2013年4月1日月曜日

もうすぐ3歳の息子がウイルス性腸炎(ノロ、ロタ)で入院した

 もうすぐ3歳(2歳11カ月)の息子が、一週間入院した。ノロウイルスに代表される、ウイルス性の腸炎だ。いわゆる食中毒である。

 おそらくノロかロタかだと思うのだが、ウイルスの特定はしていないため、正確には分からない。ウイルスを特定するのに4~5日かかり、結果が出る頃には回復していることが多く、またウイルスがどれであっても治療法は同じなので、ウイルスの特定はしないのが普通なのだそうだ。詳細はこちらを。

 どうやら一家4人(父、母、娘、息子)とも感染していたようなのだが、最も年下で、少し前に風邪を引いて抵抗力が弱っていた息子が重症化してしまったということらしい。
 症状がひどくなると、水分を取ってもすぐに上(嘔吐)か下(下痢)から出てしまうので、点滴をしなければならない。自宅では点滴は無理なので、入院ということになってしまうわけだ。
 備忘録もかねて、経過などを記しておこうと思う。

◆木曜日◆
 息子が朝食後に嘔吐。しかしこの日は熱もなく、保育所に行き、普通に帰ってきた。朝ご飯を食べ過ぎたのか、ちょっとした風邪か、くらいに思っていた。
 ただ、娘がこの日から下痢気味になり、私も胃腸が少しむかつき、妻もちょっと気分が悪いと言っていた。いまから思うと、4人とも感染していたのだろう。おそらく、水曜日の食事が感染源と思われる。
 生の肉や生の貝は食べていないので、何かの拍子に生で食べる食材にウイルスがついてしまったのだろう。生で食べるもの(サラダ、刺身など)の調理にはもっと気を配る必要があると、改めて痛感した。

 この日の夜から、息子が熱っぽくなる。しかし、嘔吐や下痢の症状はなかったので、おそらく風邪だろうと思っていた。

◆金曜日◆
 息子が熱っぽかったので、妻が息子を病児保育に預けてくれた。近所に病児保育があり、とても助かる。
 息子は、微熱はあるものの機嫌もよく、昼ご飯もたくさん食べた。帰宅後も、微熱はあるがそれほどしんどそうでもなく、このまま直ってくれそうだなあ、という雰囲気だった。

◆土曜日◆
 この日は、ある意味クライマックスだった。
 息子の熱が上がってきて、少ししんどそう。私は、薬を飲んでいればそのうち治るだろうと思っていたのだが、妻が小児科に予約を入れてくれた。あとから思うと、この行動は大正解だった。
 そこへ、小児科から電話があった。前日の血液検査の結果が悪いので、すぐに来院するようにとの指示。小児科の先生は、こちらが予約を入れていたことは知らなかったのだが、息子を小児科に連れて行くという妻の判断は正しかったわけだ。お母さん、さすがです。
 小児科に行くと、点滴をされた。そして「昼にもう一度来なさい」という指示。しかし、下痢や嘔吐はまだなかったので、この時点でも風邪だと思っていた。点滴はけっこう好きな先生なので、点滴という治療法には「いつものこと」という感覚だった。

 昼に再び小児科へ。ここから事態が急変する。先生の見立ては
「これは相当に悪い。紹介状を書くから大きな病院へ行くように。たぶん入院になるから、用意をしていくこと」
というものだった。
「入院、マジで??」
というのが正直なところだった。
「先生、それはちょっと大げさなのでは?」
とも思っていたが、失礼千万、先生のこの判断が後にわれわれを救ってくれたのだった。先生、ごめんなさい。
 この時点では、息子もそれほどひどい状態ではなく、私も妻もまだ半信半疑だった。息子もしっかりしていたので、私と娘は予約を入れていた歯医者に行って、それが終わってから病院へ行き、診察を終えた妻と息子と合流ということにした。だが、これは失敗だった。
 私と娘が歯医者を終えて病院へ向かう途中、妻からメールが。
「やはり、入院になりました」
とのこと。この時点では、まだ嘔吐も下痢もなかったので、何か重大な病気ではないかという心配もした。
 病院で妻と息子と合流すると、大惨事だったらしい。要するに、下痢がダダ漏れになってしまったのだ。待合室とトイレを行ったり来たりして、トンデモ状態だったそうだ。のんきに歯医者に行って、すみませんでした…。

 息子はそのまま入院となる。息子が部屋に入った頃は、すでに夕方だった。入院に必要なものを買い足しに行き、娘を連れて家に帰った。その日は妻が付き添いをしてくれた。
 いま思うと当たり前なのだが、初日の付き添いが最もしんどかった。あとから思うと、この日は私が付き添ったほうがよかったかもしれない。ごめんなさい…。

◆日曜日◆
 娘の世話をしてくれるために、おばあちゃん(私の母親)が来てくれた。幼児が二人いて、別々の場所にいると、大人が二人では足りない。子どもが幼稚園や小学校に行っていて、なおかつ奥さんが専業主婦でも、二人では回らないと思う。上の子が、少なくとも4~5時間程度は一人で留守番できないと厳しい。ちなみに、私の娘は5歳だ。4~5時間の留守番は、まだちょっと不安である。それが何日も続くとなると、なおさらだ。

 わが家は共働きで、入院中は交互に休みを取って、一日おきに出勤した。もしおばあちゃん(3人目の大人)の助けがなければ、おそらく二人とも入院中は全休しないと無理だったと思う。
 子どもが一人だけなら、大人二人でも何とか交互の出勤できるだろう。しかし子どもが二人なら、入院中は父母とも全休を覚悟しなければならない。これも、今回学んだことの一つだった。おばあちゃん、ありがとうございました。

 息子はというと、点滴をつけられて動きが制限され、お腹も痛く、たいへんだったようだ。夜もよく眠れるはずもない。個室(感染する恐れがあるので、必然的に個室になる)だったのは、不幸中の幸いだった。

◆月曜~木曜◆
 娘の世話はおばあちゃんがしてくれた。
 息子には、私と妻が一日おきに付き添った。5時半に仕事を切り上げ、夕飯をさっさと済ませ、病院へ行き、交代する。
 翌日は、息子に丸一日付き添ったあと自宅へ帰り、娘と顔を合わせる。娘も、両親とあまり会えず、非常事態という雰囲気も重なり、ストレスを感じているようだ。
 風呂、夕飯のあとは翌日の用意。息子の着替えなど、普段と違う準備が必要なので、いろいろと気を遣う。会社に息子の着替えや自分の一泊分の用意を持って行かなくてはならないのもストレスだった。
 その他もろもろ、ハードな一週間だった。そういう状況を是認してくれる会社でよかった。みなさん、ご協力ありがとうございました。

 息子は徐々によくなり、水分や食事もだんだんと摂れるようになっていった。だが、点滴がずっとついたままだったのは、本人も親もつらかった。
 水分と食事が摂れるようになったら、点滴は外してもよいように思うのだが…。担当医に聞く機会がなかったので、外れなかった理由はいまも分からないままだ。なぜずっと点滴が必要だったのだろう。

◆金曜日◆
 2回目の血液検査。まだ炎症反応が残っているが、退院の許可が出た。よかった。
 会社で妻からのメールを読み、ガッツポーズをしていたのは、相当に怪しかったと思う。隣席のみなさん、驚かせてすみませんでした。

 これを書いているのは日曜の夜なのだが、息子はすでに食欲も完全に回復し、元気に過ごしている。日常が戻ってきて、私も妻も、肩の力が抜けた週末だった。
 息子も六泊七日、点滴をつけたままでよく頑張った。3歳前の幼児が、ベッドの上で一週間過ごすとは、たいへんなストレスだっただろう。

◆不幸中の幸い◆
 このように、たいへんな入院生活だったのだが(もちろん、最もつらかったのは息子だった)不幸中の幸いだったことも、いくつかあった。忘れないうちに書いておきたい。

(1) 入院が土曜日だったこと
 これが平日だったら、慌ただしさ百倍だっただろう。仕事中に子どもが緊急入院するなんて、考えたくないシチュエーションだ。
 週末だったので、まだ余裕を持って対応できたのだと思う。

(2) おばあちゃんが来てくれたこと
 おばあちゃんが娘の世話をしてくれなければ、今回のことは成り立たなかった。上にも書いたが、おばあちゃんが来てくれなければ、おそらく私も妻も、仕事は全休となっただろう。

(3) 近所の小児科医の診断
 近所の小児科の先生が、適切な診断と指示をしてくれたお陰で、症状が悪化する前に入院できた。
 金曜日に小児科に行かなかったら、いったいどうなっていただろうか。自宅でダダ漏れ状態になり、そこで慌てて小児科なり大きな病院なりに連れて行くことになったのだろう。そうならなかったのは、事前に小児科に連れて行った妻と、そこで適切な診断をしてくれた先生のお陰だ。

(4) 息子が3歳近くになっていたこと
 息子が3歳近くだったのも、不幸中の幸いだった。これが去年(2歳手前)だったらと思うと、ゾッとする。
 3歳近くになると、点滴をつけていても、数十分なら一人にしておける。
「お父さんは、いまから売店で買い物をしてくるから、少し待っててね」
という言葉を理解し、待ってくれるのだ。その間に、点滴を自分で抜いてしまうようなこともしない。
 これは、たいへんにありがたかった。もし1年前だったら、数分も目を離していたら、点滴をむしり取ったり、ベッドから落ちたりして、たいへんなことになっていただろう。

 ウイルス性腸炎でもこれだけたいへんなのだから、もっと大きな病気なら、推して知るべしだ。改めて、健康のありがたさを感じた一週間だった。

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