2014年3月26日水曜日

書評 吉田たかよし『元素周期表で世界はすべて読み解ける ―宇宙、地球、人体の成り立ち―』(光文社新書)

「すいへいりーべ ぼくのふね…」。周期表を語呂合わせで丸暗記させられ、化学が嫌いになった人も多いだろう。そんな人には、ぜひ本書を読んで元素の世界の面白さを知ってほしい。

 さまざまな元素がいかに日常生活や健康にかかわっているかを、元素周期表を軸に示した本。著者の吉田氏はお医者さんなので、とくに人体と元素とのかかわりが易しく解きほぐされている。

 1章は、原子の構造についてのおさらいである。原子は中心に原子核があり、その周りを電子が回っていて…というヤツだ。正直、ここはつまらない。そういった基本は知っている人やつまらないと感じる人は、読み飛ばしても構わない(独断)。
 1章で挫折するのはもったいない。是非、後半の面白いところまでたどり着いてほしい。

 2章、3章と進むにつれ、だんだん面白くなっていく。宇宙の成り立ちや人体の構造と絡めながら、元素のうんちくが語られる。
 さまざまな元素を取り上げて、それぞれをトピック的に解説していく本はよくあるが、本書が従来のものと異なるのは、周期表を軸においている点だ。それぞれの元素を別々に見ていくのではなく、周期表との関係で見ていくため、元素をグループごとに理解できるのだ。元素の性質を、有機的に、立体的に理解できるということもできるだろう。

 また個々のトピックも、「へぇ~」いうものがたくさんあった。たとえば「人体はなぜケイ素ではなく炭素でできているのか」「宇宙探査機『はやぶさ』のエンジンにはなぜキセノンが使われているのか」「亜鉛は人体に必須なのに、カドミウムと水銀はなぜ毒なのか」。周期表を眺めると、こんな疑問がスッと理解できるのだ。

 ところで、冒頭の「すいへいりーべ…」は周期表の日本語の語呂合わせだが、各言語に独自の語呂合わせがあるか気になったので、グーグル先生に聞いてみた。すると…、やはりありましたがな。

日米の周期表の語呂合わせ(気ままに有機化学)

どこの国でも、考えることは同じらしい。



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