2015年2月24日火曜日

映画評 『20世紀少年』

さじ加減が難しい


 浦沢直樹原作の人気マンガを映画化したもの。第1章、第2章、第3章と進むにつれて、のめり込んでいった。「トモダチ」はいったい誰なのか。唯一にして最大の謎が徐々に解き明かされていくスリル、「トモダチ」のかもし出す怪しげな雰囲気など、原作のドキドキがよく再現されている。オチも、一ひねりあってよかった。なるほど、こうきたか。

 ただ、第1章での雰囲気作りというか、本作品の世界観の構築が少し物足りなく感じた。主人公のケンヂとその仲間たちが駆り立てられていく様子や、「トモダチ」の存在の不気味さなどが伝わりきっていないように思う。
 私は原作を読んでいたので、第2、3章にはどっぷり浸かることができたが、原作を読んでいない人はどうだったのだろう。第1章で見るのをやめた人も多かったのではないだろうか。

 原作のある映画は、何を割愛するか、そのさじ加減が難しい。どうでもいいエピソードにこだわりすぎると、全体が薄くなる。かといって本筋以外のものをそぎ落としすぎても、原作の雰囲気が伝わらない。
 第1章は、原作の細かいところにこだわりすぎて、やや本筋が伝わらなかったが、第2、3章はそのバランスが修正され、いい感じでのめり込めた。原作を読まずに映画を見る人は、投げ出さずに第3章まで見てほしい。




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