2012年3月16日金曜日

書評 東野圭吾『秘密』文春文庫

 母から借りた東野小説の最後の一冊。なぜ本作が最後まで残っていたのか。それは、妻と娘が事故に遭い、娘の体の中に妻の精神が入るという設定に、娘をもつ父親として、読むのをためらっていたからだった。娘の体に妻が入るって…考えただけでもブルーだよなぁ。
 そんなわけで後回しになっていたのだが、これが大トリを飾るにふさわしい名作だった。もっと早くに読めばよかった。

 粗筋は上記の通り。娘の体に入った妻と夫との奇妙な共同生活を描いた作品。事故当時、娘は小学5年生。そこから20代後半までの十数年間の物語である。
 妻として接するべきか娘として接するべきか、悩む夫。最後には「愛する人の望むことを」と決断を下す。
 そして、涙の別れ。
 最後には東野さん得意のどんでん返しで、二度泣ける。

 家族を元にしたパラレルワールドを描いた東野作品という意味で『時生』と似た雰囲気を感じた。どちらもお勧め。涙腺の弱い人はティッシュを忘れずに。



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2012年3月11日日曜日

2012ポラリスS、フィリーズレビュー、中山牝馬S  予想の回顧

 土曜はポラリスS。本命◎マルカベンチャーは、予定通り後方を追走。直線は最速の上がりで追い込むも、前残りの展開では5着まで。後ろから行く馬はどうしても展開に左右されますなあ。仕方ない。
 2着のファリダットにはビックリ。もっと早くにダートを試していれば、と思わせる激走だった。

 日曜はフィリーズレビュー。本命の◎アイムユアーズは3番手追走から余裕十分の手応えで直線を向き、力強く抜け出して快勝。見事期待に応えてくれた。推奨穴馬には挙げていなかったが、2着のビウイッチアスも押さえており、馬連をゲット。武豊の完全復活の兆しが見える。

 中山牝馬Sは本命の◎ホエールキャプチャが直線伸びきれず、5着。明らかに太め残りだった。1着のレディアルバローザは、アッと驚く逃げの戦法で見事に優勝。祐一がノリにノっている。

 今週はフィリーズレビューが的中し、馬券全体の収支も珍しく大幅プラスを計上。交通事故に遭わないように気をつけたい。

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2012年3月10日土曜日

2012フィリーズレビュー・中山牝馬ステークス  オレの予想を聞いてくれよ

 お腹の調子もだいぶマシになってきたことだし、張り切って予想していきたい。
 日曜の阪神メインはフィリーズレビュー。GIIであり、先週のチューリップ賞(GIII)よりも格上なのだが、本番(桜花賞)との結びつきは薄い。1400 mという距離のためだろうか。
 しかし、今年はチューリップ賞が荒れたため、このレースの上位馬が本番でも人気するかもしれない。そういう意味でも、要注目のレースだ。

 今年のメンバーを見ると、2頭の実績が抜けている。私の本命◎は、そのうちの一頭である◎アイムユアーズ。GIを含む重賞を3回走って2着→1着→2着。本番前の一叩きでも、このメンバーなら格好はつけてくれるだろう。
 相手も、イチオクノホシは押さえざるをえない。前走でお世話になっていることもあるし、この2頭の組み合わせは厚めに買う。ただ、このレースはよく荒れるので、2頭軸で勝負する気にはならないなあ…。
 推奨穴馬は芝でもやれそうなサトノジョリーと、追い切りで動いたエイシンキンチェム

 中山牝馬Sは、55.5 kgでも◎ホエールキャプチャ。相手は古豪の2頭、ブロードストリートアニメイトバイオを中心に。

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2012年3月9日金曜日

2012ポラリスステークス・アネモネステークス  オレの予想を聞いてくれよ

 息子(もうすぐ2歳)の病気がうつってしまったらしく、体調が悪い。ノロ、ロタあたりの腸炎系ウイルスが私の体に入ってきたようだ…。上からこそ出ないものの、下からは水のようなのがピーピーと出る(汚い話ですみません)。
 こういうときは、ビシッと馬券を当てて、ウイルスを退散させたいところだ。きばって予想したい(きばりすぎると出てしまいそうやけど…)。

 土曜の阪神メインはポラリスS。今年で4回目の、新しいオープン特別だ。ところで、ポラリスって何やねん…ということで、いつものようにJRAの特別レース名解説にさっそくアクセスしてみると

ポラリスは、こぐま座のアルファ星で北極星のこと。北極星は地球の自転軸を北極側へと延線した線上付近に位置し、地球上からはほとんど動いていないように見える。そのため、天測航行の際には正確な測定をするための固定点として用いられる。

ということだそうだ。なるほど、北極星だから"pole"なわけか。勉強になりました。しかし、阪神競馬場とはあまり関係がないなぁ。

 お腹の具合も悪い(しつこい)ので、寄り道はこれくらいにする。
 オープン特別のハンデ戦のわりには、よいメンバーが揃った。重賞で勝ち負けできそうな馬がちらほら見える。
 そんな中から、私の本命◎はマルカベンチャー。今年に入ってからの3走がふがいないが、3走前から順に、休み明け→展開不向き→不得手な芝と、敗因ははっきりしている。展開が向くかどうかは微妙だが、重馬場は得意とするところ。56 kgなら勝負になる。切れ味を発揮してほしい。
 相手は、人気だろうがアルゴリズムインペリアルマーチを厚めに押さえる。推奨穴馬はメモリアルイヤー。軽量を生かして流れに乗るようなら怖い。

 アネモネSは、中山1600 mで有利な内枠を引いた◎タガノキャンドル

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2012年3月8日木曜日

書評 桜庭一樹『赤×ピンク』ファミ通文庫

 前から気になる作家だった桜庭さん。何か一冊読んでみようと思った。『私の男』は娘を持つ父親として気が引けるというか、読む勇気がなく、『GOSICK -ゴシック-』シリーズも今さら1巻を読むのもどうかなあ…というわけで、初期のラノベにあたる本作を読んでみた。

 確かにラノベなのだが、決して軽いだけではなく、少女たちの思いが精妙に書かれている。面白い作品にラノベも純文学も関係ないことを再確認した。

 若い女性どうしが金網の中で戦うイベント『ガールズブラッド』。そこでは、毎晩のように、少女どうしの戦い(総合格闘技?)が繰り広げられる。そこの選手である3人の少女の物語を順に描いたのが本書だ。
 ここからも分かるように舞台設定や人物像はアブノーマルであり、倒錯した世界観が描かれている。この「倒錯」とうキーワードは、後の『私の男』などにつながっていくものなのだろう。

 3人の少女たちの共通点は「帰る場所がない」ことだ。この少女たちが帰る場所を見つけ、そこへ飛び込んでいく過程を綴った物語が本書である。彼女たちは、ある意味、死にものぐるいで生きている。しかし、その様子が軽妙なタッチで書かれていて、重苦しさはない。矛盾する表現だが、深いラノベである。

 また本書のもう一つの特徴は、桜庭さんの格闘技・空手マニアぶりが発揮されているところだ。戦いの場面や格闘家の心情がとてもリアルに書かれている。極真空手初段の経験がなければ、なかなかこうは書けないだろう。そんな桜庭さんには、是非、先日紹介した『格闘技の科学』を読んでいただきたい。

 「アブノーマル」「倒錯」という言葉に尻込みしないでほしい。あなただって、100%ノーマルというわけではないでしょう?



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2012年3月6日火曜日

書評 吉福康郎『格闘技の科学 力学と解剖学で技を分析!』サイエンス・アイ新書

 中部大学工学部教授であり、スポーツ・バイオメカニクスと生命情報科学を専門とする吉福さんが、さまざまな格闘技の技を科学的に解析・解説した本。

 ムエタイの蹴り、柔道の投げ技・関節技、空手の突き・蹴り、相撲力士の強さの秘密、合気道や太極拳の「気」などを科学的に解説。ボクシング、K-1、柔道、相撲などの格闘技系スポーツが好きな人にとって、目から鱗の知識が満載だ。何となく「おお、すげぇ」と見ていたシーンが
「なるほど、こういう理屈で効いているのか」
と見えるようになるだろう。
 そういう意味では、実際に格闘技を練習している人が読むと、さらに面白く感じられるに違いない。
 また、技の説明と並行して、それぞれの格闘技の強み・弱みが語られているのが興味深い。異種格闘技線がなかなか成立しない理由もよく分かる。いったい、最強の格闘技はどの競技なのだろうか。それは本書を読んでのお楽しみ。

 それぞれのトピックは読みきりで説明されていて、どこからでも読める。また、各トピックには必ずイラストがついていて、理解を助けている。イラストも上手で、技がよく分かるように描かれている(しかし、イラストにはなぜか女性がよく登場し、かつ妙にエロっぽく見えるのは私だけだろうか…)。

 しかし、私が特に興味深かったのは、技の解説をしたトピックではない。Q70「体力がないせいかなかなか強くなれない……。どうしたらよい?」という項目だった。
 本書によると、この問いに対する回答は「ある意味、どうしようもない」という身も蓋もないものなのだが、逆にいうと、厳しい練習に耐えられる強い体(と精神)を持った者しか強くなれないということだ。それが才能なのだろう。

 私の格闘技歴はというと、小学生のときに数年間、空手をやっていた。やめてから30年近く経つこともあり、今では特に腕っ節に自信があるわけでもないのだが、今に至るまでヤンキーに絡まれたり、オヤジ狩りにあったりしたことがないのは、空手で培ったもののお陰なのかもしれないと、本書を読んで思った。
 息子が大きくなったら、一緒になにか習いに行ってみようかなあ。



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2012年3月4日日曜日

2012弥生賞、チューリップ賞  予想の回顧

 土曜はチューリップ賞。◎ジョワドヴィーヴルは中段を楽な手応えで追走。阪神の長い直線でどこまではじけるか、とすでに勝ったつもりでいるたのに、ジリジリとしか伸びない。あらら…。外から2頭にかわされて、まさかの3着に終わった。このまましぼんでいくのか、本番では巻き返すのか。評価が難しい。
 勝ったのは大外を豪快に伸びたハナズゴール。推奨穴馬に挙げていた馬だ(プチ自慢)。馬体重を減らしていたので評価を下たのだが、それをあざ笑うかのように鮮やかに差しきった。馬体が回復しているようなら、本番ではさらに楽しみだ。

 日曜は弥生賞。◎アダムスピークは、超スローの展開で中段やや後方の位置取り。
「いかにも包まれそうやなあ」
と思っていたら、案の定、4コーナーで窮屈になり、ジエンド。内枠だったこともあり、展開的にやむを得ない面はあったが、それでも8着は負けすぎのように思う。こちらも本番での取捨選択が難しい。
 勝ったコスモオオゾラはまったくのノーマーク。100回馬券を買っても獲れそうにない。

 今週は、二つとも1番人気を◎に推して、それらが惨敗するという情けない結果に終わった。こういうときはサッサと忘れて、来週に向けて気持ちを切り替えるに限る(反省せんのか)。

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【読書メモ】アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(新潮新書)

 2020年のベストセラーをようやく読んだ。もっと早く読んでおくべきだった…。   スマホがどれだけ脳をハックしているかを、エビデンスと人類進化の観点から裏付けて分かりやすく解説。これは説得力がある。   スマホを持っている人は、必ず読んでおくべきだ。とくに、子どもを持っている人...