2023年12月23日土曜日

【読書メモ】原田マハ『たゆたえども沈まず』(幻冬舎文庫)

 ゴッホは生前には評価されず、弟に生活を支えてもらっていたのは有名な話。その様子を、1900年前後のパリを舞台に描いた作品。そこに、日本人の画商を絡ませるところが上手い。ゴッホが苦しみつつ自死に至る過程を、鬼気迫る筆致で描ききった秀作だ。
 当時のパリの様子が伝わってくるのもグー。好景気に沸くフランスの首都で、紳士・淑女がサロンに集い、美術品を収集する。そこに日本文化が与えた影響は、日本人が書いた本だということを割り引いても、いかに大きかったかが分かる。
 読んだら、パリの美術館に行きたくなること間違いなし。

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