2018年6月19日火曜日

【書評】東野圭吾『ラプラスの魔女』(角川文庫)

書名がすばらしい。ラプラス氏も喜んでいるのでは


 「ラプラスの悪魔」とは、19世紀初頭に物理学者のラプラスが提唱した、仮想の概念だ。
「もし、ある時点における全ての原子の状態と力を知ることができ、かつそれらのデータを解析できる能力の知性がいるなら、この知性は過去同様に未来も全て見えているであろう」
というもの。つまり、ある時点における全ての原子(もっといえば素粒子?)のデータがあれば、未来は完全に予測できるという主張だ。代表的な思考実験の一つであり、量子力学の登場により現在は否定されているのだが、復活することもあるかもしれない。

 本書のタイトルは、もちろんこの「ラプラスの悪魔」をもじったもの。ラプラスの悪魔を知っている人はもちろん、知らない人も引きつけるキャッチーさがある。それに加えて、本文中で「ラプラスの魔女」という言葉が出てくるシーンが秀逸。
「なるほど、こう来たか」
と唸ること間違いなし。ナイスな書名指数は、3本の指に入るだろう(当社比)。
 もちろん、書名だけでなく中身も確か。東野小説にニューヒロインが登場した。続編もすでに出版されており(魔力の胎動)、シリーズ化されていくのだろう。

 さっそく映画化されたように、映像化にも向いている。ただ、櫻井翔演じる青江が主人公というのは、ちょっと違和感が…。見てないのに文句を言ってはいけないのかもしれませんが。



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