恐れていた事態が、ついに現実になった。息子が額(ひたい=おでこ)をパックリと割ったのだ。今年(2013年)の11月末に、事件は起こった。
娘(6歳)と息子(3歳半)が、いつものようにジャレあっている。体力が有り余っているのか、それともアホなだけなのか。理由はともかく、家(3LDKのマンション)の中で全力で追い駆けっこをしたり、本気で組んずほぐれつのプロレスをしたり、「毎日が運動会」状態である。
以前から、事件の予兆はあった。「スッテーン」と転んだところ、ギリギリでイスをかわしたり、ドアを全力で閉めているところに、それを阻止しようとして手を出したり、「何かのショーですか?」と言いたくなる場面が何度もあった。
怒ってやめさせることはできるのだが、その場限りでどうせまた同じことをするし、子どもが無邪気に楽しく遊ぶのを制限しすぎるのも気が引けて「いずれ、何か起こるかもしれないなあ」と思いつつ、放置していたのだ。
「子どもって、こんなもんだよなあ」
「世の中、ギリギリでかわすように、うまくできているもんだなあ」
とか、都合のよい解釈をしていたわけだ。
そんなある日、心配が現実になった。
二人とも、マックスのテンションではしゃいでいる。娘が亀のように丸まったところに、息子が覆いかぶさった。そこで娘が
「うがー」
と、息子を払いのけるように腰を浮かせた。背負い投げの状態だ。息子は、背負い投げを防ぐべく、ひっくり返らないように耐える。が、3歳の年の差はいかんともしがたく、腹ばいのまま前方に投げ出された。そこにあったのは、テレビ台。角っこ(辺の部分)に額を打ち付けた。ほとばしる鮮血(ちょっと大げさです)。見事に額が割れていた。
この事件が起こったのは祝日の午後だったのだが、近所に救急の外来をやっている病院があったので、応急処置をしてもらえた。その結果が、こちら。
縫うまでには至らなかったし、目ではなかったのも幸いだった。1週間後に、お医者さんから
「少し跡は残るかもしれませんが、もう大丈夫ですよ」
と言われたのだが、妻は
「なるべく跡が残らないように」
という思いが強いらしく、現在もテーピングを続けている。さらに「ケロコート」という、傷が残りにくくなる塗り薬も見つけてきて、注文した。
「ゴミゴミした家で、放任してるからそうなるんじゃないの?」
と思う方もいるだろう。しかし、そうではない。ウチのLDKはこんな感じ。
子どものために、テーブルを置かず、だだっ広くしてある。また、ウチは放任主義とは対局の、口うるさい両親であるという自信(?)はある。
子育ては難しい。「子どもの自主性を制限しすぎないように、あまり口うるさくしないほうがよいのかなあ」と、子どものやりたいようにさせていた「遊び」が、このような結果になった。
上にも書いたように、ウチは平均以上に口うるさい家庭である。その後ろめたさが
「家の中ではしゃぐくらいはいいか」
という甘さにつながったのだろうか。それとも、LDKをだだっ広くしていたのが逆効果だったのか。
原因は一つではないのだろうが、「締めるところ」と「そうでないところ」の区別の難しさを改めて実感した事件だった。
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2013年12月12日木曜日
2013年12月10日火曜日
映画評 『アヒルと鴨のコインロッカー』
先日、この映画の原作を読んだ。粗筋などが知りたい方は、そちらをご覧いただきたい。そのときに、以下のように書いた。
というわけで、さっそく映画を見てみたのだが…なるほど、よくできている。
「無理矢理、映画にしたんじゃないの?」
という疑念があったのだが、小説の雰囲気はよく伝わっており、映画にも入り込めた。
とはいえ、小説のキモの部分の処理は、やや反則気味か。やっぱ、こうするしかないのかなあ。
小説を先に読んだ私としては楽しめたのだが、先に映画を見た人はどうなのだろうか。原作小説の大逆転を理解できるのか。理解できたとして、それを受け入れられるのか。是非感想を聞いてみたい。
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映像化不可能のトリックがこの小説のキモなのだ。だがしかし、何と、本書は映画化されているというではないか…。マジっすか。いったいどうやって映画にしたのだろうか、気になって仕方がない。映画を見たら、報告したい。
というわけで、さっそく映画を見てみたのだが…なるほど、よくできている。
「無理矢理、映画にしたんじゃないの?」
という疑念があったのだが、小説の雰囲気はよく伝わっており、映画にも入り込めた。
とはいえ、小説のキモの部分の処理は、やや反則気味か。やっぱ、こうするしかないのかなあ。
小説を先に読んだ私としては楽しめたのだが、先に映画を見た人はどうなのだろうか。原作小説の大逆転を理解できるのか。理解できたとして、それを受け入れられるのか。是非感想を聞いてみたい。
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2013年12月8日日曜日
予想の回顧 阪神JF、カペラS、朝日CC 2013
今週は阪神ジュベナイルフィリーズ。馬群が縦長になり、思ったよりも速いペースとなった。
◎レッドリヴェールは中団から進める。4コーナー手前から仕掛けていき、馬場の真ん中に出すと手応え以上の伸びを見せた。先に抜け出したフォーエバーモアをかわし、ハープスターの追撃をハナ差で振り切ってゴール。見事に期待に応えてくれた。馬単を買っていたので、このハナ差は大きかった。
戸崎騎手はGI初勝利。インタビューで自分のGI初勝利のことよりも、馬の将来のことを話す姿勢に好感を持った。戸崎騎手もお馬さんもありがとうございました。
2着に来たのはハープスター。予想の段階で「八分の仕上がりか」と書いたのだが、馬体重は+2 kg。九分以上に仕上がっていたようだ。さすが松田博厩舎。
3着のフォーエバーモアも含め、来春が楽しみになるレースだった。
中山のカペラSは◎スイートジュエリーが行けず、9着に惨敗。重賞では敷居が高かったのか。
土曜は阪神で朝日CC。
◎ラウンドワールドは中団の内に収まる。3、4コーナーでは最内に押し込められ、馬群がダンゴ状態になったため外に出せず、直線ではやや窮屈になった。それでも、ラスト400 mあたりで進路は開いたように見えたのだが、サッパリ伸びず、10着。多少窮屈になったにしても、致命的な不利には思えなかったのだが…。揉まれずに外を回るほうがよいタイプなのかもしれない。
勝ったのは◎と同じ位置にいたアルキメデス。◎とは対照的に、馬群を突き抜けた。来年が楽しみだ。
今週は3戦1勝だが、当たった一つがまずまずついたので、トータルの収支もプラスになった。今年の終わりまでこの勢いを続けていきたい。
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◎レッドリヴェールは中団から進める。4コーナー手前から仕掛けていき、馬場の真ん中に出すと手応え以上の伸びを見せた。先に抜け出したフォーエバーモアをかわし、ハープスターの追撃をハナ差で振り切ってゴール。見事に期待に応えてくれた。馬単を買っていたので、このハナ差は大きかった。
戸崎騎手はGI初勝利。インタビューで自分のGI初勝利のことよりも、馬の将来のことを話す姿勢に好感を持った。戸崎騎手もお馬さんもありがとうございました。
2着に来たのはハープスター。予想の段階で「八分の仕上がりか」と書いたのだが、馬体重は+2 kg。九分以上に仕上がっていたようだ。さすが松田博厩舎。
3着のフォーエバーモアも含め、来春が楽しみになるレースだった。
中山のカペラSは◎スイートジュエリーが行けず、9着に惨敗。重賞では敷居が高かったのか。
土曜は阪神で朝日CC。
◎ラウンドワールドは中団の内に収まる。3、4コーナーでは最内に押し込められ、馬群がダンゴ状態になったため外に出せず、直線ではやや窮屈になった。それでも、ラスト400 mあたりで進路は開いたように見えたのだが、サッパリ伸びず、10着。多少窮屈になったにしても、致命的な不利には思えなかったのだが…。揉まれずに外を回るほうがよいタイプなのかもしれない。
勝ったのは◎と同じ位置にいたアルキメデス。◎とは対照的に、馬群を突き抜けた。来年が楽しみだ。
今週は3戦1勝だが、当たった一つがまずまずついたので、トータルの収支もプラスになった。今年の終わりまでこの勢いを続けていきたい。
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2013年12月7日土曜日
2013 阪神ジュベナイルフィリーズ、カペラS オレの予想を聞いてくれよ
今週は阪神ジュベナイルフィリーズ。レース名は何度か変わったが、2歳チャンピオン牝馬決定戦としてすっかり定着している。阪神改修後は、翌年のクラシックとの結びつきも強くなり、レースの格がさらに高くなったように感じる。
今年はハイレベルなメンバーが揃った。牡馬相手に重賞を勝った馬が3頭。それも、3頭とも1600 m以上の距離の重賞を制している。普通の年なら穴人気しそうな2戦2勝の馬が現在のところ8番人気である。
その中から、本命は◎レッドリヴェール。札幌2歳Sの勝ち馬だ。阪神1600 mの新馬戦を制しているのも心強い。阪神改修以降はスタミナが要求されるようになり、長い距離で実績のある馬が活躍している。1800 mの重賞を勝っているこの馬に期待したい。休み明けだが、予定通りのスケジュールなら心配なかろう。
ハープスターは、八分のデキといったところか。少し重めも残っているようだ。この仕上がりでアッサリ勝つようなら、相当な化け物だ。
推奨穴馬は関東の2勝馬2頭フォーエバーモアとマジックタイム。もう一頭、使う度に力をつけているモズハツコイ。
カペラSは◎スイートジュエリー。
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今年はハイレベルなメンバーが揃った。牡馬相手に重賞を勝った馬が3頭。それも、3頭とも1600 m以上の距離の重賞を制している。普通の年なら穴人気しそうな2戦2勝の馬が現在のところ8番人気である。
その中から、本命は◎レッドリヴェール。札幌2歳Sの勝ち馬だ。阪神1600 mの新馬戦を制しているのも心強い。阪神改修以降はスタミナが要求されるようになり、長い距離で実績のある馬が活躍している。1800 mの重賞を勝っているこの馬に期待したい。休み明けだが、予定通りのスケジュールなら心配なかろう。
ハープスターは、八分のデキといったところか。少し重めも残っているようだ。この仕上がりでアッサリ勝つようなら、相当な化け物だ。
推奨穴馬は関東の2勝馬2頭フォーエバーモアとマジックタイム。もう一頭、使う度に力をつけているモズハツコイ。
カペラSは◎スイートジュエリー。
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2013年12月6日金曜日
2013 朝日チャレンジカップ オレの予想を聞いてくれよ
今年の競馬もあと3週。ビシッと締めたいところだ。
土曜の阪神メインは朝日チャレンジカップ。朝日CCといえば、秋競馬の開幕週で定着していたのだが、昨年からなぜかこの時期に。中京の重賞と入れ替わったのかもしれないが、そんなことせんでもいいのになあ…。JRAの番組変更には不可解な点が多い。
「毎年、必ずいくつかの重賞をいじらなければならない」
という内規でもあるのだろうか。
さて、レースにいってみたい。
一流馬はGI戦線真っ最中のこの時期だけに、実績馬はほとんどいない。オープン特別常連組と登り馬が激突する。となれば、勢いのある登り馬に人気が集まるのも当然か。
私の本命も、登り馬組から◎ラウンドワールド。1番人気になりそうだ。春は惜しいところで権利が取れず、クラシックに出走できなかった。しかし、それが災い転じて福となったのか、休養あけの前走で、鮮やかな勝ちっぷりを見せた。9ヶ月間休ませたのがよかったのかもしれない。阪神の外回りで、末脚の破壊力も倍増を期待したい。倍返しだ(ちょっと違うような)。
相手も、人気だがタマモベストプレイとアルキメデスが有力。
推奨穴馬は一皮むけた感のあるコアレスドラードと、着順ほど負けていないハナズゴール。
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土曜の阪神メインは朝日チャレンジカップ。朝日CCといえば、秋競馬の開幕週で定着していたのだが、昨年からなぜかこの時期に。中京の重賞と入れ替わったのかもしれないが、そんなことせんでもいいのになあ…。JRAの番組変更には不可解な点が多い。
「毎年、必ずいくつかの重賞をいじらなければならない」
という内規でもあるのだろうか。
さて、レースにいってみたい。
一流馬はGI戦線真っ最中のこの時期だけに、実績馬はほとんどいない。オープン特別常連組と登り馬が激突する。となれば、勢いのある登り馬に人気が集まるのも当然か。
私の本命も、登り馬組から◎ラウンドワールド。1番人気になりそうだ。春は惜しいところで権利が取れず、クラシックに出走できなかった。しかし、それが災い転じて福となったのか、休養あけの前走で、鮮やかな勝ちっぷりを見せた。9ヶ月間休ませたのがよかったのかもしれない。阪神の外回りで、末脚の破壊力も倍増を期待したい。倍返しだ(ちょっと違うような)。
相手も、人気だがタマモベストプレイとアルキメデスが有力。
推奨穴馬は一皮むけた感のあるコアレスドラードと、着順ほど負けていないハナズゴール。
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2013年12月5日木曜日
書評 スティーヴン・ストロガッツ『ふたりの微積分 ―数学をめぐる文通からぼくが人生について学んだこと―』(岩波書店)
これぞ、男の友情だ。
著者のスティーヴン・ストロガッツは、MITなどを経て、現在はコーネル大学で教授を務める数学者。その著者と、高校時代の数学の教師だったドン・ジョフリー先生との、30年以上に及ぶ文通での交流を描いた作品。
「手紙を通じた、心の温まる交流」と聞くと、人生の悩みを綴ったような文通を想像してしまうが、彼らの手紙にはそのような内容はほとんどない。手紙の内容は、ほぼすべてが数学に関することなのだ。
しかし、著者が自分の人生を振り返りつつ、当時の状況を地の文で挟み込むことにより、手紙の文面の底に横たわる気遣いや思いやりが、しみじみと伝わってくる。人生のどのような局面でどのような手紙が届き、それに対してどのような返事を書いたか。そこを顧みることで、「過去が現在に追いついてくる」ような著者の心情が描かれる。
文通の期間中に、著者本人には、数学者という進路への悩み、離婚、再婚、兄や親の死などの出来事が起こる。一方、ジョフリー先生は、息子の死、数学教師からの引退、脳卒中などを経験する。
しかし、手紙にはこれらの出来事はほとんど語られない。あくまでも数学を通じて、彼らは文通を続けるのだ。この、つかず離れずというか、相手の敷地に土足で踏み込まない関係に心が動かされる。これぞ、男の友情だ、
男の友情というと「スクールウォーズ」のような熱血ドラマを想定しがちだが、そういうのはむしろレアケースだろう。本書のような、そこはかとなく相手を気遣う、遠いようでいて実は近くにいる関係こそ、男の友情なのだ(独断)。
ただ、本書に出てくる数学の内容は非常に難しい。高校の数学をマスターした人でも理解できない部分が多々あると思う。しかしその部分は「宇宙語で書いてある」と思って読み飛ばしても差し支えない。
手紙の内容の大半は宇宙語で書いてあるのに心に響くのはなぜなのだろう。不思議だ。
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著者のスティーヴン・ストロガッツは、MITなどを経て、現在はコーネル大学で教授を務める数学者。その著者と、高校時代の数学の教師だったドン・ジョフリー先生との、30年以上に及ぶ文通での交流を描いた作品。
「手紙を通じた、心の温まる交流」と聞くと、人生の悩みを綴ったような文通を想像してしまうが、彼らの手紙にはそのような内容はほとんどない。手紙の内容は、ほぼすべてが数学に関することなのだ。
しかし、著者が自分の人生を振り返りつつ、当時の状況を地の文で挟み込むことにより、手紙の文面の底に横たわる気遣いや思いやりが、しみじみと伝わってくる。人生のどのような局面でどのような手紙が届き、それに対してどのような返事を書いたか。そこを顧みることで、「過去が現在に追いついてくる」ような著者の心情が描かれる。
文通の期間中に、著者本人には、数学者という進路への悩み、離婚、再婚、兄や親の死などの出来事が起こる。一方、ジョフリー先生は、息子の死、数学教師からの引退、脳卒中などを経験する。
しかし、手紙にはこれらの出来事はほとんど語られない。あくまでも数学を通じて、彼らは文通を続けるのだ。この、つかず離れずというか、相手の敷地に土足で踏み込まない関係に心が動かされる。これぞ、男の友情だ、
男の友情というと「スクールウォーズ」のような熱血ドラマを想定しがちだが、そういうのはむしろレアケースだろう。本書のような、そこはかとなく相手を気遣う、遠いようでいて実は近くにいる関係こそ、男の友情なのだ(独断)。
ただ、本書に出てくる数学の内容は非常に難しい。高校の数学をマスターした人でも理解できない部分が多々あると思う。しかしその部分は「宇宙語で書いてある」と思って読み飛ばしても差し支えない。
手紙の内容の大半は宇宙語で書いてあるのに心に響くのはなぜなのだろう。不思議だ。
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書評 NHKスペシャル深海プロジェクト取材班、坂元志歩『ドキュメント 深海の超巨大イカを追え!』(光文社新書)
4人の男(オッサン)の執念が、ムンムンと臭って、いや匂ってくる。
みなさん、見ましたか?「NHKスペシャル 世界初撮影! 深海の超巨大イカ」。2013年1月に放送され、生物ドキュメントとしては異例の高視聴率(16.8%)を記録した番組である。宇宙よりも遠いといわれる深海に住むダイオウイカの動く姿を、世界で初めて捉えた映像は迫力満点だった。
その番組の制作過程の裏側を書いたのが本書である。まだ番組を見ていない人は、まずそちらをご覧になることを強くお薦めする。
中心人物は4名。NHKの岩崎と小山、カメラマンの河野、そして国立科学博物館の窪寺である。この4人の
「ダイオウイカの映像を撮るんじゃ~」
という執念が、あの1時間余りの番組として結実した。その過程が、時間の経過とともに記されている。部長職を辞してプロデューサーとして現場に戻った岩崎。仕事の合間を縫っては小笠原に行き、ダイオウイカを追う小山と河野。研究者として、その半生をダイオウイカに捧げてきた窪寺。彼らの執念が、小笠原の漁師たちを、NHKの上層部を、海外のメディアを動かした。
この、一歩間違えばストーカーと言われてしまいそうな、彼らの執念を読むための本であるといえよう。天才と変態は紙一重だということがよく分かる(?)。
「彼らの執念の数百分の一でも私にあれば、もっと出世できるのに…」
と妄想せずにはいられない。
クライマックスは、やはりダイオウイカとの遭遇の場面。番組にもなった、潜水艇を使っての撮影のシーンだ。ここに至るまでの思いがすべて凝縮したかのような、奇跡のシーンが撮影される様子は圧巻である。もう一度番組を見たくなる。
残念だったのは、この撮影の直接のMVPは、上記の4人ではなかったことだ。アメリカのエディス・ウィダーの開発したエレクトリック・ジェリー(電子クラゲ)という機器が、ダイオウイカをおびき寄せた。この、ごく弱い青い光がクルクルと回る機器をエサと思い込み、ダイオウイカがアタックを仕掛けてきたのだ。恐るべし、欧米の底力。
とはいえ、ダイオウイカがアタックしてきたのは、他の研究者たちではなく、窪寺が潜水艇に乗っているときだった。窪寺を含む4名の執念がなければ、ダイオウイカは来なかったのかもしれない。
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みなさん、見ましたか?「NHKスペシャル 世界初撮影! 深海の超巨大イカ」。2013年1月に放送され、生物ドキュメントとしては異例の高視聴率(16.8%)を記録した番組である。宇宙よりも遠いといわれる深海に住むダイオウイカの動く姿を、世界で初めて捉えた映像は迫力満点だった。
その番組の制作過程の裏側を書いたのが本書である。まだ番組を見ていない人は、まずそちらをご覧になることを強くお薦めする。
中心人物は4名。NHKの岩崎と小山、カメラマンの河野、そして国立科学博物館の窪寺である。この4人の
「ダイオウイカの映像を撮るんじゃ~」
という執念が、あの1時間余りの番組として結実した。その過程が、時間の経過とともに記されている。部長職を辞してプロデューサーとして現場に戻った岩崎。仕事の合間を縫っては小笠原に行き、ダイオウイカを追う小山と河野。研究者として、その半生をダイオウイカに捧げてきた窪寺。彼らの執念が、小笠原の漁師たちを、NHKの上層部を、海外のメディアを動かした。
この、一歩間違えばストーカーと言われてしまいそうな、彼らの執念を読むための本であるといえよう。天才と変態は紙一重だということがよく分かる(?)。
「彼らの執念の数百分の一でも私にあれば、もっと出世できるのに…」
と妄想せずにはいられない。
クライマックスは、やはりダイオウイカとの遭遇の場面。番組にもなった、潜水艇を使っての撮影のシーンだ。ここに至るまでの思いがすべて凝縮したかのような、奇跡のシーンが撮影される様子は圧巻である。もう一度番組を見たくなる。
残念だったのは、この撮影の直接のMVPは、上記の4人ではなかったことだ。アメリカのエディス・ウィダーの開発したエレクトリック・ジェリー(電子クラゲ)という機器が、ダイオウイカをおびき寄せた。この、ごく弱い青い光がクルクルと回る機器をエサと思い込み、ダイオウイカがアタックを仕掛けてきたのだ。恐るべし、欧米の底力。
とはいえ、ダイオウイカがアタックしてきたのは、他の研究者たちではなく、窪寺が潜水艇に乗っているときだった。窪寺を含む4名の執念がなければ、ダイオウイカは来なかったのかもしれない。
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