1着。完勝だった。
 対抗○エイシンフラッシュは、何とハナを切った。おそらく予定外だったのではないだろうか。これではタメが効かず、10着に惨敗。
 頑張ったのが推奨穴馬のトーセンジョーダンジェンティルドンナと同じような位置取りでレースを進め、直線では2頭で抜け出してジェンティルドンナに食い下がる。馬連を押さえていた私は、当然
「そのまま~」
トーセンジョーダンに声援を送ったのだが、最後はデニムアンドルビーが飛んできて3着に惜敗。馬券は外れた。デニムアンドルビーの末脚には驚いた。秋華賞→女王杯→JCの過密ローテーションで馬体重も減。まったく馬券対象外だった。

 土曜は京都で京阪杯。
 ◎ラトルスネークは懸案のスタートを無難に出たが、1200 mではついて行けず、後方から。4コーナーでは外を回して最速の上がりで追い込んできたが、5着まで。前に行った3頭がそのまま1~3着を占める展開では厳しかった。流れが向けば1200 mにも対応できそうだが、1400 mのほうがベターか。
 勝ったのは推奨穴馬のアースソニック。昇級初戦とはいえ、春はオープンで善戦していた馬。7番人気は美味しかった。

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【お父さんの週末料理】2024年10月26・27日<small>~焼き芋の季節~</small>

 わが家では土曜、日曜の晩ご飯は主に父(私のこと)が担当している。そのメニューを絶賛(?)公開中。  家族構成は父(アラフィフ)、母(年齢非公表)、娘(高2)、息子(中2)の4人。  10月26日(土)   娘は部活の掛け持ち。相変わらず忙しい。息子は通常練習。 ◆朝...